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マランツ、ミドルクラスのセパレートアンプ/SACDプレーヤー
-上級モデルから多数のパーツを採用。「新AVアンプは年末」


SA-11S2
9月より順次発売

標準価格:472,500円~572,500円


 株式会社マランツ コンシューマー マーケティングは、単品コンポのミドルクラス新製品として、SACDプレーヤー「SA-11S2」を9月に472,500円で発売する。さらに、ミドルクラスでは24年ぶりとなるセパレートアンプも10月に発売。価格はプリの「SC-11S1」が472,500円、パワーの「SM-11S1」が572,500円。


■ SA-11S2

SA-7S1のために開発したメカモジュール「SACDM-1」を、ほぼそのまま搭載

 ハイエンドSACDプレーヤー「SA-7S1」(735,000円)に投入した高級パーツを多く使用したというミドルクラスのSACDプレーヤー。「型番からするとSA-11S1のマイナーチェンジモデルと思われるが、中身はほぼ別物に進化している」という。2ch出力専用で、アナログマルチ出力やHDMI、i.LINKは備えていない。

 SACD/CD用のドライブには、SA-7S1のために開発したメカモジュール「SACDM-1」を、シャーシに合わせて一部サイズ変更しただけで、ほぼそのまま採用。メカニズムを、最大10mm厚のアルミ押し出し材を使ったベースブロック、サイド、トップ部と一体化。それを強固にシャーシにマウントしている。

内部

 DACには、SEIKO NPC製のDSD/PCM両対応の「SM5866AS」を採用。DSDフィルタを組み替えることで、3つの音色(FILTERモード)をユーザーが選択できる。CD再生時にはオリジナルDSPの「PEC777f2」を使用。8倍のオーバーサンプリングやデジタルフィルタによる帯域外ノイズの除去などを行なっている。

 DAC以降のアナログ段には独自のHDAM回路を装備しており、OPアンプは使用していない。アナログ回路は全段でフルバランス回路。アンバランスとバランス出力は同等のグレードを実現している。

左のSA-7S1と比較すると、多くのパーツがSA-11S2にも使用されていることがわかる

 ここまでの特徴もSA-7S1と同じ。SA-7S1との違いは、アナログ回路とデジタル回路を電気的に絶縁するための絶縁素子「デジタルアイソレータ」が省かれていること。そして、電源部のトランスが120VAから80VAに小容量化していること。それでも「SACDプレーヤーとしては、十分にゆとりをもった電源供給が可能な容量」だという。

 CDとSACD用に、個別のクロックとレギュレーターを搭載。外部クロック入力端子も用意する。他にも、アナログ音声の位相反転機能が使用可能。シャーシは黒鋼板、銅メッキ鋼板のダブルレイヤードシャーシ仕様。アナログの出力端子は真鍮削り出しで金メッキを施している。インシュレータはアルミダイキャスト製。

 出力端子はアンバランス(RCA)、バランス(XLR)、光デジタル、同軸デジタルを各1系統装備。ダイナミックレンジはSACDが114dB(FILTER3)、CDが00dB以上(FILTER1)。消費電力は26W。外形寸法は440×413×127mm(幅×奥行き×高さ)。重量は16.5kg。


■ SC-11S1

SC-11S1

 リファレンス・プリアンプ「SC-7S2」の開発コンセプトを受け継いだというプリアンプ。同社オリジナルのアンプモジュール「HDAM」の最新版である「HDAM SA3」を採用。コンプリメンタリーカスコード・プッシュプル型のアンプモジュールで、スルーレートは200V/μsec以上で、従来と同じ測定限界以上だが、「おそらく従来モデルの2倍程度のハイスピード化を実現している」とのこと。

 ボリュームコントロールICには、Wolfsonの「WM8816」を採用。チャンネルあたり3個、合計6個を仕様しており、HDAM SA3と組み合わせたバランス出力型のボリュームアンプを開発。入力された信号はHDAM SA3を使ったインプットバッファアンプにより低インピーダンス化され、ソース間の干渉を抑えている。

HDAM SA3

 電源回路はSC-7S2と同じチョークインプット式。整流ダイオードと平滑コンデンサの間にチョークコイルを挿入するもので、一般的なコンデンサーインプット方式と比べ、高調波ノイズを抑えたクリーンな電源供給ができるという利点がある。

 電源部のトランスはトロイダル型。新型のフォノイコライザも内蔵。低域から高域までのNFB量を一定にしたというコンスタント・カレントフィードバック・フォノイコライザで、スムーズな音質を実現したという。さらに、バランス入力型のヘッドフォンアンプも内蔵している。

