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ビクター、ケンウッドの資本参加で会見。「業界再編の一歩」
松下大坪社長「ビクターとは体質的に相容れないと実感」


左からスパークスグループ 阿部修平社長、ケンウッド 河原春郎会長、ビクター 佐藤国彦社長、松下電器産業 大坪文雄社長

7月24日開催


 ケンウッドによる日本ビクターへの資本出資および経営統合に関して、日本ビクターの佐藤国彦社長、ケンウッドの河原春郎会長、スパークス・グループの阿部修平社長、松下電器の大坪文雄社長が、24日午後5時55分から都内のホテルで会見を行なった。


■ 新アクションプランでビクター再建
 −D-ILAはフロントプロジェクタに集中へ

ビクター 佐藤社長

 会見の冒頭、日本ビクターの佐藤社長は、「営業利益では2年連続、最終利益では3年連続での赤字が続いているが、このほど、強力なパートナーを得たことを心強く感じる。当社は松下電器の連結子会社からはずれることになるが、53年の長きに渡り、有形無形の経営支援をいただいたことに対して、歴代の経営陣、従業員を代表して感謝するとともに、持ち分法関連会社として引き続き、ご支援いただきたい。これを機会に心機一転、営業利益の黒字転換に取り組んでいく」とした。

 同社では、今回の資本業務提携にあわせて、再建に向けた「アクションプラン 2007」を策定。「2007年度の黒字転換、2008年度の事業基盤の確立、2009年度の成長軌道への転換を目指す」という。

 5月30日時点で発表していた中期経営計画を見直し、「アクションプラン2007は、もう一歩踏み込んだ経営改革。経営再建を確実なものにして、市場の信頼を取り戻す計画」として、事業構造改革の強化、経営体質改革の強化に取り組んでいく姿勢を示した。

 具体的には、事業構造改革の強化として、「コスト競争力の強化および収益を改善」、「事業の選択と集中を深堀し、業績悪化に歯止め」、「全社の収益基盤事業としての販売を拡大」の3点をあげるとともに、経営体質改革の強化として、雇用構造改革および生産拠点改革などに取り組む。

 「コスト競争力の強化および収益を改善」では、ディプレイ事業においては、欧州/国内の不採算モデルの生産販売中止、英国工場の英国国内専業化と欧州大陸向けEMSの前倒し拡大、生産と販売の地域別一元管理による日米欧アの4極経営体制の強化を目指すほか、オーディオ事業においては、日米を中心とした地域別販売戦略の建て直し、マレーシア生産工場との一体活動によるコスト改善活動の強化を図る。

 「事業の選択と集中を深堀し、業績悪化に歯止め」とした方針では、ILA事業においてフロントプロジェクタをILA事業の柱と位置づける一方、リアプロテレビは次世代製品の開発を含めて基本戦略を抜本的に見直すとし、リアプロテレビ事業の縮小を明確化した。また、部品事業および記録メディア事業においては、事業分野ごとに事業譲渡を含めた検討を行なうとした。

 「全社の収益基盤事業としての販売を拡大」としては、好調なHDDカムコーダー事業において、2008年度に投入する予定のモデルを前倒しすることで販売を拡大し、グローバルシェア20%の獲得を目指す計画を掲げた。さらに、カーエレクトロニクス事業においては、市販商品の新興市場への取り組み強化とOEM事業の取り組み強化、ケンウッドとの協業開始によるソフトウェア開発と製造コスト力の強化を進めるとしている。

新アクションプランでディスプレイ事業も構造改革 カムコーダを強化。カーエレクトロニクスからケンウッドとの協業を開始

 一方、経営体質改革では、5月30日に公表した再建計画で打ち出していた約1,000人規模の人員削減を見直し、事業構造改革の強化、間接部門のスリム化などによる人員削減を1,150人とした。また、生産拠点は、事業の選択と集中、コスト競争力強化の視点から見直し、中期的には拠点数を半減することを視野に入れているという。

業績見通しを下方修正

 そのほか、再建計画からの追加施策として、本社のスリム化を目的として部門数半減などの本社機構改革を実施。賃金および手当の一定期間における一部見直しなどの緊急対策の追加を検討するという。

