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社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC)や社団法人日本映像ソフト協会(JVA)ら24の著作権関連権利者団体・事業者は2日、動画投稿/配信サイト「YouTube」における著作権侵害についてYouTubeや親会社のGoogleと協議した結果を報告する記者会見を行なった。 協議はYouTubeからの申し入れで7月31日に行なわれ、2月6日に行なわれた協議に続き2度目となる。GoogleからはVice President,Content PartnershipsのDavid Eun氏とCorporate CounselのConway Chen氏、YouTubeからはYouTube Partner Development DirectorのChris Maxcy氏とGeneral CounselのZahavah Levine氏が来日。グーグル日本法人の村上憲郎社長も参加し、約2時間半に渡る話し合いが行なわれたという。 YouTube側は、「規約を3回違反したユーザーのIDや投稿動画を削除している」、「無断アップロードへの警告を日本語で掲示するようにした」など、これまで講じてきた対策を説明。また、動画や音声の波形からコンテンツを自動識別する「フィンガープリント」技術を用いた侵害防止システムの開発を2006年から進め、実用化されればこれまで権利関係者が負担する人的・金銭的コストが削減できると述べたという。 これに対し、24団体は同社のこれまでの対応について一定の評価はするものの、現状では「対応が極めて不十分」とし、著作権侵害防止システムが実用化されるまでの期間については、YouTubeの責任において侵害行為に対処することを強く要求。既に具体的な対策を講じている他の動画投稿サイトと同じような対策をとるよう求めた。 ■ 具体的進展なしで、権利者には不信感も
JASRACの菅原瑞夫常任理事は、「2月の協議でもフィンガープリント技術を開発していると説明されたが、今回も詳細は聞いていない」と不満を露わにし、協議を終えた正直な気持ちを「もどかしい」と表現した。「それなりの効果を上げて、過去の著作権侵害にも対応できるならば必要な協力をしたい」とした。また、7月に発表した動画共有サイトへの許諾条件に触れ「JASRACとして方針は出している。運営側が責任を持ってどう対応するかが第一歩」と述べた。 また、社団法人日本芸能実演家団体協議会(芸団協) 実演家著作隣接権センターの松武秀樹氏は「フィンガープリント技術については理解しているつもりだが、運営には使用料金などの利権が隠れている」と懐疑的。「ペーパー上で明らかにされていないため詳しくはわからないが、世界的に素晴らしいものであるならば、(正規での流通など)“次の話”をしたい」と述べた。
さらに、松武氏は実演家の立場から「技術が進歩することでの恩恵も受けているが、我々は無からコンテンツを作っていることをもう一度申し上げたい。そのために莫大な費用と労力を使っていることを一般の消費者にも理解していただきたい」と訴えた。 結果を見ると、2回の協議でも進展はほとんど見られなかったことになるが、「両者に着地点はあるのか?」という質問に対しては、各団体とも一貫して「侵害コンテンツを削除することが前提」と主張。何らかのパートナーシップ契約を結ぶといったことについても「まずは削除」の姿勢を改めて示した。 前出の菅原氏は「例えばテレビ局などの放送マークが入ったコンテンツは自動で削除するといった対処の仕方もあるが、そういったことは念頭に置いていないようであり、納得できない」と述べている。また、「権利者が違法コンテンツを通報する費用などをYouTubeに請求しては?」との問いには「一つの考え方としてはあるが、それは現在のYouTubeの対応を認めることになる」(菅原氏)と否定した。
JVA管理部の酒井信義部長代理は「YouTubeも違法コンテンツは削除すると言っている。新技術の開発についても話はあるが、それより現状の違法アップロードを責任を持って削除するよう求める。それが着地点」とした。 今後の協議については未定で、「YouTube側の体制がきっかけとなる。『こうなりました』ではなく、中間的に報告して欲しい。そうなればいつでも会う」(菅原氏)とした。
□YouTubeのホームページ(英文) ( 2007年8月2日 ) [AV Watch編集部/nakaba-a@impress.co.jp]
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