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電気・技術者団体のIEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers. Inc)は10日、歴史的な業績を残した製品に与えられる「IEEEマイルストーン」として、日本ビクター株式会社が開発したVHS方式のビデオデッキを認定。11日に東京都内で授与式を開催した。
IEEEマイルストーンは'83年に制定され、電気・電子技術や関連分野において、歴史的に著しい業績を残し、社会に大きく貢献した事業に与えられる賞。日本でのIEEEマイルストーン認定は今回のVHSビデオデッキが6件目で、映像音響分野では初の受賞となる。 VHSビデオデッキは'76年9月9日にビクターが初号機を発表以来、2006年で30周年を迎えた。30年の間に生産された累計台数は9億台以上となる。VHSビデオは、ビクターが世界で初めて開発。長時間録画や小型軽量化、規格の互換性維持、生産性の高さなどの特徴から、消費者に受け入れられ、ディファクトスタンダードになった。 なお、IEEE マイルストーンでは、優れた技術だけでなく、「社会に貢献した」という点を重視している。そのため、発表後25年以上経った技術を認定しているという。 IEEE ヒストリーセンター トラスティーの大野栄一氏は、「歴史的な成果に対して、社会の人々にPRしていく」とマイルストーンの使命を紹介。「映像音響分野では初の受賞となるが、デジタル化の波が来ている。すばらしい精神を受け継いで、新しい技術ができあがることを祈願している」と語った。 なお、ビクターのVHSはIEEE マイルストーン認定としては72番目となり、国内では八木アンテナ、富士山頂レーダー、新幹線、セイコークォーツ、シャープ電子式卓上計算機に続く認定。
ビクターの寺田雅彦社長は、「VHSの登場により、誰もがテレビのタイムシフトをできるようになり、家庭から教育まで様々な分野で映像情報の一大インフラストラクチャを作り出した。また、映像撮影など、新しいコミュニケーションを生み出した。VHSは人々の心の風景を豊かに、毎日の暮らしをより豊かにした」と、VHSの意義をアピール。 また、「VHSへ込められた情熱は、我々の今の事業の柱である、高画質、高音質というハード/ソフトビジネスを切り開いてきた。VHSの成功には、開発時の技術者の先見性、優れた基本設計に加え、普及のための工夫、努力があった。この度の受賞は、技術立社というビクターのDNAを確認するまたとない機会」と同社の取り組みを振り返るとともに、「家庭用VTRの新たな産業創造に向けて、お客さんの視点からの互換性維持や新機能開発など、各企業の諸先輩の尽力も忘れてはいけない」と関連各社との協調についても言及した。 □ビクターのホームページ ( 2006年10月11日 ) [AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]
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