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「CEATEC JAPAN 2006」基調講演レポート
MS 堺常務「エンターテイメント分野に注力する理由」
~ メモリーテックとアニメのHD化で協業 ~


マイクロソフトの執行役常務 デジタルエンターテイメントパートナー統括本部の堺和夫氏
10月4日開催

会場:幕張メッセ


 CEATEC会期2日目の午前中には、マイクロソフトの堺和夫執行役常務が「マイクロソフトの次世代デジタルエンターテイメント戦略」について講演を行なった。

 堺氏は、マイクロソフトが推進するデジタルエンターテイメントの世界において、著作権保護技術をはじめとする様々なテクノロジーやプラットフォームの提供、そして、パートナー各社との連携などについて言及。これによって提供されるサービス、製品を紹介し、マイクロソフトが掲げる「パートナーエコシステム」についての概要および戦略に触れた。

 また、講演の中では、日本が先行しているアニメーションコンテンツにおいて、これらをHD画質に最適化することに関して、メモリーテックと協力することを発表した。メモリーテックが2006年10月から、製作エンジニアをマイクロソフトの米国本社に派遣し、VC-1のアニメーションタイトルの画質の最適化について、マイクロソフトと研究するという。

 さらに、マイクロソフトの米国本社内にメモリーテックの専用オフィスを設置。本社技術開発部門がメモリーテックと画質の最適化について協力していくという。

□ニュースリリース
http://www.microsoft.com/japan/presspass/detail.aspx?newsid=2829



■ なぜ、エンターテイメントなのか?

 冒頭、堺氏は「Why?」というスライドを掲げ、なぜ、マイクロソフトがエンターテイメント分野に取り組むのか、また、なぜ日本で取り組むのか、といった点について触れた。

 堺氏は、マイクロソフトにはデジタルメディア圧縮技術、デジタル著作権管理技術、デジタルメディア制作ツール、デジタルメディアプレーヤー、デジタルメディア機能開発キットに加え、これを支える標準化技術や配信技術があることを紹介。

エンターテイメントとITの相性の良さが、マイクロソフトがエンターテイメントに取り組む理由だという

 さらに、エンターテイメントを取り巻く環境が、アナログ放送からデジタル放送へ移行していること、インターネットによる動画配信の浸透、ポータブルオーディオプレーヤーの増加、携帯電話による映像/音楽利用の拡大、次世代DVDの登場による高画質化への進展といったトレンドが進展していることも指摘。

 「エンターテイメントを、ITの世界へ持ってきた方がメリットがあり、さらに、エンターテイメント自身も、ITの世界へ入ってきた。いまさら繰り返すことでもないが、エンターテイメントとITは相性がいい。これがマイクロソフトがエンターテイメント分野に取り組んでいる理由」と説明した。

 また、堺氏が率いるデジタルエンターテイメントパートナー統括本部が日本で展開していることについては、「日本には優秀なモノづくりノウハウがある。金属加工、基板の技術、そして、小さく軽く作る技術もそのひとつだ。日本ならではの先端分野がたくさんあり、そこで、パートナーシップやシステムづくりをしていくのが私の役割」とした。



■ 世の中が変革を4つの観点から指摘

 続いて、「トランスフォーメーション」という言葉をスクリーンに表示。世の中が変革していることについて触れた。

新しいユーザー価値を節目と考え、HD画質、ロスレス音楽、インターネットビデオ、ユビキタスという4つのカテゴリで説明

 ここでは4つのカテゴリーについて変化を指摘。それぞれにおいて、具体的な製品やサービスなどを、実際のデモストレーションを交えて説明した。

 ひとつめは、HD画質。大画面テレビが普及し、高画質化が求められていること、家庭用ビデオカメラもHD化が進んでいること、さらに次世代DVDの普及が進んでいることなどに触れながら、「マイクロソフトではHDVに対応し、さらにXbox 360でも2万円弱を追加すれば、HD DVDが楽しめる環境を提供している。Xbox 360のコントローラから簡単な操作でHD DVDを視聴でき、さらにHD DVDの機能を利用することで、これまでになかった映像の楽しみ方ができる」とした。

 2つめはインターネットビデオ。日本でのYahoo!動画、Gyaoの取り組み、海外でのYouTube現象などを説明した上で、「今後はホームネットワークの利用、大容量ストレージの普及、ポータブルデバイスによる映像の持ち出しといった用途が想定される。その際には、著作権の問題がクローズアップされることになる」として、Yahoo!動画による、高画質配信、著作権が管理された環境でのデモストレーションを行なった。

 3つめは、ロスレス音楽である。音質劣化が一切ない音楽配信が可能になるとして、e-onkyo.comや米MUSIC Giantsがロスレス音楽を配信していることを紹介。マイクロソフトでは、WMA Losslessでの対応を図るという。

 4つめは、ユビキタスである。ここでは音楽のユビキタスに絞り込んで説明した。携帯電話向けの音楽配信が日本では市場全体の9割を占めていることや、ナップスターのサービス開始に代表される定額制のスタートといったトレンドを紹介した上で、「DRMが重視されるとともに、柔軟なDRM対応が求められるようになるだろう。一部には、閉じたハードだけで管理した方が安全だという指摘もあるが、私の個人的な意見では、オープンで柔軟な対応をしていくことが必要であると感じている」として、携帯電話、PC、携帯オーディオプレーヤーなどの複数のハードウェアで共通的に利用していくことを前提としたDRMの重要性を訴えた。

 デモストレーションでは、MUSIC Giantsから、F902iにロスレス音楽をダウンロードし、携帯電話で高音質の音楽再生を行なったが、携帯電話の高音質ぶりに関心する来場者もあった。

 堺氏は、この4つのカテゴリーにおいて、新たなユーザー価値が実現できるとしており、いまはその節目にあると位置づけた。



■ Vistaの開発状況は順調と発言

Vistaの開発は順調に進んでいるという

 一方、WindowsVistaの進捗状況についても触れた。堺氏は、「開発は順調に進んでいる。次世代のデジタルエンターテイメントのプラットフォームとして位置づけられ、さらに、パートナー各社とはWindows Vista対応に向けた協業を強力に推進している。マイクロソフトの社員は、全員がVistaのデモストレーションを行なえるように、約2時間に渡って、VistaとOfficeの講習を受けることになっている。私もそれを受けたが、楽しく使えるものになっている」と語った。

 最後に堺氏は、日本におけるパートナーシップについて説明。「マイクロソフトには優秀な開発技術者と、豊富なソフト開発能力、強力な製品ラインアップがある。また、グローバリゼーションに関するノウハウもある。こうした実績を生かし、日本の企業とのパートナーシップの成果を1+1を2以上にしていきたい。日本の強みを世界に発信するひとつの例が、今日発表したメモリーテックとのパートナーシップだといえる。日本アニメの強さとこだわりを世界に発信していきたい」と語る。

アニメコンテンツをHD画質に最適化することに関して、メモリーテックと協力することを発表した

 「日本において、デジタルエンターテイメントパートナー統括本部というグループを作った意味は大きい。コンシューマエレクトロニクス機器には、まだ解決しなくてはならない課題もあるが、新たな気持ちトランスフォーメーションを目指す」として、パートナーシップによる日本ならではのエンターテイメントソリュシーョンの実現に取り組んでいくことを示して、講演を締めくくった。

□CEATEC JAPAN 2006のホームページ
http://www.ceatec.com/2006/ja/visitor/
□関連記事
【CEATEC JAPAN 2005レポートリンク集】
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2005/link/ceatec.htm

(2006年10月4日)

[Reported by 大河原克行]


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