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デジタルテレビ用ポータル「アクトビラ」がスタート
-2007年度中にHDコンテンツのストリーム配信も


2月1日スタート


 2月1日、デジタルテレビ向けのポータルサイト「アクトビラ」がスタートした。

 アクトビラは、松下電器が推進してきた「Tナビ」や、So-netによる「TVホーム」など、各社のサービスを統合させたテレビ向けポータルサイト。サービスを提供するテレビポータルサービス株式会社は、松下電器、So-net、ソニー、シャープ、東芝、日立の6社共同出資により設立された事業会社で、各家電メーカーで同一の画面、ナビゲーションを提供することがTナビなどとの大きな違いとなっている。

アクトビラトップページ。Tナビ対応のビクター「LT-26LC80」でもアクトビラにアクセス可能

 対応テレビとしては、松下電器のVIERAシリーズを始め、2005年発売のソニー「BRAVIA X1000シリーズ(最新のX2500シリーズは対象外)」、ビクター「EXE LC95シリーズ」などが用意されている。その他、既発売のTナビ対応テレビでも利用可能となっている。

 対応テレビであれば基本料無料で利用でき、サービス開始当初は静止画とテキストによるコンテンツが利用できる。2007年度後半にはVODサービス、2008年度にはダウンロード型のサービスも予定している。

 コンテンツはテレビ番組の関連情報、DVDやCDのランキング情報、独自取材によるグルメ情報などのほか、ニュースや天気、株価、地図、交通といった生活情報を用意し、現時点では約60種類のコンテンツを用意。3月末には100コンテンツまで拡充する。


アクトビラの初期設定画面 トップページ。上部のタブから番組情報や交通情報などを選択する


■ 既存サービスとの違いはUIの作りこみ

ポータル編成グループ 水谷祐司グループマネージャー

 TナビやTVホームの既存サービスをベースにしながらも、アクトビラでは「特にユーザーインターフェイスの改善を図り、デジタルテレビに適したサービスを目指した(テレビポータルサービス ポータル編成グループ 水谷祐司グループマネージャー)」という。

 リモコン操作が基本となるが、さらにリモコンのキー操作をなるべく省略することに注力。ニュースをスライドショーで表示したり、広告も複数の画像を一定時間で順送りに表示し、最後の画面で詳細情報を出すなどの工夫を施すなど、既存のテレビ用ポータルサービスと比べ、使い勝手の改善を図った。


TV番組情報 ニュースもスライドショー表示 株価情報なども提供

 現時点ではユーザーごとにコンテンツをパーソナライズして表示するなどの仕組みは備えていないが、今後検討を進めていく方針。また、郵便番号を登録することで、天気情報や電車の乗り換え検索などでは居住地域の情報を最初に表示できる。

初期設定の郵便番号情報を元に天気予報を表示 広告もスライドショーで表示される サービス・メニュー

 アクトビラは、テレビのリモコンですぐに簡単に使えることを目指したテレビ専用サイトという位置づけ。アクセスには各テレビのブラウザ機能を利用するため、テレビのブラウザ次第でPC向けサイトの閲覧も可能となっている。

 ただし、アクトビラ対応にあたり、FlashやWindows Media Playerなどの対応は必須でないため、YouTubeや各種動画ファイルの直接再生などはできない。「それら(外部のコンテンツ)を正式にサポート、誘導するというのはアクトビラとしては難しい。アクトビラの用意したコンテンツを楽しんでいただくのが基本」としている。

 アクトビラでは「Walled Garden(塀で囲まれた庭)」というコンセプトを掲げている。これは、「家電らしい安心、安全なサービス」という基準を満たしたコンテンツを提供していくという考えで、「いきなり誰もがインターネットの海に出て行く、考えではない。固定的に考えているわけではないが、まずは家電らしい安心できるサービスとして提供していきたい(テレビポータルサービス 大野誠一社長)」という。

