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日立、クラリオンをTOBで買収し子会社化へ
-最大約557億円。カーナビ/オーディオ事業強化


10月11日発表


 株式会社日立製作所は11日、クラリオンの株式を公開買付け(TOB)により、追加取得することで基本合意に達したと発表した。買付け開始公告日は10月25日を予定。買付け予定株式は所有比率50.0003%にあたる1億66万6,000株で、予定価格は1株230円。費用は約231億5,300万円となるが、応募株券の合計が買付け予定株数を超える場合でも比率100%まで全て買付ける。その場合の見積額は最大約556億6,900万円となる。

 これにより、クラリオンは日立の連結子会社となり、日立グループの一員となる見通し。なお、クラリオンは東京/大阪証券取引市場の第一部に上場しているが、日立の古川一夫社長は「現時点でクラリオンの完全子会社化は考えていない」とし、上場維持を希望。買い付けにより上場廃止基準に抵触した場合には「上場を維持するために必要な処置について、両社で協議する」としている。

 上場維持を意図したTOBの場合、買付けの上限を設けることが一般的だが、100%までとした理由について古川社長は「広く株主の皆様から応募を受け付けることを意図している」と説明した。

 日立とクラリオンは、2000年12月に車載情報システム(CIS/Car Information Systems)の開発を行なう株式会社エイチシー・エックスを合弁会社として設立。2004年12月には日立がクラリオンの株式を取得し筆頭株主となり、2005年4月にはCIS事業に関する包括的業務提携契約を締結。カーナビなどの技術開発や資材調達の面で協業を深めていた。なお、現在日立はクラリオンの株式の14%にあたる4,070万7,000株を所有している。

 しかし、カーオーディオやカーナビ市場の競争は激化。「包括提携から1年以上が経過したが、それだけでは他社との競争に打ち勝てない」(クラリオン 泉龍彦社長)と判断。日立による公開買付けに賛同することになったという。

日立の古川一夫社長。クラリオンを選んだ理由について「日立と最も補完関係が成立する企業だと感じている。また、2000年から続くお付き合いの結果、信頼できる会社だという思いを強くしたから」だという

 事業再編内容としては、クラリオンが日立の連結子会社化した後、現在は日立の100%子会社であるザナヴィをクラリオンの100%子会社化。クラリオンとザナヴィが一体となって、部品の共用化によるコスト削減や製品の共同開発などを進め、OEM/市販向けを含め、カーナビ/カーオーディオ事業を協力して推進するという。なお、ザナヴィは現在、日産自動車の車に搭載されるOEMを中心にカーナビなどを提供している。

 これにより、2010年度に車載情報システム事業における連結売上高2,900億円を目標として掲げた。2005年度のザナヴィの売上高は444億円、クラリオンは1,841億円。「日立グループの技術力、及びザナヴィの設計開発力、OEMでの国内実績と、クラリオンのブランド力、商品企画力やマーケティング力、グローバルに強みを発揮できる販売力などのシナジー効果により、十分達成できる目標だと考えている」(日立 長谷川泰二専務)という。

クラリオンの泉社長

 クラリオンの泉社長は買付けに応じた最大の理由として「カーナビやカーオーディオのデジタル化」を挙げる。「昨今のカーナビはナビだけでなく、オーディオやビデオを取り込み、パソコンと同じようなものになりつつある。クラリオンは昔から培ってきたモノづくりのノウハウや販売力は持っているが、デジタル技術には弱い。家電メーカーのナビがより高機能化していく市場において、日立の持つ様々なデジタル技術やソリューションを利用し、ユーザーを満足させる製品作りに取り組んでいきたい」と語った。

 製品以外の面では、毎年クラリオンが選定しているクラリオンガールや、クラリオンミュージックの今後について、日立の古川社長は「今後の詳しい事業展開についてはまだ決まっていないが、ユーザーや市場のニーズを見ながら、その都度判断していきたい」とした。

□日立製作所のホームページ
http://www.hitachi.co.jp/
□ニュースリリース
http://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2006/10/1011a.html
□クラリオンのホームページ
http://www.clarion.com/jp/ja/top.html

(2006年10月11日)

[AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]


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