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松下電器、価格下落傾向の中、薄型テレビ単価が3%上昇
-中間期連結決算発表。上期は過去最高の売上高に


大坪文雄社長

10月27日発表


2006年度上期の連結決算概要

 松下電器産業株式会社は27日、2006年度中間期連結決算を発表した。

 売上高は、前年比3%増の4兆3,895億円、営業利益は21%増の2,074億円、税引前利益は51%増の2,325億円、当期純利益は79%増の1,151億円となり、「上期としては5年連続の増益。売上高は過去最高を達成した」(大坪文雄社長)という好決算となった。

 特に第2四半期は、売上高2兆2,526億円に対して、営業利益は1,423億円となり、営業利益率は6.3%に拡大。その中で、デバイス事業が2桁の営業利益率を確保するなど、通期5%の営業利益率達成に向けて順調に推移していることを示した。


■ AVCネットワークが過去最高の営業利益率に

川上徹也副社長

 国内におけるPanasonic商品は、薄型テレビやデジカメが好調で前年同期比5%増、National白物商品は11%増、電池や管球、ドライヤー、シェーバーなどのNational小物商品も2%増と、いずれも業績を伸ばした。

 セグメント別では、AVCネットワークの売上高が前年同期比1%増の1兆9,087億円、営業利益が20%増の1,015億円。営業利益率は5.3%。「第2四半期には、6.9%の営業利益率となっており、AVCネットワーク始まって以来の高い水準」(川上徹也副社長)とした。


国内市販商品の販売実績 AVCネットワークの営業利益は20%増の1,015億円に

 薄型テレビでは、プラズマテレビが40%増の2,574億円、液晶テレビが34%増の1,014億円といずれも高い伸張。「薄型テレビ全体では、3,588億円となり、前年同期に比べて1.4倍に拡大した。また、業界全体では約2割の価格下落があり、松下電器でも13%の価格下落の影響があったが、国内では逆に3%上がっている」(川上氏)と、価格競争のなかで、同社薄型テレビの平均単価が上昇していることを示した。同社では、年末商戦において、市場全体では25~30%の価格下落があると見ている。

 また、液晶テレビ陣営が大画面化を進めていることに対して大坪社長は、「プラズマと液晶の競争はまだ続く。だが、大画面になればなるほど、動画応答速度が重視され、プラズマの優位性が発揮できる。103インチのプラズマテレビを発売したが、予想を上回る注文があったことでも、プラズマの大画面での優位性を証明できる」と説明。

 大坪氏は「大画面ならばプラズマというイメージづくりを全世界で展開したい。大画面化に関してはあらゆる部分で先手を打つこと、動画応答性の優位性を訴えること、オーディオや次世代DVDなどとともにワンパッケージで提案し、その結果、操作しやすい環境を提供できるといった強みを生かしていきたい」とした。

 主要製品の実績では、デジタルカメラが72%増の953億円、DVDレコーダが3%減の487億円、音響機器が18%減の749億円、情報機器が6%増の6,529億円、移動体通信は33%減の1,342億円。「パソコンは好調に推移している」(川上副社長)とした。

 さらに、「携帯電話はテレビと双璧となるデジタル商品であるが、いまは開発効率をあげる努力をしており、そのために、NECと協業を進めている。まずは国内市場に力を注ぎ、来年度以降、ドコモに対するシェアナンバーワンを目指す。その後に、マルチキャリアへの展開を進めていく。そして、その次の段階で海外に出るのか、あるいは松下電器が得意とするデジタル家電とのネットワークで、携帯電話の付加価値をどう高めていくのかということを考えたい」(大坪社長)としている。


■ ビクターは第3四半期が勝負

 一方、白物家電のアプライアンスは売上高が6%増の6,371億円、営業利益が2%増の403億円。デバイスは売上高が1%増の6,853億円、営業利益が50%増の506億円。電工・パナホームは、売上高が6%増の8,912億円、営業利益が14%増の325億円となった。日本ビクターは、売上高が3%減の3,272億円、営業損失がマイナス10億円の赤字となった。