 また、PCからはアクトビラのコンテンツ閲覧はできない。アクトビラ対応テレビはそれぞれに固有IDを有しており、その機器IDベースで認証を行なっている。そのため、機器IDが無いPCのブラウザなどからのアクセスは弾いている。

 なお、テレビ放送との2画面については、「テレビを見ながらアクトビラを使うというシーンは当然出てくるはず。テレビ側の商品企画で対応は可能」という。

テレビのブラウザを使えば外部のサイトも閲覧可能だが、リモコン操作のためナビゲーションは難しい 既発売のVIERAでもアクトビラとの2画面表示に対応している


■ HDでのストリーミングやVOD配信も予定

 現時点ではテキストと静止画をベースとしているが、同社では2007年度内にストリーミングによる動画配信(VOD)サービスをスタートする予定。2008年度中にはダウンロード/蓄積型の映像配信サービスを予定している。

テレビポータルサービス 大野誠一社長

 同サービスやテレビ側の仕様については「メーカーサイドの技術仕様は、デジタルテレビ技術研究会で定めており、まもなく映像配信の仕様が確定する。3月末頃を目処にオープンにする」とのことで、映像コーデックはMPEG-2、H.264/MPEG-4 AVCを予定している。

 詳細については確定していないが、HDへの対応も予定しており、「H.264の場合、約6MbpsでのHDコンテンツを配信できると考えている」という。

 また、ダウンロード/蓄積型のDRMについてはMarlinを利用する見込み。ハードウェアの技術仕様を元に、サービスの運用規定についても策定作業を進めていく。

 サービスの具体的なイメージについては「各社の製品企画にも関わってくる。HDDレコーダを内蔵しているテレビでは、テレビでダウンロードするだろうし、DVDレコーダなどとの連携なども考えられる。各社の今後の製品企画に依存する」という。

 なお、ストリーミングやダウンロードなどの新しいサービスについては、現在発売されている「アクトビラ」対応テレビではサポートされない見込み。「製品によっては、一部対応できる製品もあるが、新しい製品が出たらビデオ対応のアクトビラなど新しい形の製品として訴えていく」としており、新サービスのビジネスモデルについても、広告モデルや、有料PPV/VODなどの方針をコンテンツプロバイダと協力しながら検討していく予定。

 現時点ではほとんどが無料コンテンツとなっているが、1部で有料コンテンツも用意。決済機能としては、クレジットカードに対応。子供向けに3,000円だけ与信を与える、といった利用も可能となっている。さらに、今後は、「マイクロペイメントの決済サービスも増えているので、順次対応は検討していきたい」としている。


■ レコーダや海外メーカーでも対応製品を

 「まだ、アクトビラのサービスはファーストステップ。ただし、今後、発売されるデジタルテレビにはなるべく全て入るように取り組んでいきたい。テレビそのもののがネット端末となるようにしていきたい(大野社長)」とし、国内大手テレビメーカーを中心に、対応製品の拡大を図る。

 なお、海外展開については、「ネットワークの環境や放送事情も異なることから、まずは国内から展開したい」としている。STBやDVDレコーダへの内蔵も、「将来的にはあり得る」としている。

 アクトビラ対応のためには、技術仕様に準じたWebブラウザ機能やネットワーク対応に加え、機器に固有のIDが要求されるため、同社との契約が必要となるが、「仕様を満たした製品については、契約ベースでどこにでも提供する」とのこと。海外メーカーや、格安テレビのメーカーなどについても、「技術仕様に準じた製品であれば、アクトビラ対応にできる。既に興味を持っていただいているメーカーもある」という。

□アクトビラのホームページ
http://actvila.jp/
□関連記事
【2006年10月2日】デジタルTV向けポータル「アクトビラ」が2007年2月開始
-「Tナビ」や「TVホーム」を吸収。新DRM「Marlin」採用
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20061002/tvps.htm

( 2007年2月7日 )

[AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]


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