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シャープ、液晶パネル新工場を2010年3月大阪 堺で稼働
−投資規模1兆円の「21世紀型コンビナート」


第10世代マザーガラスの前に立つ片山幹雄社長

7月31日発表


 シャープ株式会社は31日、液晶パネルの新工場を、大阪府堺市に建設することを正式に発表した。片山幹雄社長が、大阪市内のホテルで会見を行ない、その概要を明らかにした。


■ 甲子園球場が32個入る「21世紀型コンビナート」

片山幹雄社長

 現在、堺市堺浜地区で、新日本製鉄が所有している127万平方メートルの敷地に、世界最大となる第10世代の液晶パネル工場、世界最大規模の太陽電池工場に加え、インフラ施設や部材、装置メーカーなどの工場群を集結。「21世紀型コンビナートともいうべき、業種、業態を越えた最大級の工場群を形成する計画」(片山社長)とした。

 「亀山工場の約4倍、甲子園球場が32個入る規模。コンビナート全体での投資額は、約1兆円になり、そのうち、液晶パネル工場では約3,800億円を予定している」(片山社長)。

 片山社長は、堺への工場建設を決めた理由として、「電気やガスなどの供給拠点が近くにあること、シャープの液晶技術の開発拠点である天理総合開発センターや、大型液晶パネルの主力工場である亀山工場、太陽電池の葛城工場、そして、田辺にあるシャープの本社にも近い。各拠点が連携をしながら迅速に立ち上げられるメリットもある。また、大阪府は、空港や港湾などの物流インフラも整備されている。今回は、多くの企業が集積するという意味でも広大な土地が必要だった」と語る。

建設予定地は大阪府堺市堺区堺浜地区で、敷地面積は127万平方メートル 液晶パネル工場のほか、太陽電池工場や、部材、装置メーカーなどの工場群を結集する 新工場の立体模型図

 「コンビナート型の工場進出によって、企業同士のシナジー効果が発揮でき、共有利用できるインフラも多く、産業全体としての設備投資の抑制ができること、生産性の向上や、物流コストの削減、生産計画のオペレーションの一元化、技術革新の進展、先端技術の流出に歯止めができることなどのメリットがある」(片山社長)、「海抜から5.5メートルのところに地盤があり、しかも、亀山第2工場で採用している耐震ダンパーを採用する。関連企業を含めたすべての企業が、強固な基盤の上に立地できることで、むしろ災害時のリスクが減少する」(シャープAV・大型液晶事業副統轄兼AVC液晶事業本部長・廣部俊彦取締役)としている。

 中核となる液晶パネルの新工場は、2,850×3,050mmのマザーガラスを生産できる第10世代の液晶パネル工場で、65型で6枚、57型で8枚、42型で15枚のパネルを切り出すことができる。今年11月から着工し、2010年3月までに稼働させる予定。

 投資金額は約3,800億円、稼働当初は月3万6,000枚、本稼働時には月7万2,000枚の生産が可能になる。

 これにより、46/52/32型を亀山第2工場で生産。42型のほか、57/65型などの大型液晶テレビ向けのパネルを新工場で生産することになるという。

 シャープでは、2006年度には全世界4,700万台の液晶テレビのうち、14%を占めていた40型以上の比率が、2011年には1億2,000万台の市場規模に拡大し、40型以上の比率は約40%以上に達すると予測。また、50型以上の構成比が約1割を占めると見ており、今後も液晶テレビの大型化が急速な勢いで進展すると予測している。新工場はこうした需要の増大にあわせたものとなる。

新工場では、亀山第2工場の第8世代と比べて1.6倍大型化した第10世代マザーガラスが生産可能 液晶パネル工場の概要 第10世代マザーガラス



■ 部材メーカーも進出し、垂直統合を強化

 また、亀山工場では液晶パネル生産から液晶テレビまでの垂直統合型の事業展開を進めてきたが、新工場では、これを、部材メーカーまで巻き込んだ形で、さらに川上まで推し進めた点が特徴。

 「堺は、部材メーカー、関連する設備をドッキングさせることで、第10世代による生産方式による効率化に、プラスαのメリットが実現できる」(廣部取締役)という。

 こうしたインフラメーカー、部材メーカーの進出による投資は、全投資額の約半分を占める4,000〜5,000億円に達すると見ている。

 関西電力グループ、コーニング、大日本印刷などの液晶パネルの関連企業が進出することが決定しており、「ガラス、カラーフィルター、装置、水、薬液、材料、リサイクルといった点での関連企業の進出が予定される」(廣部取締役)という。

 さらに、片山社長は、「今日発表したのは第1工場であり、敷地にはまだ余裕がある。需要の増大にあわせて第2工場を敷地内に作ることも可能」などとした。

材料から完成品までの一貫生産を実現 垂直統合を更に進め、高効率生産、規模拡大などを実現 関西電力や、コーニング、大日本印刷などの関連企業が参加

 また、新工場の稼働にあわせて、液晶パネルの外販にも積極的に取り組む姿勢を見せた。

 これまでにも、液晶パネルの一部外販を行なってはいたが、「生産能力自体が追いつかなかった。亀山第2工場でも予想以上に液晶テレビの需要が拡大し、外販まで回らなかった。巨大な生産設備を擁することで、セットメーカーの要望にあわせて、戦略的な供給を開始したい。新工場が立ち上がった段階で速やかに供給を開始する予定であり、メーカーの要望にあわせて外販比率を高める」とした。

 気になるのは、「亀山」ブランドの存続と、新たに「堺」ブランドが創出されるのかという点だが、片山社長は、「今後、どうするのかまだ考えていない」として、この点での言及は避けた。

 一方、21世紀型コンビナート構想のもうひとつの柱となる太陽電池工場は、TFT液晶で採用している薄膜技術をベースにした薄膜太陽電池を生産。「薄膜太陽電池では、材料やインフラの共用化が可能であり、液晶パネル工場と隣接することで、生産性向上が図れる」(片山社長)という。また、シリコンの材料不足が懸念される太陽電池の生産において、薄膜太陽電池ではシリコンの使用量が10分の1に削減できるというメリットもある。

多結晶太陽電池と薄膜太陽電池の比較 TFT液晶で採用する薄膜技術をベースにしており、インフラの共有化が可能 シリコン使用量が少なく、シリコンの材料不足を解消できるメリットがある

 新たな太陽電池工場は、年間1,000MWの生産量を見込んでおり、「これは、葛城工場の710MWを上回り、さらに、2006年に全世界で生産された太陽電池生産量の約半分を占める。住宅用太陽電池に換算すると毎年25万軒分の生産が可能になる」とした。2010年3月の稼働を予定しているという。

太陽電池工場は2010年3月頃までに稼動開始予定 “省エネ”の液晶と“創エネ”の太陽電池を提供する“環境先進企業”を目指す

 なお、亀山工場の建設時に、自治体などから支払われた補助金については、「今回は特別に用意されたものはない。ただ、堺市の基準があり、それに従って補助金などを申請することになる。大阪の地域振興、経済発展に寄与できるだろう」とした。

□シャープのホームページ
http://www.sharp.co.jp/
□ニュースリリース
http://www.sharp.co.jp/corporate/news/070731-a.html
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【7月25日】シャープ、第1四半期は2桁の増収を維持
−液晶テレビは30型以上が63%占める
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20070725/sharp.htm

( 2007年7月31日 )

[Reported by 大河原克行]


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