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TI、アンプ内蔵の携帯機器向けオーディオコーデック
-ワンセグ向けのD級アンプも


PCM3793

9月出荷開始


 日本テキサス・インスツルメンツ株式会社は26日、ポータブル機器向けオーディオコーデック「PCM3793/3794」、ワンセグ機器向けのクラスDアンプ「TPA203xD1」を発表、9月より量産出荷開始する。

 1,000個ロット時の価格はPCM3793が4.5ドル、PCM3794が4.25ドル、TPA203xD1が0.6ドル。いずれも日本市場を中心に提供していくという。



■ アンプ内蔵オーディオコーデック「PCM3793/3794」

 DA/ADコンバータのほか、コンデンサレスのAB級ヘッドフォンアンプを内蔵したオーディオコーデックLSI。ヘッドフォン出力は最大40mW×2ch。S/N比はDACが93dB、ADCが90dB。

 上位モデルのPCM3793では、さらにスピーカー出力用に同社のD級アンプを内蔵。1チャンネル辺りのスピーカー出力は最大700mW(8Ω負荷時)。PCM3794では、スピーカーアンプが省略される。

 低/中/高音域のイコライザを内蔵し、音源に合わせた最適化が可能。また、左右のスピーカー間の距離が短い場合でも大きな音場の拡がりを作る「3-Dエンハンスメント」も備えている。さらに、自動レベルコントロール(ALC)も利用できる。

 そのほか、プログラマブルのノッチフィルタを搭載。デジタルカメラなどで利用する場合、映像記録中のカメラレンズの駆動モータから発生する雑音を低減できる。

 オーディオインターフェイスとして、I2S、DSP、right-justfied(右詰め)、left-justfied(左詰め)をサポートするほか、制御インターフェイスは、I2C、SPIをサポート。

 消費電力は再生時は7mWで、Lineからの録音時には13mW。DSPで処理していたアンプ部をコーデックに搭載することで全体的なスループットの向上を実現しているという。また、発熱を低減し、電力の高効率化を果たしている。

PCM3793評価ボード 従来品の組み合わせによるオーディオ入出力部の構成とPCM3793を採用した構成を比較


■ 低EMI化したワンセグ向けクラスDアンプ「TPA203xD1」

 ゲイン固定のクラスDアンプモジュール。入力抵抗をチップに内蔵することで、システム全体の大きさを約50%小型化した。

 ワンセグ放送などの電波を妨げる輻射ノイズ(EMI)を出力波の最適化により低減。従来の同社製アンプと比べて6~12dB程度低減するという。EMIの改善により、携帯電話の電波受信感度の向上にも貢献するという。

 電源はバッテリ直結で供給される。従来電源をバッテリ直結にした場合、出力が不安定なバッテリに接続すると、音質にブレが生じるが、音質を一定に保つよう調整している。

 ホワイトノイズの原因となるノイズフロアは、業界最小の27μVを確保。最大出力は2.75W×1ch(4Ω)。

TPA203xD1評価ボード EMIの改善状態


■「携帯電話と共に進化したクラスDアンプ」

日本テキサス・インスツルメンツTIフェロー、アナログ・テクノロジー・センター長濱崎利彦氏

 発表会場では、同社がこれまで開発してきたデジタルオーディオ関連製品の歴史を振り返りつつ、新製品の発表を行なった。

 日本テキサス・インスツルメンツのTIフェロー、アナログ・テクノロジー・センター長の濱崎利彦氏は「デジタルオーディオについては、'84年のCDプレーヤー用DACの開発が最初だった。それ以降進化するデジタルオーディオ業界において、常に最新のデジタルオーディオチップの開発を行なってきた」と歴史を説明。

 「'93年には、デジタルフィルタ/DAC/アンプを1チップ化(SOC)した『PCM1710』、2000年には世界初のDVDオーディオ/SACDフォーマット用コンバータを開発するなど、最先端のハイエンドオーディオチップ技術も追求してきた。ハイエンド向けの技術は、ポータブル機器に向かって発展し、こうした技術の積み重ねが、今回発売するPCM3793/3794を生み出した」とした。

 また、TPA203xD1についても、「'98年にモノリシックのクラスDアンプ『TDA005D02』を発売して以来、Dクラスアンプは携帯電話市場からの要求に応えることで進化してきた。携帯の小型化の要望に対してはチップサイズの小型化で対応し、テレビやカメラ付携帯の登場で、発熱の抑制やバッテリの長寿命化が必要になり、アンプを高効率化/省電力化した。今後は、音楽携帯では高音質が求められ、ワンセグ携帯では放送波の受信を妨害する輻射ノイズを軽減していくことが求められている」と、開発の経緯を説明した。

 また、ワンセグ以外に、VHF波を使用するデジタルラジオの聴取機器に採用した場合について話が及ぶと、「VHF波が使用する帯域についても、輻射ノイズは改善されているため、特に修正しなくても、デジタルラジオの受信感度向上に貢献できるだろう」とした。

 なお、PCM3793/3794とTPA203xD1について、同社では「より高音質を求めるハイエンド製品や、サイズをあまり気にせずに開発できる場合などには、TPA203xD1を推奨する。また、省電力性/省スペース性を求める製品にはPCM3793/3794を推奨していきたい」としている。

オーディオコンバータの歴史 シアタールームが取れなかったため、DVDオーディオ用DAC「PCM1792」の音質を視覚で披露した 携帯電話とクラスDアンプの進化の過程

□日本TIのホームページ
http://www.tij.co.jp/
□ニュースリリース
http://www.tij.co.jp/news/sc/2006/scj_06_071.htm(PCM3793/3794)
http://www.tij.co.jp/news/sc/2006/scj_06_072.htm(TPA203xD1)

( 2006年9月26日 )

[AV Watch編集部/ike@impress.co.jp]


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