◇ 最新ニュース ◇
【11月30日】
【11月29日】
【11月28日】
【Watch記事検索】
【新製品レビュー】
エンコード速度を2倍程度に向上するH.264エンコーダ
-フォーカルポイント「Instant Video To-Go」


6月中旬発売

標準価格:オープンプライス

直販価格:14,800円


 ポータブルビデオプレーヤーとして定着しつつあるPSPやiPod。電車の中などで、これらを使って動画を見ている人を見かけるのも、珍しくなくなった。これらが対応する映像形式はMPEG-4 Simple ProfileとH.264(MPEG-4/AVC)で、最近では動画デジカメで直接撮影できる製品も登場するなど、映像フォーマットとしても定着してきたように感じる。

 これら機器で動画を見ている人の多くが、何かしらの変換ソフトを利用していると思われる。PSPの場合には、別売の純正変換ソフト「Image Converter 3.0」が用意されているが、iPodでは楽曲管理ソフトの「iTunes」のMPEG-2映像変換に一部難があるため、市販ソフトやフリーソフトを使っている人も多いことだろう。

 これまでも、フォルダを監視し、録画した映像を即座にH.264にエンコードするソフトは多く発売されている。だが、いずれもソフトウェアエンコードのため、変換に時間がかかるのが難点で、例えば朝録画したニュース番組を即座に持ち出すといった用途には向かなかった。

 また、最新のiPodでは解像度640×480ドットの映像再生に対応しているにも関わらず、実際にそれをiPod用のプリセットとしてエンコードできるソフトウェアがほとんどなく、手動で設定して対応する必要があった。

 こうした点を解消するのにちょうどいい製品が、6月中旬よりフォーカルポイントコンピュータが発売する、USB 2.0接続のH.264エンコードユニット「Instant Video To-Go」だ。H.264のエンコードチップを内蔵し、付属ソフトと連携して利用することで、エンコード速度を飛躍的に向上できるのだという。そこで、実際のエンコード速度などについてチェックしてみた。



■ 付属品はシンプル。日本語マニュアルは後日配布予定

 パッケージには、本体とドライバCD、持ち運び用のキャリングポーチのほか、短めのUSB延長ケーブルやマニュアルが付属する。マニュアルは英語版だが、同社が独自に作成したという日本語マニュアルを、購入者向けに別途ダウンロード配布する予定としている。

パッケージ 付属品はシンプル

 本体は大きなUSBメモリのような外観。本体を直接PCに接続する場合には、周囲の端子を塞いでしまうため、付属の延長ケーブルを利用するといいだろう。USB端子部はキャップでがっちりとカバーされており、そう簡単に外れない。

ちょいテレとサイズ比較 USB端子が縦/横に並んでいるタイプのノートPCだと、隣の端子が使えない PCに接続すると、「Video-To-Go Devices」デバイスとしてインストールされる


■ シンプル操作の付属ソフト。プリセットは豊富

 付属ソフトは、ArcSoft製の「Media Converter 2」で、インターフェイスは全て英語表示だが、操作体系はシンプルだ。

 画面左には、デバイス選択のリストボックス(Select Device)と、デバイスに応じた変換設定のリストボックス(Select Conversion Parameter)が並ぶ。

エンコードにはArcSoft製「Media Converter 2」を利用 デバイス選択画面。iPod/PSPのほか「Zen Vision M」や「iRiver U10」も選べる

 デバイスに「iPod Video」を選択した場合、変換設定は「iPod High 640x480」、「iPod High 320x240」、「iPod Medium 320x240」、「iPod Low 320x240」の4種類が選択可能になる。「Sony PSP」を選択した際の変換設定は「PSP High」、「PSP Medium」、「PSP Low」の3種類。

iPod選択時には、4種類の変換設定が選択できる PSPは3種類

 iPodとPSPを選択した場合は、強制的にInstant Video To-Goを利用したH.264エンコードが利用できる。この時、Instant Video To-Goが接続されていないと、エラーが表示されてエンコードが開始できない。

Instant Video To-Goが接続されていない状態で、iPod/PSP用のエンコードを行なおうとしても、エラーが出て開始できない

 また、PSPがPCに接続されている場合には、デバイス設定が強制的にPSPに固定される。しかし、iPodを接続してもデバイス設定は変更されなかった。

 デバイス設定では、そのほかにも「Creative Zen Vision M」、「iRiver U10」、「SanDisk E200」、「AMC Common」が選択できるが、いずれもH.264以外のコーデックを利用するため、ソフトウェアエンコードとなる。同社では、iPod/PSPの接続のみサポートとしているため、ソフトウェアエンコードの機能はおまけと考えた方がいいだろう。

