◇ 最新ニュース ◇
【11月30日】
【11月29日】
【11月28日】
【Watch記事検索】
CEATEC JAPAN 2007【ビクター編】
-37mm“スリムLCD”や180Hz駆動などTV先進技術


スリムLCD

期間:10月2日~6日

会場:幕張メッセ

入場料:一般1,000円、学生500円


ビクターブース

 日本ビクターは、次世代ディスプレイの目玉として、最薄部37mm、最厚部72mmの42V型液晶テレビ「スリムLCD」を参考出品。180Hz駆動や、LEDバックライトなど液晶ディスプレイの先進技術を中心にした展示となっていた。

 また、今後のディスプレイ戦略を中心とした経営戦略について、佐藤国彦社長から新技術の紹介や、マーケティングの方針などの説明も行なわれた。



■ “超薄型”は他社に先駆け欧州で’08年3月発売

 出展された「スリムLCD」は、自社で新開発した、厚さ20mm、額縁幅13mmの新モジュールを採用し、映像が空間に浮かぶイメージという“Airly Design”がコンセプト。壁掛けや壁寄せでの設置を想定しており、同社製品のフラッグシップ機と位置づけられる。

 ディスプレイの厚さのもとになるとされるバックライト部について、モジュールを薄型としながら光の拡散効率と輝度を両立させたというバックライトブロックを開発。薄型化による明るさのムラを抑え、従来品と同等の輝度を実現したという。さらに、フリンジ部の設計を見直したことで狭額縁化も行なった。

最薄部は37mm フレーム幅13mmに狭額縁化 バックライト部を自社開発

 発売は、まず同社が特に高いブランド力を持つ欧州において、スポンサードするサッカー「EURO 2008」(6月開催)に向け、2008年3月より開始。その後、日本と米国へグローバル展開する見込み。42V型以上で、複数サイズでの発売を予定する。価格は明らかにされていないが、「従来モデルより数万円程度高くなる。驚くほど高くはしない」(佐藤氏)とした。

 日立が2009年以降、シャープが2010年以降とする“超薄型液晶テレビ”よりも先行して発売できることの背景について佐藤社長は「リアプロやEverioの光学技術を持っていた。ハードルは高かったが、全ての条件を高いノウハウでエンジニアが結実できた」と強い自信を見せている。

 ほかにも、参考展示としてLEDバックライトにより高色域と高コントラストを追求したモデルや、通常の3倍に当たる180Hz駆動モデルのプロトタイプを披露。

 LEDバックライト搭載モデルは、新開発の「エリアコントロール液晶ドライバー」により、輝度を絞った黒と明るいピーク輝度による高コントラストと、従来品から50%の低消費電力化を実現。NTSC比116%の色表現と、5ms以下(MPRT)の応答速度となっている。コントラスト比は10万:1。

 180Hz駆動モデルは、秒間60コマの映像に対し、2コマの画像を予測/生成して挿入する技術で、動画の滑らかさを追求。製品化は未定だが、展示品は既に流通しているパネルを元に開発されたもので、今後パネルメーカーとの協力で実現を目指す。

 現時点では、いずれの技術も個別のプロジェクトとして進行しているが、これらの技術を新ラインナップとして順次商品化、最終的には全てを搭載したテレビを実現する計画となっている。

180Hz(左)と60Hz(右)を比較 LEDバックライト搭載モデル(右) 同社の液晶モジュール開発ロードマップ



■ 小型モジュール採用のD-ILA 4K2Kプロジェクタも

 そのほかの注力事業として挙げられたプロジェクタ製品では、11月中旬発売のフルHD D-ILAプロジェクタ「DLA-HD100」に加え、4K2K(4,096×2,400ドット)プロジェクタの「D-ILA 4K2K」を参考展示。

 大型のプレゼンテーションやCADウォール、シミュレータなど業務向けだが、今後カメラやレコーダ、プレーヤーなど周辺環境の整備や、NHKによるスーパーハイビジョンの実用化などで市場拡大を見込んでいる。

 D-ILAデバイスには、従来品(4,096×2,160ドット)より高画素としながら、サイズを1.7インチから1.27インチに小型化。コントラスト比は従来の5,000:1から20,000:1に、開口率は92%から93%に向上。「キーデバイスである表示素子の小型/高性能化により市場拡大に対応する」としている。

披露された「D-ILA 4K2K」 新開発の小型デバイスを採用

「D-ILA 4K2K」の概要 DLA-HD100

従来の1/3という、本体重量10kgの4Kカメラを参考展示。3,840×2,048ドット/3CMOSを採用 PCをベースにした4K/H.264プレーヤーも開発中。撮影から再生、保存までの「4K WORLD」実現を目指す

 なお、リアプロジェクションテレビの方針については「市場性とコスト力、技術開発力などいろいろな角度から見直し中。フロントプロジェクタや、素子の技術は高い評価を受けている。基礎的技術は進めており、今は撤退を視野に入れるというところまで踏み込んではいない」とした。

 佐藤氏は同社の強みについて、「技術における先進性」と「グローバルな開発/販売網」、「ハードとソフトを持つ企業としてのシナジー」を挙げ、民生AV事業の中でも、「液晶とD-ILAプロジェクタ(フロント)に全力を投入する」と宣言。

 「今までは“技術のビクター”だったが、これからは“技術とマーケティングのビクター”」とし、事業構造改革や、ケンウッドとの資本業務提携などの推進で「第1四半期は赤字だったが、第2四半期は、営業利益のブレークイーブンを達成できる見込み」としている。

佐藤国彦社長 超薄型のスリムLCDなどを「Premium Display」と位置づけ、競争力の強化を図る

手の動きや拍手の音をリモコン代わりとして操作可能にする液晶テレビのデモ。指を折り曲げることで“決定”を意味する「空間クリック」となる

ウッドコーンスピーカー採用のコンパクトシステム「EX-A3」をベースとして、メインユニットの天板にチェリー材を採用した限定モデルを参考展示。1,000台限定で11月に発売。価格は13万円前後の見込み ウッドコーンのプロトタイプとして、小型コンポーネントシステムのエントリーモデルや、自作キット第2弾も


□CEATEC JAPAN 2007のホームページ
http://www.ceatec.com/2007/ja/visitor/
□ビクターのホームページ
http://www.victor.co.jp/
□CEATEC JAPAN 2007 ビクターブースの概要
http://www.victor.co.jp/press/2007/ceatec2007.html
□関連記事
【9月27日】ビクター、“リアル12bit”の新高画質エンジンを開発
-全段12bit処理で2008年春に製品化。新3D NR処理も
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20070927/victor1.htm
【9月26日】ビクター、コントラスト3万:1のフルHD D-ILAプロジェクタ
-84万円の上位モデル「DLA-HD100」。電動ズーム搭載
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20070926/victor.htm

( 2007年10月2日 )

[AV Watch編集部/nakaba-a@impress.co.jp]


00
00  AV Watchホームページ  00
00

Copyright (c)2007 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.