 こうしたアクションプラン2007の策定によって、業績見通しを下方修正すると発表。2007年度の連結売上高は200億円減の7,400億円、営業利益は69億円減の81億円、経常利益は64億円減の6億円、当期純損失は67億円減のマイナス172億円の赤字とした。また、構造改革費用として、再建計画では160億円を予定していたものを増額し、207億円を計上する。

 「液晶テレビ不採算モデルの生産/販売中止、リアプロテレビ次世代機の見直しなどが影響するが、黒字転換を確実なものとしたい」(佐藤社長)とした。



■ 「電機メーカー再編の歴史的一歩」とケンウッド河原会長

ケンウッド 河原会長

 一方、ケンウッドの河原会長は、「6月28日に社長兼CEOから退き、中長期的な課題への取り組みを検討していたが、その矢先に新たなパートナーを得て、新たな経営、事業の枠組みを成立させることができた。日本の専業メーカーの勝ち残りにおいて、今回の戦略的業務提携は必要と判断した。デジタル時代には開発費の負担が増加し、自力成長の限界を越えて成長するには、M&Aや業務提携が必要だと考えていた。成熟産業の構造改革の最後の大仕事が専業メーカーの再編だといえ、日本の専業メーカー再編の歴史的第一歩を踏み出す」とコメントした。

 第1ステップとして、ケンウッドが200億円を出資するとともに、5年前にケンウッドの経営再建にパートナーシップとして参画した投資運用会社のスパークス・グループが150億円を出資。これを構造改革資金として活用するほか、ケンウッドが自主再建した経験からアドバイスを行なうという。

 また、市販カーオーディオ分野においては、ケンウッドの年間約500億円の売上高と、日本ビクターの約600億円の年間売り上げをあわせることで、この分野では世界最大規模となる年間約1,000億円の事業規模に達するシナジー効果を生かすとともに、ジョイントベンチャーによる共同開発、共同資材調達のほか、生産拠点の相互製造委託、知的財産のクロスライセンスなどにも取り組むという。

「コンシューマエレクトロニクス専業メーカーが、世界でのプレゼンスを落としていることへの危機感」を経営統合の理由に挙げる ナンバーワンのカーオーディオメーカーに。シナジー効果を狙う

 「カーエレクトロニクス事業、ホーム/ポータブルオーディオ事業を含めると、当社の3分の2の事業で提携することができるが、日本ビクターの分野でいえば全体の15%程度。同じ業容でのグループ化だと、コストを削減するという手法しかないが、業容が違うと付加価値を生みやすくなる。調達、開発、ライセンスといった点での効果も期待できる」と両者のシナジー効果について解説。

対等の精神で経営統合へ。ブランドは両社継続

 さらに、「日本ビクターは、それぞれの事業を見ると、いい技術があり、状況もいい。しかし、たまたまいくつかの事業で損失を出しているにすぎない。加えて、ビクターは垂直統合型のビジネスモデルであるのに対して、当社は水平統合型が多い。カーエレ分野においても、光ピックアップやドライブなどにおいて、ビクターの資産を利用することができ、グループとしての付加価値が追求しやすくなる」とした。

 また、第2ステップとして、ケンウッドと日本ビクターが対等の精神で経営統合を目指すことを掲げ、両社のブランドを存続させながら、世界的な事業展開を推進するという。両社が目指す経営統合の形として、東証一部上場の共同持ち株会社を設立。日本ビクターとケンウッドを100%子会社とする経営体制を示して見せた。経営統合は、2008年の予定で、「2008年6月の株主総会以降になるのは確実」としている。

 河原会長は、「スパークス・グループによる心強いタッグと、日本ビクターの筆頭株主としての松下電器のサポートによって、関係者の志が一枚岩となった展開が可能になる。日本のコンシューマエレクトロニクス市場の発展に向けて、各社のシナジー効果による強みを発揮することに、全力で取り組みたい」と語った。


