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株式会社日立ディスプレイズは30日、従来のアモルファスTFT生産ラインに巨額な投資を行なわずに、低温ポリシリコンが最適に生産できるという製造技術を発表した。量産への適用は2007年中に行なわれる見通し。 ワンセグ放送などに対応するため、モバイル機器の液晶ディスプレイの高精細/高画質化が進んでいる。これに伴い、現在はQVGAが主流の携帯電話でも、VGA解像度のIPS液晶の需要が増加していくと考えられている。 しかし、QVGAからVGAでは画素数が4倍となるため、VGAパネルは、一般的に電子移動度(電子の動きやすさの値)が大きく、回路内蔵が可能な低温ポリシリコン生産ラインで作られている。 また、アモルファスTFT生産ラインでは薄膜シリコンの結晶化ができないため、低温ポリシリコンを生産することはできなかった。 そこで、日立ディスプレイズは日立製作所の研究開発本部と共同で新技術を開発。最大の特徴は、SELAX(Selectively Enlarging Laser X'tallization)と呼ばれる、高性能なポリシリコン薄膜を部分的に形成する結晶化技術を使用したこと。 固体レーザーのパルス幅を制御し、TFT液晶パネルに塗布されるポリシリコンに照射することで、シリコン薄膜を最適条件で融解・凝固でき、擬似単結晶シリコンが形成できる。 この技術を利用し、アモルファスTFT基板の中で、周辺回路内蔵部のような大きい電子移動度を必要とする部分のみに固体レーザーを照射。シリコンの結晶化と横方向の結晶成長を同時に実現した。これにより、大面積のガラス基板に位置精度良く結晶領域を形成でき、通常の低温ポリシリコン工程に比べ、良質な結晶を短時間で作れるようになったという。
日立ディスプレイズでは、千葉県茂原市にあるV3ラインに同技術を適用。2.2型換算で月産100万台の生産能力増強を見込んでおり、月産200万台の生産能力を持つ従来の低温ポリシリコン生産ラインと合わせ、月産300万台の生産体制を構築できるという。
□日立ディスプレイズのホームページ
(2007年1月30日) [AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]
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