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リムーバブルHDDの規格団体「iVDRハードディスクドライブ・コンソーシアム」は17日、「iVDRコンソーシアムセミナー 2007」を開催。各社のiVDRへの取り組みや、規格化のロードマップなどが示された。 ■ 1.8型のiVDR Cardの年内規格化を目指す iVDRハードディスクドライブ・コンソーシアムの日置敏昭代表は、著作権保護機能SAFIAに対応のiVDR-Sを搭載した、日立製作所のデジタル放送録画対応テレビ「Wooo」や、日立マクセルのiVDR「アイヴィ」の発売を報告。さらに、中国の國際精華により、放送機器への応用が進んでいることなど、iVDR採用事例の増加について説明した。 また、Blu-rayやSDカードなどの比較でも、「全てのメディアの要求を満たすことができるわけではないが、転送速度などHDDの性能を活かしたiVDRならではの特徴がある。用途によって使い分けが必要だが、さまざまなメディアの中心として扱える」と解説。2008年には最大容量240GB、2010年には1TBまで容量拡大が期待できるという。 さらに、「家庭内はネットワーク、車や外出時には手で持っていくフットワーク。このネットワークとフットワークを生かしたメディアとして、iVDRがユビキタス社会を実現できる」とアピールした。
また、新規格として1.8インチHDDをベースにした「iVDR Card」の規格化に取り組んでいるという。ディスク(プラッタ)1枚で7mm厚の小型iVDRとして提案しており、ビデオカメラなどの小型/ポータブル機器での採用を目指す。また、iVDR Cardは変換アダプタを利用した通常のiVDRスロットから読み込むことも可能。2007年中の規格化を目指すという。 アプリケーションフォーマットについては、ビデオカメラ用やカーナビ用の規格化を進めていく。
iVDRの著作権保護機能「SAFIA」のライセンスや規格化を行なう「SAFIA License Group」の議長で、日立製作所 セキュリティ・トレーサビリティ事業部の助田裕史氏は、SAFIA対応機器でのムーブ時の動作などを説明。 また、Woooなどの家電製品での採用だけでなく、パソコンでもSAFIAに対応することで、録画したiVDR-Sを再生可能となることをアピールした。iVDR側は「暗号化コンテンツ以外は、100%普通のHDD。そこに鍵の使用要件や、格納する機能を追加しているだけ」で、非対応PCでは暗号化コンテンツにはアクセスできないものの、通常のリムーバブルHDDとしては利用できる。 また、今後SAFIAのモバイル向け応用や、iVDRだけでないほかのメディアとの相互運用性などの課題に取り組むという。 日立グローバルストレージテクノロジーズ 車載/iVDR本部の釘屋文雄氏は、「HDD業界はIT中心のマインドでやってきたが、CE分野の拡大が目覚しい」とし、3.5型ではSTB/DVR向けの需要拡大やゲーム向けなどの新市場について説明。容量の増加や耐衝撃性能の向上により、車載やビデオカメラ、Kiosk端末などさまざまな利用方法が見込まれると訴えた。
■ 中国の放送システムにiVDRが採用
中国や香港で放送機器の開発/販売や放送局へのシステム納入を行なっている國際精華株式会社の呉会森社長は、中国の放送局でiVDRが採用されたことを報告した。 4月9日付けで中国の中央委員会でiVDRが放送機器として認定を受けたことで、同社では7月よりiVDR機器を放送局に納入し、システムを構築するという。 2/3型60万画素のCCDを搭載したSD解像度のiVDRビデオカメラ「DDC-280M」は2つのiVDRスロットを装備。記録形式はMPEG-2で、2つのiVDRへの同時記録を行ないバックアップを同時に作成できるほか、2つのiVDRを組み合わせた長時間記録などの応用が可能。 また、3基のiVDRスロットを備えた編集機「DDE-380」も販売開始。「従来の編集機とほぼ同じ操作性でiVDRの編集が行なえる」とした。そのほか、ノンリニア編集用のPCやサーバーシステムなども提供予定。他社製カメラ用のiVDRアタッチメントなども開発しているという。
iVDRサーバーシステムを中央や地方の放送局に提案したところ、「カメラや編集機、保存など今までと同じようにも使え、伝統的な編集や出力が行なえるほか、サーバーなどのネットワークでも利用できる」と高い評価を得たため、7月より導入を開始。また、今後2008年の北京オリンピックに向けたHD対応などに取り組むという。
■ 21世紀は「全録時代」。録画は「エアチェック2.0」へ
デジタルメディア評論家の麻倉怜士氏は、「全録」をキーワードとし、ハイビジョン・エアチェックの未来について語った。 iVDRについては、物理的な愛着や触感を伴うパッケージ(光ディスクなど)の特徴と、長時間記録/ノンリニアというHDDのメリットの「双方の特徴を備えたユニークなメディア」と評価。大容量を生かしドラマの全話を収録できるなど新しい使い方を可能とするメディアとして、ホームサーバーやBlu-ray Discなどと組み合わせた、「ハイブリッド・エアチェック」を提案した。 また、HDD録画の次のトレンドとして、全チャンネルを録画する「全録」を提唱。全録レコーダとしては、VAIO TypeXなどの製品が発売されているが、「今年中に新しい製品が出るはず。私もその試作機を使っていますが、今後いろいろ出てくると思います」と語った。 全録のメリットとして「絶対に録り逃しがない」。そのため、「テレビ視聴スタイルが大きく変わる。編成権をユーザーが持つような形になる」と予測。さらに、過去番組や関連ブログとの連携や、視聴ガイド、ユーザー間のプレイリストの共有やメタデータの連携など、インターネットを介した連動視聴の時代の到来を訴え、新しい録画スタイルを「エアチェック2.0」と説明。「いままでのパッケージのエアチェックは情念型だが、2.0はアクティブでインタラクティブ」と訴えた。
□iVDRコンソーシアムのホームページ ( 2007年5月17日 ) [AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]
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