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ソニーは19日、7月に発表した2006年度の連結業績見通しを下方修正すると発表。売上高および営業収入は8兆2,300億円を維持するが、営業利益を当初の1,300億円から62%減となる500億円に、当期純利益を1,300億円から38%減となる800億円に修正した。税引前利益は1,500億円から700億円となる見通し。
下方修正の理由について同社では、DellやApple、Lenovo、東芝、日立などに供給したソニー製リチウムイオン電池に不具合があり、その自主交換にかかる費用が2006年度第2四半期に約510億円にのぼることを挙げている。 さらに、PLAYSTATION 3の日本における販売価格を値下げしたことや、PSP関連の売上げや利益が当初計画を下回る見通しになったことなど、ゲーム分野における売上げの減少と損失も拡大。エレクトロニクス分野においてもPS3向けの半導体生産の調整を行なうことで利益の減少が見込まれている。 ほかにも、為替レートが想定に比べて円安に推移したことも影響。プラス要素としては成長分野への人員の再配置が順調に進んだため、構造改革費用が500億円から400億円に下がったという。
ソニーでは今回の下方修正について「電池パックの回収や自主交換、PS3のスケジュール変更などによりマイナス影響を受けるが、エレクトロニクス事業全般としては液晶テレビやデジタルカメラなどでヒット商品も続いており、業績は順調に回復している」と説明。 PS3についても「導入当初は損失計上を見込んでおり、2006年11月の日本と北米、そして2007年3月の欧州への導入を着実に行なうことで、全世界的なプラットフォームとして展開/拡大が期待でき、2007年度には大幅な利益改善を実現できると考えている」としている。
■ 「エレクトロニクス全体は堅調」。PS3の確実な出荷と来期の利益改善へ
この発表を受け、ソニーは同日に都内で記者会見を開催した。 修正内容の詳細や理由については、同社執行役EVP兼CFOの大根田伸行氏が説明。冒頭、「一連のリチウムイオン電池回収・交換問題や、PS3の値下げと納入スケジュール変更などの条件を精査した結果、当年度の連結業績見直しが必要であるとの結論に至った」と述べた。 エレクトロニクス事業では、4月時点の見通しと比べ、ビジネス自体では約540億円の増加を見込んでいるが、下方修正の要因として、ノートPCのリチウムイオン電池交換問題や、PS3向け半導体の生産稼働率低下などの影響を説明。なお、増加額の内訳は「円安の影響が約350億円、残りはオペレーションの改善」だという。 一方で、「テレビ事業の下期黒字化の見通しについては変更はない。エレクトロニクス全体での下方修正は300億円にとどまり、当年度の営業利益率は構造改革費用計上後でも2%以上確保できる」とした。映画や金融などその他のビジネスに関しては、見通しの変更はない。
PS3関連のマイナス要素は約300億円に上る。内訳は「価格変更の影響が約160億円、(20GBモデルでのHDMI出力機能追加といった)仕様変更などによるものが約140億円。PS2は引き続き堅調に推移しているが、PSPは計画を下回る見込みで、生産出荷台数見通しを1,200万台から900万台に変更する」という。 PSPの今後については「“楽しみ方をどうやって増やすか”を課題として、ソフトや周辺機器の開発に取り組んでいる」とした。なお、第2四半期業績の詳細については、10月26日に行なわれる決算発表で明らかにされる。 バッテリ問題への対策については、自主回収により約960万パック、約510億円の費用を見込んでおり、安全、品質に関する専任の担当役員を9月1日付けで任命するなどの対策により、再発防止と信頼回復を図る。なお、回収対象の約960万パックのうち、約800万パックはPCメーカーに納められており、残りはセルの形で販売。「基本的に全てPC向け」としている。 また、PS3の出荷について、「ソニーグループの最重要戦略商品として、成功に向けグループ一丸となって早期立ち上げに取り組む」とし、株主に対しても「(2006年度内目標の)600万台を今期中に出荷し、来期に向かって利益を改善する、という形で答えていく以外にない」との決意を表した。
□ソニーのホームページ
(2006年10月19日) [AV Watch編集部/nakaba-a@impress.co.jp/yamaza-k@impress.co.jp]
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