 デバイスと変換設定を決定したら、画面右にある「Add Media」ボタンを押して、エンコードしたいファイルを選択するか、ドラッグ&ドロップで映像ファイルを追加。

 PSPが接続されている場合は、エンコードした映像を直接PSPに保存できる。iPodでは、エンコードした映像ファイルを、一度PCのHDDに保存する必要があるため、保存先の指定などを行なう。こうして一通りの設定を終えたところで「Convert」ボタンをクリックすることでエンコードを開始する。



■ エンコード速度は2倍程度向上

 エンコード速度をチェックしたのは、CPUがIntel Core Duo T2400(1.83GHz)、1GBメモリを搭載したノートPC。

 今回は499.3MBのMPEG-2ファイル(11分8秒/VBR 8Mbps)と、0.98GBのMPEG-2ファイル(30分42秒/VBR 5Mbps)の2種類を用意し、エンコード速度を測定した。ソフトウェアエンコードの比較としては、PSP用ファイルのエンコードにはソニーの「Image Converter 3」を利用、iPod用にはフリーソフトの「携帯動画変換君」を利用した。

 iPod用ファイルは、640×480ドット/1.5Mbpsの「iPod High 640x480」。PSP用ファイルは320×240ドット/768kbpsの「PSP High 320x240」設定でエンコード。

 Image Converter 3の設定は、PSP高画質設定を利用。また、携帯動画変換君は、iPod用の640×480ドット/1.5Mbpsエンコード設定を作成して利用した。


Instant
Video
To-GO
Image
Converter 3
携帯動画変換君
MPEG-2動画 モード ビットレート 解像度 変換時間 変換時間 変換時間
約11分 iPod High
640x480
約1.5Mbps 640×480ドット 11分25秒 21分05秒
約30分 31分25秒 58分24秒
約11分 PSP High 768kbps 320×240ドット 2分35秒 4分29秒
約30分 6分42秒 11分38秒

 いずれの場合も、Instant Video To-Go/Media Converter 2の利用により、エンコード速度は2倍程度まで高速化した。特にiPod High 640×480だと、ソフトエンコードでは再生時間の倍近くかかっていたが、これが再生時間と同じくらいまで抑えられた。

 その他の設定を見ても、10分近くかかっていたエンコードが5~6分で終了するなど、Instant Video To-Goの利用により、ほぼ倍速のエンコードが可能になっている。

 なお、Instant Video To-GOを利用してエンコードしたファイルは、非対応解像度のVGAファイルのみ、PSPで再生が行なえなかった。その他のファイルはいずれもPSP/iPodの両方で再生が行なえた。PSP用のエンコード設定でもBaseline Profileを利用しているようだ。

 Image Converter 3のプリセットでは、Main Profileを利用するため、エンコードに時間がかかっているようで、手動設定でプロファイルのみをBaselineに変更したところ、30秒近くエンコード時間が短縮された。



■ H.264エンコードをよく行なう人ならオススメ。割高な価格がネック

 Instant Video To-Goは、できることが限られており、それに合わせてソフトの設定項目などが必要最小限になっているため、使い勝手や操作感については、特に文句の付けどころはない。

 ただ、7月発売予定のMac専用H.264ハードウェアエンコーダ「turbo.264」は、AppleTV向けのプリセットを備え、最大800×600ドット/5Mbpsエンコードが利用できるのに、Instant Video To-Goにはこの設定がないのは残念。これはソフトのアップデートなどで是非対応してほしいところ。

 USB接続で小型のエンコーダなので、ノートPCでも気軽に利用できる点は魅力だ。あまり使わなくなった古いノートPCなどに接続して、H.264エンコード専用PCとして再利用したり、出先で急遽H.264映像のエンコードを行なう必要がある場合などにも重宝する。

 エンコード速度については、思っていたほど高速化しなかったが、ファイルの数が多い場合や、映画など、長時間の映像のエンコードが多い場合には、こうした速度の向上はかなり有効に感じるだろう。

 直販14,800円という価格も気になるところだ。H.264エンコーダを内蔵しているため、割高になってしまうのも仕方ないところだが、1万円を切るくらいまでになれば、それほど頻繁にH.264エンコードしない人でも、気軽に購入できるではないかと思う。

□フォーカルのホームページ
http://www.focal.co.jp/
□ニュースリリース
http://www.focal.co.jp/info/news/n_20070601.html
□製品情報
http://www.focal.co.jp/product/detail.html?id_Product=1822
□関連記事
【6月14日】フォーカル、Mac専用USB H.264エンコードユニット
-AppleTV用の800×600ドット/5Mbpsエンコードに対応
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20070614/focal.htm
【6月1日】フォーカル、USB接続のH.264ハードウェアエンコーダ
-iPodやPSPで再生可能なH.264ファイルを作成
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20070601/focal.htm
【新製品レビュー バックナンバー】
http://av.watch.impress.co.jp/docs/backno/npback.htm

(2007年6月15日)

[AV Watch編集部/ike@impress.co.jp]


00
00  AV Watchホームページ  00
00

Copyright (c)2007 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.