◇ 最新ニュース ◇
【11月30日】
【11月29日】
【11月28日】
【Watch記事検索】
Display 2007基調講演レポート
ソニーは第8世代パネル生産前倒しで年末に50型で勝負
-シャープは次世代液晶で「没入感」を追求


会期:4月11日~4月13日

会場:東京ビッグサイト

当日入場料:5,000円(事前申込みで無料)


 フラットパネルディスプレイ関連の展示会「第3回国際フラットパネルディスプレイ展(Display 2007)」が11日、東京ビッグサイトで開幕した。期間は4月11日から13日まで。FPDの研究開発や製造技術関連の展示会「FINETECH JAPAN」と、「FPD部品・材料EXPO」も併催されている。

 2日目の12日の基調講演には、ソニーの井原勝美代表執行役副社長、松下電器産業役員でパナソニックAVCネットワークス社の森田研上席副社長、シャープ取締役 ディスプレイ技術開発本部長の水嶋繁光氏が登壇した。


■ S-LCD第8世代工場を今夏に前倒し。クリスマス勝負に

ソニー 井原副社長

 井原副社長は、「ご存じの通りソニーは薄型テレビで出遅れた。2004年にはサムスンと液晶製造合弁会社S-LCDを立ち上げたが、2004年の液晶テレビ出荷は約100万台だった」と振り返る。

 しかし、2005年には「4月のS-LCDの第7世代パネルの出荷以降は、競争力ある製品化が行なえた。9月には新ブランド“BRAVIA”に一新し、第7世代パネルとあわせて、2005年下期には市場で地位を築くことができた」と自己評価した。

 さらに、2006年には600万台以上を販売し、ディスプレイサーチの調査では年間トップシェアを獲得。また、2006年にはS-LCDの第8世代工場への投資を発表。当初2007年秋の稼働を予定していたが、「暖冬の影響もあり、工事の進捗が早い。今夏には量産できるのではないか」と、第8世代工場の前倒し稼働の見込みという。

 また、欧州はスロバキアのニトラに新工場を建設中で、こちらも若干予定を前倒しし、今夏から生産開始の見込み。「今年の欧州のクリスマス商戦は、欧州で製造する」とし、全世界での2007年度の販売目標を「1,000万台」と設定した。

 新工場の稼働に併せて大型化を進め、価格下落を抑える戦略で、「今年のクリスマス商戦は第8世代のパネルを使い50インチ台の市場創出を図る」という。

2007年の販売目標は1,000万台に 第8世代工場の稼働で50型市場を創出

 今後のテレビの進化の可能性としては、大画面化に加え、「画質の向上」、「アプリケーションの拡大」を挙げる。

 画質については、同社のブラビアエンジンやDRC-MFなどの独自技術なとの特徴を紹介。さらに、x.v.Colorへの対応をテレビ以外の周辺機器でも進めるほか、10bitパネルを積極的に採用していくという。「10bitパネルは、これからほとんどのBRAVIAで対応する。非常に重要で、とりわけ10bit出力に対応したPLAYSTATION 3(PS3)などでは、よりきれいな階調表現ができる」と語る。

 また、BRAVIA Jに搭載した動画応答性向上技術「Motion Flow」やSPEと共同開発した画質モード「シネマモード」などの特徴を挙げ、ソニーの総合力を活かした、画質向上への取り組みを説明した。

 アプリケーションの拡大については、「テレビは放送を見るだけのものではなくなっている」とし、インターネットコンテンツやネットワーク機器との連携を説明。BRAVIA Jに搭載した「アプリキャスト」や北米で展開する「Internet Video Link」を紹介。

 さらに、DLNA準拠ので各機器を接続する「ソニールームリンク」については、「家の中のどのコンテンツにもネットワークで繋がる。そういう世界を作っていきたい」と積極的に取り組む姿勢を示した。

ネットワーク機能を活用し、差別化

有機ELテレビを2007年内に発売

 最後に11型の有機ELテレビを年内に発売することを表明。「液晶を置き換えるわけではないが、もう一つ上の画質を実現するものとして有機ELテレビを推進したい。素晴らしい感動を与えてくれるテレビになる」と、積極的な取り組みと、パートナーとの協力を呼びかけた。

