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「ダビング許可」などコピーワンス見直しで議論
-議論は平行線。新ルールの可能性も検討


3月9日開催


 総務省の情報通信審議会は1日、情報通信政策部会 デジタルコンテンツ流通促進等に関する検討委員会 第12回を開催。放送事業者や機器メーカー、消費者団体などの代表者が、コピーワンスの改善のあり方について議論を行なった。

 現在運用されているコピーワンスは、現在の地上デジタル/BSデジタル放送のほぼ全ての放送に、「1回だけ録画可能」の制御信号を加えて送信するもの。現在の運用ルールでは、コピーワンス信号を付加された番組は、対応メディアに“一回だけ”録画できる。レコーダのHDDからDVDやBlu-ray Discなどへ“ムーブ“すると、HDDに記録したデータは、光ディスクに転送した後、HDD上から消去される。

 しかし、アナログ放送に比べて不便になるなどの意見が多く、近年、地上デジタル放送については、運用見直しが検討されていた。ただし、昨年の情報通信審議会15回総会で、JEITAが提案した出力保護付きでコピー制限無し(EPN運用)の導入を前提とした検討の方針が示されたものの、EPN運用には「実質上のコピーフリー」と反対する意見も多く、現在まで結論を得られずにいる。


■ 「COG蓄積」を提案。アナログ出力の許可も

 12月に開催された同委員会では、現行のコピーワンスやEPN運用のほか、コピーワンスとEPNの併用提案や、「1世代だけコピー化(COG)」の考え方を拡張して、HDDに録画した後、ムーブでなくコピーを許可する改善策(COG蓄積)が、提案されていた。

 今回の委員会では、事務局からこの「COG蓄積」について解説が行なわれた。現在の運用ルールの場合、放送波をHDDに録画した際に、「1世代のコピーが完了」となる。そのため、レコーダ内の番組はすでに「コピー不可(No More Copy/NMC)」で、DVDのダビングと同時に、HDD内のコンテンツを削除する「ムーブ」となってしまう。

 これが「COG蓄積」による運用となると、HDDに録画した時点から1世代のコピーが許可されるため、一般的なHDD/DVDレコーダではHDDの番組を削除せずに、1世代DVDのコピーが作成できる。また、ダビング前のHDD内の番組のアナログビデオ出力も、現在の運用ではNMCとなるためダビングできないが、COG蓄積ではHDDの番組がコピーを許可している状態のため、アナログダビングも制限無く行なえる。

 ただし、COG蓄積でも、地デジチューナからIEEE 1394経由(著作権保護機能としてDTCP利用)でHDDに録画した場合は、DTCPの暗号化を一度通るためNMCとなり、HDDからDVDへのコピーは許可されず、ムーブになるという。


■ 議論は平行線。新しいルールの検討も

 COG蓄積などの提案こそ行なわれたものの、放送事業者や権利者団体、消費者団体、機器メーカーの議論は平行線をたどった。

 NHKや民放キー局らは、「実質コピーフリーで、さらに“孫コピーが可能”」という点を指摘し、EPNに反対。「何らかのコピー制御は必要」という姿勢で一致している。以前の委員会で提案された、番組ごとのEPNとコピーワンスの併用については、「NHK教育テレビなどで、具体的にどの番組がEPN化できるかなど、検討は進めている(NHK)」という。ただし、出演契約や送出の複雑化、消費者の混乱などを理由に、COGを中心に考えていく姿勢を示した。

 各局ともコピーワンスをベースにしながらも、運用の見直しには賛成の姿勢を示し、「メーカーや消費者もやろうということでまとまれば、コピーワンスではなくもっと踏み込んでもいい(テレビ朝日)」と新しいルール形成への意欲も覗かせた。

 一方、機器メーカーは、EPNが現行の運用規定に含まれていることから、「既に製品は販売されている。解としてはEPN」と訴えた。

 また、それぞれの立場からコピーワンスとEPNの原則論に終始し、議論が平行線をたどっていることから、「2つのベストな方法の優劣を競うよりは、コピーワンスが不便という声に応え、双方でよりよい方法を考えて実行する時期では」など、進まぬ議論への疑問の声も投げかけられた。

□総務省のホームページ
http://www.soumu.go.jp/
□情報通信審議会のホームページ
http://www.soumu.go.jp/joho_tsusin/policyreports/joho_tsusin/index.html
□関連記事
【2006年8月2日】地デジのコピーワンスを見直し。「EPN」運用へ
-12月までの検討状況公開を求める
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20060802/soumu.htm

( 2007年3月9日 )

[AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]


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