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Dolby Japanは、CEATEC JAPANに初出展。「Hall 2」にブースを設けてTrueHDなどのサラウンド音声のデモを実施しているほか、国際会議場の201会議室に「Dolbyシアター」を設置。新3D上映システム「Dolby 3D Digital Cinema」でスターウォーズの1シーンなどが3D映像で体験できる。 201会議室では、液晶テレビのコントラストを向上させる新技術「ドルビービジョン(Dolby Vision)」、「ドルビーコントラスト(Dolby Contrast)」を初公開。さらに、映画の音声や音楽の音量を一定に抑えた場合でも、製作者の意図に近いバランスで再生できるという「ドルビーボリューム(Dolby Volume)」のデモも行なっている。
■ ドルビービジョン/コントラストを初公開 Dolbyといえば、ノイズ低減技術やドルビーデジタルなどのオーディオコーデックなどの印象が強いが、ドルビービジョン/コントラストは、LEDバックライトを採用した液晶テレビのコントラスト性能を改善するという映像技術。
同社のドルビーNR技術も、映像技術の研究中に生み出されたもので、創業以来常に映像関連技術の研究を続けており、ドルビービジョン/コントラストの開発に至ったという。 いずれも、LEDバックライトを採用した液晶テレビのコントラスト性能を改善する新技術で、映像をリアルタイムで解析して、画像の明暗部を検出。検出した明暗にあわせて、1つ1つのLEDを動的に制御し、1画面内でも暗い画面はより暗く、明るい画面はより明るく表現可能とする。こうした局所輝度制御(Local Dimming)でコントラスト性能を大幅に向上している。 ドルビーコントラストもドルビービジョンも基本技術は共通だが、前者は輝度450~650cd/m2程度の通常の液晶テレビ向け、後者は1,500cd/m2以上の高輝度液晶ディスプレイ向けと位置付けている。ドルビーコントラストでは、通常の約5倍、ドルビービジョンでは約25倍のコントラスト性能が得られるという。 ドルビービジョンでは、さらに色深度の拡張技術を導入。最高16bitでの画像処理を行ない、輝度表現やダイナミックレンジをさらに向上する。
会場のデモでは、通常のCCFL管を利用したフルHD液晶ディスプレイと、同パネルを利用しながら、LEDバックライトにドルビーコントラスト/ビジョンの局所輝度制御技術を導入した液晶ディスプレイの比較を実施。 デモ機では、1,380個の白色LEDをバックライトとして利用。各LEDをリアルタイムで画像の対応する箇所の明るさにあわせて点灯/消灯し、コントラストの違いをアピールしている。デモ機は白色LEDを利用しているが、技術的にはRGBバックライトの液晶テレビでも実現可能という。 現時点ではLEDバックライトを採用した液晶テレビはあまり多くないが、ドルビーコントラストについては、2008年の実用化を目指している。今後、同社ではバックライトメーカーや、テレビ製品メーカー、ドライバICなどの各関連企業への採用を呼び掛けていく。 ■ 音量差を抑えながらニュアンスを再現する「ドルビーボリューム」
ドルビーボリュームは、テレビのチャンネル間音量差や、映画音声の急峻な音量の変化などを抑えながら、楽曲やセリフなど、コンテンツ本来の迫力やニュアンスを正確に再現するというボリューム技術。音量を自動制御して一定レベル以下に抑制するというシンプルなテクノロジーに思えるが「ドルビーの40年の歴史の集大成ともいえる技術」なのだという。 音量差を抑えて聞きやすさの改善を図る技術は、テレビやDVDプレーヤー、オーディオプレーヤーなどでも開発/採用されている。ドルビーボリュームがそれらと異なっている点は、単にあるレベル、ある帯域を以上を抑えるという電気的な信号処理ではなく、低域や中域、高域などの周波数帯ごとに動的に制御すること。それぞれの帯域は、“人間が音を知覚した時の感じ方。音がどう知覚されているか”という、同社が蓄積してきた心理音響学的なノウハウを用いて計測/解析/制御することで、コンテンツ本来のニュアンスを損なわずに、自然な音響再現が可能となる。 周波数制御だけでなく、時間変化の解析/制御を導入することで、不自然な圧縮効果や不要なゆがみを排除して、音量レベルを適切に補正できるという。単純なダイナミックレンジ圧縮技術やボリューム抑制とは異なり、音質変化を最大限に抑えている。
また、ボリュームを抑えてDVDビデオや音楽CDを再生した場合、セリフが埋もれてしまったり、楽曲のニュアンスが聞きづらくなる場合がある。ドルビーボリュームでは、こうした小音量時の再生でもニュアンスや楽曲のバランスを損なわず、むしろ楽曲の情報を最大限に引き出す方向で活用できるという。
通常の映像/音楽パッケージの制作現場の基準モニターレベルは85dB SPLで、一般家庭の環境と比較すると、かなり大音量を基準に楽曲やオーディオトラックが製作されている。一般的な環境では、そうしたリファレンス環境より小さな音量レベルで利用することが多いため、小音量時にはコンテンツにあるはずの情報が再現されない場合もあるという。 しかし、ドルビーボリュームでは、基準レベルでのミキシングなどを解析して、音量の均一化や周波数制御を行ない、小音量再生時に欠落してしまう情報も聞こえるように制御する。そのため、より製作者の意図に近い音響が再現できるという。 また、パッケージメディアだけでなく、放送や外部入力機器でも効果を発揮する。同技術の対象となる製品は「ボリュームが付いている製品全般」。テレビやAVアンプ、ポータブルプレーヤーなど様々な製品に応用可能で、半導体メーカーや製品メーカーなどに採用を呼び掛けているが、「手ごたえは非常に良い」という。 ■ オリジナルデモディスクもプレゼント また、オリジナルデモディスクのプレゼントも実施している。Dolbyシアターに入場し、アンケートに回答した人にデモディスク「The Sound of High Definition」のHD DVD版とBlu-ray版のいずれか1枚をプレゼントしている。 Hall 2とDolbyシアターのほか、Blu-ray Disc AssociationとHD DVDプロモーショングループにもDolby関連展示を実施。全ブースでスタンプを集めた人には、Dolbyシアターで受け取ったフォーマットとは別フォーマットのディスクがプレゼントされる。 □CEATEC JAPAN 2007のホームページ ( 2007年10月3日 ) [AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]
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