内部

 入力はバランス×2、アンバランス×3、PHONO×1系統。RECORDER IN/OUTを各2系統。出力はバランス×1、アンバランス×1、ヘッドフォン×1となっている。最大4台のSC-11S1を接続できる「F.C.B.S.(フローティングコントロールバスシステム)」にも対応。音量/入力切替の連動制御を実現するもので、バイアンプモードと併用することで、SC-11S1を2台使ったコンプリートバイアンプシステムや、3台使った5.1chシステムなども組むことができる。

 周波数帯域は3Hz~120kHz。チャンネルセパレーション(20kHz)は90dB以上。消費電力は30W。外形寸法は440×431×127mm(幅×奥行き×高さ)。重量は16kg。


■ SM-11S1

SM-11S1

 SC-11S1との組み合わせを想定したパワーアンプ。リファレンスのモノラルパワー「MA-9S2」のコンセプトを受け継いでおり、定格出力は220W×2ch(4Ω時)、110W×2ch(8Ω時)。BTL接続時は420W(8Ω時)のモノラルパワーアンプとしても動作する。

 PM-11S1で採用された、内部の平行配列を踏襲しているのが特徴。通常のステレオパワーアンプでは、トランジスタが中央後方に配置され、パワーバッファアンプが正面に向かって左右に配置されている。しかし、SM-11S1では、横方向に平行配置。電流ループ面積を最小化するとともに、ブロックコンデンサとパワーバッファアンプを最短距離で結び、瞬時電流供給能力を向上させたという。

パワーバッファアンプを横向きに平行配置しているのが特徴

 アンプモジュールはHDAM SA3を採用。ボルテージアンプにはMA-9S2と同じ電流帰還型を採用。入力部はHDAM SA3を使った差動入力型となっており、信号は入力直後に低インピーダンス化される。

 トランスはMA-9S2と同等サイズで、重量6.6kgの大型サイズ。電源回路にはチョークコイルを用いたπ型フィルタ(ボルテージアンプ用)、ショットキーダイオード、ノイズキラー素子などを採用している。

 スピーカーターミナルはWBT製で2系統用意。バイワイヤリングにも対応できる。入力はアンバランス、バランスを各1系統備えている。全高調波歪率は0.02%。S/N比は101dB。消費電力は300W。外形寸法は440×429×168mm(幅×奥行き×高さ)、重量は26.6kg。


■ 新AVアンプは年末に投入

高山敬史代表取締役

 高山敬史代表取締役は、単品コンポの市場動向を説明。「プリメインアンプが好調に推移している反面、AVアンプは2002年をピークに縮小傾向にある。金額ベースでは2006年にプリメインアンプとAVアンプが逆転し、現在はプリメインの方が好調だ」という。

 こうした状況を踏まえ、2007年度は高付加価値製品を積極的に投入。さらに、B&Wのスピーカーとマランツのコンポのセット提案を行なっている「Music Dialog」にも注力し、システム・ソリューションとしての提供を強化。

 さらに、カスタム・インストレーション市場の活性化も目指し、ネットワークオーディオプレーヤーを有する「Escient」(エシェント)ブランド製品の投入などを予定。「今後も他社にない価値を提供していきたい」とした。

プリメインアンプの市場がAVアンプを上回っているという

 なお、同社が「厳しい状況」とするAVアンプ市場では、ドルビーTrueHDやDTS-HDなど、次世代ディスクの新フォーマットに対応した製品の投入を各社がスタートさせている。マランツとしての新AVアンプ投入時期には「今回の発表には間に合わなかったが、年末には市場に投入できる見込み」だという。

 また、高山氏は親会社であるディーアンドエムホールディングスが、英カルレック・オーディオを21日に買収したことを説明。「プレミアムオーディオ機器や放送局用の音響/音声編集コンソールなどを手掛けるメーカー。マランツへは5.1chのHDサラウンドを実現する多くの音源が制御できる独自技術“Bluefin”をもたらしてくれる」という。

 だが、この技術は業務用をメインとしたもので「今後どうなるかはわからないが、とりあえず年末に向けて投入するAVアンプに採用する予定はない」という。

□D&Mのニュースリリース(PDF)
http://www.dm-holdings.com/JPN/Docs/20070821CalrecRelease_Ver2.1(JP)_(NXPowerLite).pdf

□マランツのホームページ
http://www.marantz.jp/ce/index.html
□ニュースリリース
http://www.marantz.jp/ce/news/press/2007/20070822-11series.html

(2007年8月22日)

[AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]


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