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米AppleのジョブズCEO、4大レーベルに「DRM完全撤廃」を提案
-「許可されればiTunes StoreはDRMフリーになる」


2月6日発表(現地時間)


スティーブ・ジョブズCEO

 音楽配信サービス「iTunes Store」で販売している楽曲にDRMを施し、iPodのみで再生できるようにしているのは消費者を束縛するものだという意見に対して、米Apple(Apple Inc)のスティーブ・ジョブズCEOは現地時間の6日にコメントを発表。4大レーベルを含めたレコード会社にDRMそのものを捨てるよう提案した。

 iTunes Storeで販売している楽曲には、「FairPlay」技術を利用したDRMがかけられている。これについてジョブズ氏は、「iPodはMP3やAACなど、オープンなフォーマットを再生できる。また、iTunesはDRMの無いAACやMP3フォーマットでCDから楽曲をインポートできる。こうした楽曲はiPod以外のプレーヤーでも再生可能だ」と反論。

 その上で「販売はしているが、Appleは楽曲自体を所有していない。問題要因のDRMを採用している理由は、Universal、Sony BMG、Warner、EMIの4大レーベルからiTunes Storeでの楽曲販売契約を結ぶためだ。4大レーベルはネットでの音楽配信に際して違法コピーを防ぐため、DRMによる保護を求めていた」と説明。

 ジョブズ氏はDRMが万が一破られた場合、数週間でその問題が解決できなければ、4大レーベルは楽曲を引き上げてしまうという契約内容を紹介しながら、「Appleはそうした中で、楽曲を最大5台のPCで再生できるようにしたり、iPodに無制限で転送できるようにしたりと、ユーザーの利便性を高める画期的なサービスを提供してきた」とアピール。

 さらに「そもそもどんなに高度な暗号化を行なっても、それが再生できるプレーヤーが存在する以上、完璧なDRMシステムを作るのは難しい」とし、破られれば新しい暗号解読キーを用意する、“イタチごっこ”になるだけだと説明。

 その上で、今後について3つの選択肢があると提案。1つは「現状維持」。「マイクロソフトのZuneではZune用ショップで購入した楽曲を、ソニーのプレーヤーではConnect storeで購入したもの、iPodはiTunesで……となる。1つのプレーヤーを購入すると、その会社に縛られることになると主張する人もいるだろう。だが、我々は2006年末までに9,000万台のiPodと20億曲を販売している。1台のiPodには1,000曲が入るが、iTunes storeで買った曲は22曲しかなく、3%に過ぎない。この数字がユーザーをiPodのみに縛り付けるものとは思えない」とする。

 2つめは、FairPlayを他社にもライセンス提供するというもの。だが、ジョブズ氏は「ユーザーの選択肢が増え、Appleもライセンス料を得られ、一見名案に思える。だが、FairPlayの提供は多くの会社/人々にDRMの秘密が知られることになり、ネット上では一度漏れてしまえば瞬く間に広がるだろう。そうなった場合、多数のソフト/プレーヤーのアップデートなどをしなければならず、問題の解決は不可能に近い。この選択肢では、4大レーベルの楽曲保護は保証できない」と問題点を挙げる。

 そこでジョブズ氏は、最後の3つ目として「DRMの完全撤廃」を提案。「全ての楽曲配信サービスがDRMのかかっていない楽曲ファイルを販売し、どんなプレーヤーでも再生できる世界。消費者にとって最良の選択であり、Appleも喜んで迎え入れたい。4大レーベルが許可するなら、iTunesはDRMフリーに切り替える」という。

 ジョブズ氏によれば、DRM保護がかけられていない音楽CDは2006年に200億曲が販売されたという。「DRM付き楽曲は20億曲しかなく、90%以上はDRMの無い楽曲だ。こうした状況を音楽会社は変える様子もない」とし、一部の楽曲にのみDRMをかける音楽会社の矛盾を批判。「DRMに関連する負担を無くせば、革新的なストアやプレーヤーに投資しようとする新しい企業も音楽産業に参入するだろう」と予測した。

 AppleのDRMに関する批判はレーベルの多い欧州で多いが、最後にジョブズ氏は「現状に不満があるならば、DRMを廃止するように音楽会社を説得することに注力すべきだ」と締めくくっている。

□米Appleのホームページ (英文)
http://www.apple.com/
□ジョブズ氏のコメント (英文)
http://www.apple.com/hotnews/thoughtsonmusic/

(2007年2月7日)

[AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]


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