スパークス 阿部社長

 150億円の増資に応じる投資運用会社スパークス・グループの阿部修平社長は、「投資先企業として、ケンウッドの現経営陣の企業価値創造を支持してきた。今後の、中期的な経営再建においては、ケンウッドの河原会長が中心的な役割を担っていくと期待している」とケンウッドの現経営陣を評価。

 「提携を契機に経験やノウハウがビクターと共有されることにより、高い技術と優れた商品で世界的なブランド力を有する日本ビクターの潜在価値が顕在化することを期待している。今回の財務支援は、あくまでもケンウッドとの速やかな経営統合を視野に据えている。業界再編による日本のコンシューマエレクトロニクス産業の発展に向け、両者が強みを尊重し、企業価値を向上させると期待している」と語った。



■ 「ビクターとは体質的に相容れない」。松下電器大坪社長

松下電器大坪社長

 一方、今年1月の経営方針説明会で、「日本ビクターについては、考えははっきりしているが、決まった手立てはない」と発言していた松下電器の大坪社長は、今回の資本提携について次のように語った。

 「松下電器は、1954年に、創業者である松下幸之助が、日本ビクターの経営危機に際して、日本の電機産業の発展の観点から資本参加し、自主自立の精神を維持しながら、連結子会社として53年に渡り、支援をしてきた。1976年のVHSでは、日本ビクターの技術力と、松下電器の開発、製造、販売力によって、この規格を世界標準にすることができ、日本の電機業界の発展にも大きく寄与した。しかし、近年、松下電器が推進してきた構造改革のなかで、グループ戦略の見直しが課題となり、日本ビクターもその対象となっていた。私自身、AV事業を担当した経験から、自主自立を推進する日本ビクターと松下電器の間には、十分なシナジー効果が期待できず、体質的に相容れないものがあると実感していた。ダブルブランドや事業重複を抱え、見直しは必須。松下電器グループからはずれて自主再建をするのがいいと考えていた」と振り返る。

 さらに、「松下電器では、これを踏まえて、最善のやり方を種々検討してきたが、2006年秋に、ケンウッドから資本提携について申し入れがあり、河原会長のリーダーシップのもと、企業価値を最大化することができるものだと判断した。同じ製造業ということもあり、シナジー効果が期待できるだろう。今回のスキームの最大の狙いは、日本ビクターが企業価値をいかに高めることができるか、という点であり、松下電器は、株式を売却したわけではなく、単にはずしたというわけではない」とした。

 「連結子会社から外れるが、ビクター/JVCブランドは日本の電機産業の貴重な財産。新たな枠組みで電機産業の一層の発展に貢献していきたい」とコメント。松下電器が所有する株式の売却については、「日本ビクターが再生を図り、それが確認できた段階ではそういう選択肢もある」と説明した。

 松下電器では、中期経営計画GP3計画を策定し、最終年度となる2009年度には、10兆円の売上高を見込んでいる。日本ビクターの約7,000億円の売り上げ規模が連結対象からはずれることになるが、「10兆円の計画を変える考えはない。2009年度までにそれを埋める施策を考える」とした。

 家電の雄ともいえる松下電器が、シナジー効果を発揮できないとした日本ビクターに対して、ケンウッドは、シナジー効果を発揮できると語る。ケンウッドという新たなパートナーによって、お互いのブランドを尊重しながら、企業価値の最大化を図るという新たなAVメーカーとしての経営体制を確立できるのかが注目される。

□ビクターのホームページ
http://www.victor.co.jp/
□ニュースリリース(アクションプラン 2007/PDF)
http://www.victor.co.jp/press/2007/action2007.pdf
□ケンウッドのホームページ
http://www.kenwood.co.jp/
□ニュースリリース(PDF)
http://www.kenwood.co.jp/newsrelease/2007/pdf/20070724_01.pdf
□松下電器産業のホームページ
http://panasonic.co.jp/index3.html
□ニュースリリース
http://panasonic.co.jp/corp/news/official.data/data.dir/jn070724-4/jn070724-4.html?ref=news
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【7月24日】ビクターとケンウッドが2008年経営統合へ
−資本業務提携し、カー/ホームAV事業で協力
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20070724/vicken.htm

( 2007年7月24日 )

[Reported by 大河原克行]


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