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D-pa、オークションの放送番組違法出品の監視を開始
-Webサイトで違法情報を受付。実務はACCSに委託


登壇者は、D-paの高嶋光雪氏、NHKの竹中一夫氏、テレビ朝日の大塚隆広取締役、フジテレビの佐藤信彦氏、ACCSの三橋信司氏の5名

1月25日発表


 社団法人地上デジタル放送推進協会(D-pa)は25日、放送番組を録画したDVDなどのネットオークションにおける違法出品の監視と対策を開始すると発表した。

 D-paは対応にあたって内部に「放送コンテンツ適正流通推進連絡会」を設置し、事務局として活動するほか、ネットオークションの違法出品への対応経験の多い社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)に主な業務を委託し、対策を進める。

 開始する主な対策は、ネットオークション内を能動的にパトロールするほか、放送事業者に寄せられた違法情報をAACSに一元化、放送事業者を介さずに直接ACCSに連絡が可能な違法情報提供窓口の設置、放送番組の著作権に関する周知広報活動の4点。

 ネットオークション内のパトロールについては、放送事業者から寄せられたパトロールの条件をD-paで集約し、実際の活動については、ACCSが実施する。

 各放送事業者に寄せられた違法情報の対応については、ACCSへの連絡手段や、必要な情報などを共通の連絡用フォーマットにまとめ、それを利用することで、ACCSへの迅速な連絡と、ACCSからオークションサイトへの削除要請が潤滑に行なえるようにする。

 また、放送番組の著作権に関する周知広報活動の一環として、ACCSがWebサイト「ホットライン・テレビ番組著作権」を開設し、管理、運営を行なっていく。同サイト内には、直接ACCSに違法情報の連絡が行なえる受付窓口を設けるほか、放送番組の著作権に関する情報などを掲載する。

 違法情報については、「Yahoo!オークション」を代表とするネットオークションに出品された、著作権を侵害している出品情報のほか、動画共有サイト「YouTube」や、違法アップロードサイト、海賊版販売サイトなどの情報を受け付ける。実際にACCSが削除要請を行なうのは、当面Yahoo!オークションのみで、他のオークションサイトなどについては、件数の増加などに伴い、検討していくとしている。

ACCSが制作、管理、運営する周知広報サイト「ホットライン・テレビ番組著作権」 情報提供は、オークションのほか、YouTubeなどの動画共有サイトの情報にも対応 著作権について広く知ってもらうため、クイズなどで分かりやすく解説するページも用意する



■ 個人が気楽に違法出品するケースが増加

 D-paでは、オークション対策の開始において、記者説明会を実施。会場には実際に販売された海賊版と、同タイトルの正規版を並べて展示したほか、違法出品対策の必要性についての説明を行なった。

会場では、コンテンツの正規版と海賊版のDVDを並べて展示。映画やアニメだけでなく、ドラマやドキュメンタリー番組などの海賊版も 左が海賊版、右が正規版。パッケージのデザインは全く異なるが、実際のパッケージを見たことがなければ海賊版とは判断しにくいものもある 海賊版の映像例。放送時にしか挿入されないはずの提供情報が表示されている

 デジタル放送が、B-CASカードを利用したコンテンツ保護施策を実施しているのに対して、アナログ放送では、著作権保護機能がない点を強調。アナログ放送の番組は録画した放送番組の複製が容易なため、現在ではアナログ放送の番組を録画したDVDなどを販売するケースが増加しているという。

 これまでの違法出品は、違法業者によるケースが主流だったが、最近では個人の利用者による出品も増加しているという。その背景として「機器の高機能化や、低価格化などにより、高品質の録画機器が広く普及したこと。また、ネットオークションの認知度が広まり、利用者が増加したのに加えて、匿名や偽名での商品売買が可能であることなどから、一般の利用者が気軽に放送番組を録画したDVDなどを販売するケースが増えている」としており、具体的には「在京の放送事業者が把握しているだけで、年間1万件の違法出品が行なわれている」という。

知名度の高いキー局の番組だけでなく、ローカル番組の海賊版も多くオークションに出品されているという アナログ放送に著作権保護機能がない点もテレビ番組の複製による海賊版を助長しているとした 違法業者だけでなく、個人による違法出品も増加

 また、違法行為であることの意識が欠如している点も指摘し「著作権侵害が親告罪であることから、犯罪意識が欠如している。さらに、こうした違法行為は、コンテンツホルダの意欲を低下させ、最終的には良質なコンテンツが減少してしまう。その結果として、それを楽しむ利用者に害が及ぶという点を理解していない」とした。

海賊版販売を実施する違法業者のサイト。ドラマなどは全話収録で2,000円未満と低価格で販売 個人の出品も増加するネットオークションの例。画像の出品者はすでに逮捕済だという 海賊版の蔓延が進むと、製作サイドが成り立たなくなることから、優良コンテンツが減少し、利用者にとっても不利益になっていく点を強調

発表会の司会進行は、NHKの島津有理子アナウンサー。サイトのURLの書かれたボードを掲げてアピール。「年間に1万件も違法出品があったなんて知りませんでした」

 これまでは、このような違法出品を発見した場合、各放送事業者が個別にオークションサイトへ削除要請を行なうなどして対応していた。しかし「削除のための手順が分からず、対応に時間がかかる場合があったほか、地方の放送事業者などでは、人員不足などから、オークションサイトの監視などが行なえないという問題があった。また、違法出品の削除が平日に多い点を逆手に取られ、土日に大量出品し、削除を逃れるケースも増えている」という。

 そのため、全国の地上デジタル放送事業者が会員となっているD-paが、オークション対策を開始することで、全国の放送事業者を保護できる、と説明した。なお、アナログ放送停波に伴い、オークション対策を終了するかについては、現状では未定としており、「デジタル放送のみになれば、放送番組の複製による違法出品はなくなるはずだが、その頃の違法出品状況や、技術などを確認した上で、随時検討を続けていく」とした。


□D-PAのホームページ
http://www.d-pa.org/
□ニュースリリース(pdf)
http://www.d-pa.org/information/pdf/information_070125.pdf
□ホットライン・テレビ番組著作権のページ
http://www.tv-copyright.jp/
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( 2007年1月25日 )

[AV Watch編集部/ike@impress.co.jp]


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