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AV機器の総合展示イベント「A&Vフェスタ2006」が、横浜みなとみらいのパシフィコ横浜で21日から開幕した。ここではメインホール展示の中から、ソニーとパイオニアブースをレポートする。
■ ソニー
ソニーのブースでは国内向けBDレコーダの展示は行なわれなかったが、BRAVIAの新モデルや、フルHD解像度(1,920×1,080ドット)を持つ「SXRD」を採用したフロントプロジェクタ「VPL-VW50」、北米向けのBDプレーヤー「BDP-S1」などを展示。 さらに、ピュアオーディオ関連の参考展示も行なわれている。実働モデルではないが、デザインモックとして展示されたフロア型スピーカーは、同社のハイエンドモデルとして開発中の2chモデル。構成や価格、発売時期なども未定だが「'99年に発売したSACDプレーヤーの第1号機(SCD-1/525,000円)と組み合わせたスピーカー(SS-1ED/1台105万円)と同程度の価格帯を想定している」という。
関連して、11月発売予定のフルデジタルアンプ「S-Master PRO」を搭載したプリメイン「TA-FA1200ES」(15万7,500円)や、SACDプレーヤー「SCD-XA1200ES」(94,500円)なども展示。また、ブックシェルフスピーカー「SS-K30ED」(57,750円/1台)のバリエーションモデルとして、エンクロージャの仕上げの異なる2タイプも参考展示。「製品化は未定だが、来場者の反応を見ながら検討していきたい」という。
欧州で249ユーロで販売している、クレードル型スピーカーも参考出品。ソニーエリクソンとの初の共同開発モデルであり、ソニーエリクソンのGSM携帯電話を載せることができる。32bitのS-Masterデジタルアンプを搭載し、DSPによるサラウンドモードやトーンコントローラーなども装備。ライン入力も備えているため、ポータブルオーディオなどとも接続できる。「現在のところ国内販売の予定はないが、国内向け携帯電話に対応したモデルの検討はしている」とのこと。
VAIOのコーナーでは、SACDで採用されているDSDフォーマットへの変換にも対応したソフトウェア「SonicStage Mastering Studio」の新バージョンを参考展示。現行のVer.2.2でも取り込んだ楽曲のDSD変換やDSDフォーマットの再生に対応しているが、新バージョンでは変換アルゴリズムをインテルのCore 2 Duoプロセッサ向けに最適化。これまで実時間の3~5倍かかっていた変換所要時間を、ほぼリアルタイムにまで短縮できるという。 デモを行なっているバージョンでは、Core 2 Duo T5600(1.83GHz)のマシンで90秒のWAV(PCM)ファイルを86秒でDSDに変換可能。ただし、CPU占有率が90%と非常に高いため「アルゴリズムの最適化をさらに進め、CPUの高速化と合わせてより手軽に、高速に変換できるようにしていきたい」という。新バージョンは2007年初頭に発売されるVAIOへの搭載を予定。従来バージョンからのアップデートも可能だという。
また、WAVファイルをDSDにリアルタイムで変換しながら再生するプレーヤーソフトも開発中で、「2007年夏モデル頃のVAIOに搭載したい」という。
■ パイオニア パイオニアブースでは、10月上旬発売の1080p/HDMI入出力に対応したAVアンプ「VSA-AX4ASi」(188,000円)や、「VSA-AX2AS」(153,000円)を展示。ともにTHX Select 2に準拠し、最大出力はVSA-AX4AViが220W×7ch(6Ω)、VSA-AX2AVが200W×7ch(6Ω)。いずれもHDMI入出力端子を装備するほか、iPod用インターフェイスや高域補正機能を搭載。さらに自動音場補正機能「Advenced MCACC」も備えている。 VSA-AX4ASi/AX2ASの違いは、アンプ出力のほか、HDMI入力端子数や、i.LINKやUSB端子の有無など。VSA-AX4AViでは4系統のHDMI入力を搭載、VSA-AX2ASは3系統で、出力はいずれも1系統。1080p信号の入/出力に対応する。 9月下旬発売の「Xbox 360」向けの5.1chサラウンドスピーカーシステム「HTP-GS1」(オープンプライス/実売4万円前後)も展示。実際にゲームをしながらサラウンドを体験できる。
ピュアオーディオの新モデルとして、シンプルなデザインとハイスピードなサウンドが特徴という3製品を参考展示している。プリメインアンプの「A-A9」と「A-A6」、SACDプレーヤーの「PD-D6」の3モデルで、いずれも2006年12月上旬の発売を予定している。価格はA-A9が13万円程度、A-A6とPD-D6はどちらも7~8万円程度で、A9が上位モデルと位置づけられている。 A-A9とA-A6は無帰還型電源回路や低ESR(等価直流抵抗)コンデンサーを採用した、レスポンスの速い電源回路を採用。エネルギーロスやノイズの少ない、スピード感のあるサウンドが特徴だという。AVアンプと同様に、ロンドンのAir Studioが音質決定に参加している。
スピーカーでは、「ピュアモルトスピーカー」の第5弾であるトールボーイ型「S-PM300」(70,000円/1本)や、ピュアモルトオーディオラック「B-PM1000」(94,000円)などを展示。さらに、TADブランドの技術を投入した高級スピーカーの限定モデル「S-1EX-LTD(63万円/1本)も展示している。
視聴コーナーでは、TADブランドのハイエンドスピーカー新モデルを参考展示。2003年に発売した「TAD-M1」(315万円/1本)の後継モデルで、名前は「TAD Reference One」(仮称)。2007年の発売を予定しており、価格は未定だがM1と同クラスになる予定。M1と同様に、独自のCST(Coherent Source Transducer)同軸ユニットを採用。ミッドレンジとツイータの振動板には、軽量で高剛性のベリリウムを使用している。
また、PLC(電力線搬送通信)を利用したネットワーク・オーディオシステム「music tap」も参考展示している。家庭内コンセントを介して、各部屋に音楽を配信するというシステムで、ベースとなる送信機の「Sound Station」と、受信機能を備えたアンプ内蔵スピーカー2タイプの3点をセットで販売する予定。 Sound StationにiPodやストレージクラス対応のUSBメモリ型プレーヤーなどを接続。Sound Stationをコンセントに繋ぐことで、再生音をPLCを利用してデジタル伝送する。セットで販売されるスピーカーと機器認証を行ない、コンセントと接続したスピーカーへ、電力線を通して音楽を配信する。「仕様は未定だが、CD並みの音質で伝送できる」という。 多機能タイプのスピーカーにはリモコン受光部なども装備し、スピーカーに向かってリモコン操作をすることで、離れた部屋のSound Stationに接続したiPod(専用ドックが必要)を制御可能。複数のソースを個別のチャンネルとして同時に送信することで、スピーカー側で受信するチャンネルを選ぶこともできるという。また、シンプルバージョンのスピーカーにはモーションセンサーを装備。トイレなどに設置し「人が来た時だけBGMとして音楽を再生し、いなくなるとOFFになる」といった使い方を想定している。
一度に配信可能な機器は2台まで。3台セットで5万円程度の見込み。なお、PLCの利用には法改正が必要だが「広い周波数帯域を利用するハイビジョン映像の伝送などと比べると、早めに解禁されると見込んでいる。できれば2007年の前半には製品化したい」という。
□日本オーディオ協会のホームページ
(2006年9月21日) [AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]
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