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株式会社レーベルゲートとマイクロソフト株式会社は28日、Windows Media Player 11を利用した音楽配信サービスに関する協力関係を強化し、9月にレーベルゲートが運営する「mora win」のサービス強化を図ることを発表した。
mora winは、2006年9月にmusic dropから名称変更。Windows Vistaの発売開始にあわせて、1月30日よりWindows Media Player 11(WMP11)の「おすすめオンラインストア」としてサービスを行なっているWindows Media形式の音楽配信サービス。日本の大手レーベルが全社参加し、約30万曲のラインナップをそろえている。 WMP11では、mora win以外にも「プレミアムサービス」として「OnGen」や「ShowTime」、「.ANIME」、「e-onkyo.music」などを用意されている。しかし、mora winは初回起動時に上部のツールバー上に専用のボタンを用意し、ワンクリックでサービスにアクセスできるWMP11の標準コンテンツサービスと位置づけられている。 1月より「おすすめオンラインストア」として展開してきたmora winだが、mora winを運営するレーベルゲートとマイクロソフトは協業をさらに強化。マーケティングやプロモーションを共同で行なうほか、ソフトとサービスを一体化し、WMPの専用ストアとして機能強化を図っていく。 新機能の提供は9月下旬を予定しており、具体的には、mora winのプレイリストを強化していくほか、新たに検索機能の「Word wheel(ワードホイール)」を追加する。mora win上の楽曲情報をPCにダウンロードしておくことで、楽曲検索や再生時に、PCに保存した楽曲ファイルだけでなく、mora winから関連するおすすめ楽曲などをピックアップして表示する。楽曲情報をHDD内にダウンロードしているため、mora winのカタログ楽曲情報も高速に検索/表示できる。 また、おすすめの楽曲へのリンクなども設けられており、楽曲の視聴や購入なども行なえる。
さらに、J-WAVEの運営するインターネットラジオ「Brandnew-J」との連携も実施。WMP11のツリー内にBrandnew-Jのアイコンを表示し、WMP11からすぐにBrandnew-Jにアクセス可能とした。また、Brandnew-Jで放送中の楽曲のほか、関連楽曲、レコメンド楽曲などを画面中に表示し、放送中の楽曲や関連楽曲をmora winですぐに購入できるなどの機能強化を行なう。Brandnew-J以外のネットラジオについても、協力を検討しているという。 また、レーベルゲートが展開中の音楽ファン向けSNS「PLAYLOG」もmora winに対応。WMP11で聞いた音楽の再生履歴をブログ画面に表示し、コミュニティ内での情報交換などが行なえる。PLAYLOGはすでにSonicStage CP(SS)上でも展開しているが、WMPとSS上でも再生履歴やプレイリストなどの情報を相互に閲覧可能となっているという。 さらに、ビデオクリップやアニメのビデオ配信も計画。Windows Vista Home Premium以上に搭載の「Media Center」機能のメディアオンラインについても、mora winに対応予定としている。
■ 音楽との「出会いの機会」を増やし、音楽ファンを取り込む
マイクロソフト デジタルエンターテイメントパートナー統括本部の堺和夫 執行役常務は、レーベルゲートとの協力強化について「わくわくするような楽しい発表。マイクロソフトの音楽業界へのコミットメント」と説明。共同でマーケティングやプロモーションを行なうだけでなく、両社のソフト/サービスを協力して融合することで、新しいデジタルエンターテインメントを確立。mora winでは、「ソフトウェアとサービスの一体化を目指す」とアピールした。 レーベルゲートの今野敏博社長は、「音楽は、感性だけで生まれるものではない。テクノロジーの進化とともに歩んできた」と切り出し、録音技術や流通、再生環境の変化が、音楽そのものを変えてきた歴史を解説。ソニーミュージックにおける「bitmusic」の立ち上げや、「着うた」の立ち上げなどの自身の手がけてきたサービスを説明しながら、今回の「パートナーシップは、それらと同様に大きなインパクトを持つスタートになる」と協業への意気込みを語った。 また、「2006年は音楽配信の売上がシングルCDを上回ったエポックメイキングな年。ただし、パッケージが無くなるわけではない。パッケージと音楽配信とがコラボレーションしながら、進んでいく新しい時代に入るだろう」とした。 特に配信ならではの魅力については、「音楽に出会える力」を強調し、mora winの新機能を解説。Word Wheelによるカタログ検索や、レコメンデーション機能などを紹介し、「どうやって新しい曲を見つけ、新しい体験に出会うか、『発見の喜び』を追求した」と訴えた。
■ 「見えないDRM」に進化を なお、有料音楽配信の市場は、大半が携帯電話向けで、PC向けの割合は1割程度となっているが、「PC向け配信は、PCだけでなく、ケータイや車など端末に縛られずに広く利用が可能。J-WAVEとの連携など、PCならではの取り組みがある。いろいろな選択肢が用意されていることを訴えていく。PC向けも今後間違いなく増えてくる(マイクロソフト 堺 執行役常務)」という。 レーベルゲートの今野社長は、「携帯電話の配信も、まず着メロがあり、着うた、そして着うたフルと進化してきた。PCには豊富な楽曲カタログや、多彩なデバイスなどの特徴がある。配信の次の進化の段階がPC向け配信にある。ケータイで配信が普及したのは『気軽さ』があったから。PC向け配信でも気軽さを追及して、ユーザー層を拡大したい」と語った。 なお、EMIなどが予定しているDRMフリーの楽曲配信について、レーベルゲートの今野社長は「もし、DRM無しで行くとなると、世の中に音楽を作る人がいなくなってしまうという危惧はある。作り手がそれぞれ判断するべきで、一定の方向に持っていくべきではない」としながらも、「今はDRMが難しいものと捉えられている。DRMが“意識されている”うちは、まだ進化できる。使っていて意識できないようなものになれば、DRM論争というのも古臭い話になるのではないか」と、DRMの進化への期待を語った。 □マイクロソフトのホームページ ( 2007年5月28日 ) [AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]
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