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ソニーは16日、2006年度連結業績を発表した。売上高は前年同期比10.5%増の8兆2,957億円。営業利益は同68.3%減の718億円、純利益は前年比2.2%増の1,263億円となった。売上は大幅に増加したが、PLAYSTATION 3(PS3)導入に伴うゲーム分野での損失やノートPC用電池パックの自主交換費用などが響き、営業利益は減益となった。
特にエレクトロニクス分野が好調で、売上高は前年比16.9%増の6兆505億円。営業利益は前年比2,167.4%増の1,567億円となった。特に薄型テレビの「BRAVIA」やPCの「バイオ」などが好調で、収益に貢献した。 一方、ゲーム事業については、PS3発売により、セグメント全体で増収。しかし、製造コストを下回る戦略的な価格設定でPS3を販売したで、営業損失2,323億円と大きな損失を計上している。
■ BRAVIA好調で業績回復。ブラウン管生産を終了 エレクトロニクス事業は、売上高が前年比16.9%増の6兆505億円。営業利益は前年比2,167.4%増の1,567億円と大幅な増収増益となった。液晶テレビ「BRAVIA」が全地域で好調なほか、海外でのノートPC販売が好調だったPC「バイオ」、デジタルカメラ「サイバーショット」などが、売上増に貢献した。
製品カテゴリごとでは、デジタルカメラ、液晶テレビ、ビデオカメラの順で利益に貢献。利益額の大きい順では、ビデオカメラ、デジタルカメラ、放送機器、PCの順という。 「BRAVIA」ブランドを前面に打ち出して積極展開した液晶テレビ事業は、650万台を出荷し、「年間シェアトップを獲得した(コーポレート・エグゼクティブ シニア・バイス・プレジデント 湯原隆男氏)」。売上は薄型テレビ全体で1兆2,300億円で、前年比で32%の増加となった。しかし、通期黒字化にはならず、225億円の損失となった。前年比では前年比740億円の改善で、「2007年度には通期で黒字化を達成する(大根田伸行 EVP兼CFO)」という。 なお、CRTテレビについては、「製造販売は需要のある地域では継続するが、積極的に液晶テレビBRAVIAへ移行を図っていく。ブラウン管生産は必要数を確保した上、2008年3月までに生産を終了。シンガポールのブラウン管工場は、他製品の製造を目指す(大根田CFO)」とした。 売上が減少した製品カテゴリは、CRTやリアプロジェクションテレビなど。また、新経営体制への移行後、15の製品カテゴリから撤退する方針を発表。既に10のカテゴリからの撤退を実施していたが、新たにコンピュータ用ディスプレイ、CRTプロジェクションテレビ、標準型デスクトップPCの3カテゴリからの撤退も決定した。 パソコンでは「VAIOではノートPCを強化する一方で、映像編集に特化したPC、ボードPC、テレビサイドPCなどの開発を推進していく(大根田CFO)」という。 ポータブルオーディオについては、2006年度に550万台の出荷を見込んでいたが、実績は450万台となった。「この数字のほとんどが日本国内の出荷。アメリカではシェアが低く、戦いになっていない。この領域はオーディオだけでなく映像も含めたポータブルのビジネスに取り組む(大根田CFO)」とした。なお、2007年度のポータブルオーディオ出荷見通しは500万台。
■ PS3生産出荷は550万台、出荷360万台
ゲーム事業については、PLAYSTATION 3に発売により、セグメント全体で増収。売上高は前年比6.1%増の1兆168億円となった。ただし、製造コストを下回る戦略的な価格設定でPS3を販売したことが響き、営業損失2,323億円と大きな損失を計上している。 PS3の生産出荷台数は全世界で550万台。地域ごとの内訳は日本が126万台、北米が262万台、欧州が162万台となっている。なお、生産出荷台数(実質的な生産数)ではなく、流通業者などへ実際に出荷を行なった台数については、「セルインでは約360万台(大根田CFO)」とした。 PS2の生産出荷は前年同期比202万台減の1,420万台、PSPが同570万台減の836万台。ソフトウェアについては、PS3が1,320万本、PS2が前年同期比1,500万本減の1億9,300万本、PSPが同1,250万本増の5,410万本。 PS2は底堅いが減益に、PSPはハードの継続的なコストダウンで増益となったという。2007年度のハードウェア生産出荷台数見通しは、PS3が1,100万台、PSPが900万台、PS2が1,000万台。ソフトについてはプレイステーションシリーズ合計で2億5,000万本を見込む。 なお、PS3については、ソフトウェアラインアップの充実やハードウェアの低コスト化で業績の回復を図る。ただし、「PS3の逆ざや(製造コストが販売価格を上回っている状況)はまだ残っている。2007年度は収益の改善を図りながら、2008年度の黒字化を目指す(大根田CFO)」とした。
■ 携帯電話や映画も好調 ソニー・エリクソンは、売上高が前年比約49%増の118億9,200万ユーロ、純利益が同168%増の11億4,200万ユーロ。ウォークマン携帯やサイバーショット携帯のヒットなどが売上に貢献。結果、ソニーの持分法による投資利益として853億円を計上した。 映画については売上高が前年比29.5%増の9,663億円、営業利益は同55.7%増の427億円。「ダ・ヴィンチ・コード」や、「007/カジノ・ロワイヤル」、「もしも昨日が選べたら」、「Talladega Nights:The Ballad of Ricky Bobby」など映画とDVDソフトがヒットした。
サムスン電子との液晶パネル製造合弁会社S-LCDについては、投資損益が前年比約136億円改善。64億円の投資利益を計上した。金融事業は、売上高が前年比12.6%減の6,493億円、営業利益が同55.3%減の841億円。ソニー生命は保険料収入は増加したものの、株式相場の低迷などを受け、一般勘定や特別勘定の評価益が減少した。
2007年度の連結業績見通しは、売上高が前年比6%増の8兆7,800億円、営業利益が同513%増の4,400億円、純利益が同153%増の3,200億円を予定。前提為替レートは1ドル115円前後、1ユーロ150円前後。 □ソニーのホームページ ( 2007年5月16日 ) [AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]
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