 なお、プロジェクション向けデバイス「SXRD」については「液晶やプラズマの競争力が増しており、リアプロのビジネスはやや難しくなっている。その中で720pは厳しいが、1080pはがんばっている。課題は明らかで、“厚さ”を解決しないといけない」と指摘。LED光源の採用などで「ランプが無く、色域も広げ、それでいて安いといった進化で。リアプロとしての競争力をもう一度付けたい。液晶やPDPと真っ向勝負というよりは、コストパフォーマンスを考え、大型の60型や70型などのデマンドにシフトしていくだろう」と説明した。

□関連記事
【4月12日】ソニー、2007年内に11型有機ELテレビを発売
-井原副社長「液晶のもう一つ上を目指す」
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20070412/sony.htm


■ 松下はプラズマの大型化や省エネ化を推進

松下電器パナソニックAVCネットワークス社の森田上席副社長

 松下電器パナソニックAVCネットワークス社の森田上席副社長は、世界市場での薄型/大画面化トレンドを紹介し、世界市場でも2010年には37型以上が30%となると予測。画質の向上のほか、VIERA Linkやインターネット対応などさまざまなコンテンツにアクセスし、管理する「家庭の中心」としてのテレビを強化する。

 PDPの開発の課題としては、動画解像度のさらなる改善や発光効率の向上による、高精細化、省エネ化などを目指す。

 生産体制については、パネルは日本集中生産を行ない、グローバル供給。セットの組み立てについては消費地生産を行なう。量産体制については、7月に稼働予定の尼崎第4工場、さらに2,800億円投資し、11月に着工、2009年度に稼働予定の尼崎第5工場により、2010年には42型換算で月産196万台体制を構築する


薄型テレビ購入者はさらなる大画面を求めている 高効率プラズマを開発し、高精細、省エネ化


■ 次世代液晶ディスプレイには「没入感」が必要に

シャープ 水嶋ディスプレイ技術開発本部長

 シャープの水嶋ディスプレイ技術開発本部長は、「21世紀の映像文化を担うディスプレイ像」について語った。

 液晶開発に従事して30年という水嶋本部長は、'73年の液晶搭載電卓の発売や'87年の「ポケッタブルTV」以来の同社の液晶テレビ開発の歩みを紹介。「“CRTを液晶に”という夢のひとつが現実に達成されつつある」と、液晶の30年間の歩みを振り返った。

 水嶋本部長は「従来のテレビは放送の画像品質の再現をディスプレイ性能の目標として追いかけてきた。しかし、今、ハイビジョン放送にディスプレイの品質が追ついた。今後はディスプレイが放送を越えていくのは目に見えている」と説明。4Kのスーパーハイビジョンなどの計画に触れ、「放送インフラも進化を続けているが、ディスプレイが新しい映像文化を創り出すことが求められている」と、今後のディスプレイ開発の目標を語った。

液晶テレビの歩み CRTを液晶に置き換えるという夢を達成 放送を越えて、次世代ディスプレイが新しい映像文化を提案する

 そのため、AQUOSではコントラストの改善や、残像低減に取り組む。プロユースで暗室コントラスト100万:1のメガコントラスト液晶の投入に加え、民生向けでも2008年には暗室コントラスト1万:1の実現に向けて開発を続けており、「すでに目処はついている」という。

 さらに、4K/2Kの超高精細液晶やバックライトの省電力化などの取り組みを紹介。現在45型の消費電力は約350Wだが、これを2007年には200W、2008年には100Wを目指しており、「技術的な背景はほぼできている」という。

AQUOSの暗所コントラストの進化 バックライトの省電力化で、省エネを実現へ

ディスプレイに「没入感」を求める時代に

 生産技術については、昨年稼働開始した亀山第2工場について説明。第8世代マザーガラス(50型で6面取り、42型で8面取り)の投入枚数を、昨年の約4倍となる1日2,000枚とし、「年末商戦に向けてパネルの供給責任を果たしていく」とアピールした。

 最後に「次の10年」に向けたディスプレイの将来像について説明。大型、薄型化が進むことで「リアリティの徹底追求」を目指すという。「従来のテレビは映像を見る窓、“覗き込む”窓だった。次世代は情報のドア“映像の世界に入り込む”時代になる」とし、テレビの開発も「臨場感の追求から、没入感の追求が必要となる」と語った。


次世代ディスプレイが実現する没入感のイメージ。壁掛けなどさまざまな設置に対応 リビング、パーソナル、ウォールユースなど薄型ディスプレイも多様化


□Display 2007のホームページ
http://www.displayexpo.jp/

( 2007年4月12日 )

[AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]


00
00  AV Watchホームページ  00
00

Copyright (c)2007 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.