 「日本ビクターは、ほぼ計画通りに進捗している。第3四半期が勝負になる」(川上副社長)とした。

アプライアンス デバイス ビクターの業績

 戦略商品である「V商品」は、上期実績で71品目を投入。約7,750億円を売り上げた。「V商品は合理化効果を発揮する商品ともいえ、収益貢献力が高い」(川上副社長)という。

 なお、2006年度の業績見通しに関しては、「為替の影響や、原材料の高騰、薄型テレビの猛烈な価格競争の影響もあり、第3四半期の決算発表時点で改めて発表したい」として、据え置いた。

V商品の販売動向 主要ドメイン会社の業績

 また、ソニー製リチウムイオン電池の回収問題によって、松下電器の電池事業への影響はないとしたほか、FF式石油暖房機の回収については、「最後の1台まで探し出す姿勢は変えていない。今年も専任組織で取り組んでいく。テレビCMや新聞広告だけでなく、ガソリンスタンドの給油の売り上げレシートの裏にも、対象となる型番を表記するなど、昨年にも増してきめ細かくやっていく」(大坪社長)とした。なお、費用に関しては、「昨年に比べると一桁違うことになる」(川上副社長)としており、数10億円規模の対策費用になる見込みだ。

 さらに、大坪社長は、2010年にグローバルエクセレンスへの成長を掲げるなかで、営業利益率10%を示したことについて、改めて言及した。

 「営業利益率10%は、2004年1月の経営方針説明会において、中村現会長が、躍進21計画で打ち出したグローバルエクセレンスの内容のひとつとして触れたもの。社内でも、緊張感を維持するために、5%の次にはさらに高い目標があるということで、この数字を示してきた。10%は大きな目標として意識しており、毎日忘れたことはないが、コミットメントというわけではない」と説明。

 大坪氏は「スポーツ選手は、オリンピック出場を目指すが、そこでメダルが欲しいと思うのは素直な気持ち。これが、松下電器にとっては10%に当たる。ただ、現在、オリンピックという国際試合に出るための条件として、国内での実績をあげなくてはならないという段階。それが5%の営業利益率ということになる。ここで勝たなくては次に進めない。5%を達成して、国際試合に参加できるようになる。しかも、国際試合に参加しても、予選から決勝というように進めていかなくてはならず、それが2007年から2009年にかけての中期経営計画となる。この結果を経て、メダルの色を考えよう、あるいはメダルはあきらめて、入賞を果たすことだけを考えるという判断をすることになる。10%の数字はそういうものであると認識している」として、営業利益率10%が社長としてのコミットではないことを再度強調した。

 また、大坪社長は、6月に社長に就任してから、初の決算発表会見への出席ということもあり、現在までの所感についても述べた。

 そのなかで大坪社長は、「今年4月からは担当していたPAVC社を離れ、それ以来、7カ月を経過した。その間、松下グループの国内外の開発設計拠点、工場を約20カ所訪問した。また、国内外の代表的な他社の開発拠点、工場も5カ所訪問した。感じたのは、松下グループの事業領域の広さと、各部門における技術進歩の時間軸の違いと、業界規模の差、そして、市場がグローバルが対象なのかそうでないのか、という違いがあること。だが、部門ごとの事業に違いはあっても、他の部門の開発プロセスをなぜ取り入れないのか、グローバルの実績をなぜお手本にしないのかといったことを感じた」という。

 一方で「社内には多くの成功事例と失敗事例があり、これが共有化されれば、さらに収益力の底上げができる。衆知を集めたモノづくり立社を目指す上で、それぞれが入り交じって、いいところを吸収する、あるいは2度と失敗を繰り返さないようにすることができるだろう」とした。


□松下電器産業のホームページ
http://panasonic.co.jp/index3.html
□2006年度中間期 連結・単独決算概要
http://www.panasonic.co.jp/corp/news/official.data/data.dir/jn061027-1/jn061027-1.html
□関連記事
【7月26日】松下電器、過去最高の第1四半期決算に
プラズマの優位性を改めて強調
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20060726/pana4.htm
【7月7日】松下、大坪新社長が薄型TV売上1兆円を掲げる
-就任会見開催。「フェーズチェンジ」と「現場主義」
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20060707/pana.htm

(2006年10月27日)

[Reported by 大河原克行]


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