◇ 最新ニュース ◇
【11月30日】
【11月29日】
【11月28日】
【Watch記事検索】
富士通、微弱電波を利用したワンセグ配信システムを開発
-約3m圏内のワンセグケータイに映像やデータを配信


3月5日発表


 富士通株式会社は、微弱電波を利用してワンセグによるコンテンツ配信を行なうシステム「スポットキャスト」を開発した。今夏の商用展開を目指し、用途の提案やパートナーとの協力を図っていく。

スポットキャストの利用イメージ

 スポットキャストは、ワンセグの伝送方式(ISDB-T/ISDB-Tsb)を用いながらも3m程度の近接距離のみに出力される微弱な電波を利用するため、免許が不要ながら既存のワンセグ機器に映像や音声を配信できるシステム。

 同社では、3mの距離における電界強度が35μV/m以下の微弱電波であれば、免許が不要となる点に着目。専用にオーサリングを施した、映像やBMLを用いたデータ放送コンテンツをUSBメモリやネットワーク経由で、同社が開発した送信機から伝送。携帯電話などのワンセグ機器を使って、コンテンツの閲覧が行なえる。

 応用事例としては、ショッピングセンターの催し、バーゲン情報などの詳細情報の提供や、観光施設での展示情報配信や多チャンネル放送による多国語案内の提供、CD/DVDショップでのストアイベント告知などを提案している。


観光施設やDVDショップなどでの応用も 送信機からの伝送される番組を近接距離で受信
送信機の近く(左)だと受信できるが、少し離れると映像が止まってしまう(右)

河嶋英治 プロジェクト部長

 同社ネットワークサービス事業本部 事業企画部の河嶋英治 プロジェクト部長は「簡単な機能なので、多くの人がいろいろな用途に気づくと思います。様々なパートナーの意見を聞いて、事業化に取り組んでいきたい」としており、パートナーからの用途提案を呼びかけている。

 富士通では、スポットキャスト用にワンセグ専用の変調器LSIや、専用送信機、H.264のエンコーダなどを新たに開発。変調LSIはワンセグの限定仕様とすることで消費電力を低減。同LSIを組み込んだ送信機も小型化や消費電力化とともに、ファンレス化を実現しているという。


送信機 携帯電話で受信 システムの概要

開発技術の特徴

 また、H.264エンコーダは、同社のハイビジョン映像電送伝送システム「IP-9500」でも採用された富士通研究所製のアルゴリズムを適用し、映像品質を向上しているという。

 送信機にはUSB端子やEthernetを装備しており、USBメモリやネットワークからのコンテンツを変調し、微弱電波を用いて伝送する。なお、コンテンツの制作については、顧客のニーズに合わせ同社が製作するほか、製作ツールの提供なども含め、今後パートナーと話し合って決めていくという。

 発表会場では体験デモが行なわれ、同社が用意した携帯電話のほか、手持ちのワンセグ携帯でも受信できた。手持ちの携帯電話でスポットキャスト送信機近くでチャンネルスキャンを実行すると、通常、東京都内では空きチャンネルとなる19chにスポットキャストの番組が現れ、同チャンネルを選択して視聴できた。

手持ちの携帯電話「W51CA」でも受信可能

 なお、受信可能な距離については、「携帯電話の場合は3m程度だが、端末による受信感度の違いがかなりある」という。そのため、実際のサービスに当たっては、サービスの仕様にあわせた専用端末の提供なども検討。また、チャンネルスキャンの仕組みも機器によって異なるため、こうした機器側の整備も今後の課題という。

 既に送信機の開発はほぼ終了しており、今夏の販売に向けて、製作環境の整備や応用事例の検討などを進めていく。基本的にはシステムでの販売となるが、送信機単体では「数十万円でなるべく低価格を目指す(ネットワークサービス事業本部 経営執行役 川妻庸男氏)」としている。


□富士通のホームページ
http://jp.fujitsu.com/
□ニュースリリース
http://pr.fujitsu.com/jp/news/2007/03/5.html

( 2007年3月5日 )

[AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]


00
00  AV Watchホームページ  00
00

Copyright (c)2007 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.