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CEATEC JAPAN 2007【HD DVD基調講演】
-パソコンでのHD DVD対応を強化。2008年に500万台へ
「BDをお求めいただいた方に申し訳ない」


期間:10月2日~6日

会場:幕張メッセ

入場料:一般1,000円、学生500円


 CEATEC会期4日目となる5日、HD DVDプロモーショングループによる基調講演が開催された。東芝のHD DVD戦略や新インタラクティブ機能のデモ、HD DVDを推進するパラマウント、ユニバーサルからのプレゼンテーションなどが行なわれた。


■ パソコンでのHD DVD対応を強化。BD購入者に「申し訳ない」

東芝 執行役上席常務 東芝DM社 藤井美英社長

 株式会社東芝 執行役上席常務 東芝デジタルメディアネットワーク社の藤井美英社長は、HD DVDとBlu-ray Disc(BD)のフォーマット戦争に触れ、「HD DVDの良い点をアピールしたいし、BDに負けたくないという気持ちはあります。しかし、週刊誌には“ユーザー不在で、誰も儲からない”と書かれていました。そのとおりだと思います」と切り出した。

 続けて、「消費者の方には本当に申し訳ないと思っている。先日もドリームワークスアニメーションと、パラマウントがHD DVDをエクスクルーシブ(独占)でサポートすることを表明し、BDをお買い求めいただいた方に申し訳ない。私は映画ファン、でもないのですが、映画ファンの気持ちを考えると本当に申し訳ない」と、藤井社長流の謝罪の気持ちを述べた。

 「一番重要なのはユーザーが何を求めているかということ。どっちが何パーセント勝っているとか、そういうことではない。どういう魅力がフォーマットにあるのかを訴えていくこと」とし、アドバンスト機能、ネットワーク機能などのHD DVDの特徴に言及。それらの互換性などをきっちり維持していくことをアピールした。

 HD DVDの現状については、北米市場の1月からの累計販売シェアを紹介。2007年のゲーム機/ゲーム周辺機器を除いたプレーヤーのシェアが55%とBDを超えていることや、第3世代のHD DVDプレーヤー発売を紹介。また、発売タイトルについては、「BD屋さんが言うほどに差がついていなくて、かえって我々のほうが多いのではないかと思っている」とし、9月末に300タイトルを突破。年末には500タイトルを目標としていることを明らかにした。

 欧州においては、HD DVDのプレーヤーシェアが70%、欧州のコンテンツホルダの75%がHD DVDタイトルを発売、30社のレプリケータ/オーサリングハウスが支持していることなどを紹介。シェアについては、「たかだか10万、20万台の中でシェアが何%というのもナンセンスと思うのですが、BD屋さんが言っているので、(プレゼン資料に)あえて書かせていただきました」と皮肉った。

米国のハイデフプレーヤー市場でシェア55% アタッチレートはBDの8倍

 また、アタッチレート(プレーヤー一台あたりのタイトル購入枚数)はBlu-rayの8倍と大幅に上回っているという。PLASTATION 3については、「正直私はPS3が大好きです。ソニーと半導体時代から一緒に仕事をやってきました。立派なゲームマシンですが、しかし、我々が想像した通り、ゲームファンと映画ファンは違う。(PS3ユーザーは)我々のプレーヤーの1/10しかディスクを買わない」とコメントした。

PCでのHD DVD対応を強化

 HD DVDの魅力としては「CEとITの融合」をアピール。パソコンにおいてHD DVDドライブ採用を積極的に呼び掛けている方針を示した。

 「どうやってパソコンで違和感なく、CE機器と同じようにきれいな映像を見ていただくか。東芝はこれに注力している。大きなデジタルコンバージェンスの中にHD DVDを位置付けています」と説明。「インターネット接続による映像と情報との融合、HD DVDとインターネットを通じてお客様に情報を届け、対話を実現する。お客様にアピールするのは難しいので、単にハイデフの高画質を訴えていたが、今後はネットの接続性を積極的に訴えていきたい。その一翼を担うのがPC」と、パソコンでのHD DVD展開を語った。

 具体的には、2008年には500万台のパソコンにHD DVDのドライブを搭載。この段階ではHD DVD-ROMと記録型DVDのコンボドライブとなる予定。さらに、2009年には1,500~2,000万台、2010年には4,000~5,000万台を目標としており、「少なくとも2009年には民生プレーヤーの数を超える。ドライブの値段が下がれば、PCメーカーは必ず次世代ドライブを採用します」とした。

 PCでの対応を強化する理由としては、「ディスプレイの高精細/高画質化」、「プライベートユースの拡大」、「若年層ではパソコンで映画を楽しむ人が日本やアメリカで増えている」などを指摘。「プレーヤーと並ぶかか、それ以上の力を入れてPCに取り組んでいく」とした。

 さらに、PC市場でのHD DVD対応メーカーの数をアピールし、「BDAさんもこのあたりをもう少し正確に伝えていただきたい」と訴えた。

2008年以降にパソコンでのHD DVD採用を大幅拡大へ PCメーカーのHD DVDサポートをアピール HD DVDプロモーショングループブースでも、HD DVD搭載ノートPCを多数展示している

HDDやフラッシュメモリとの使い分けをアピール

 また、ビデオカメラへの対応については、「(日立がBDカムを発売しているが)東芝はHDDがありますので、HDDでハイディフィニションの記録に取り組んでいく。僕らはHDD一本で行きたい」とした。

 東芝のメディア戦略としては、フラッシュメモリやHDDとの使い分けをアピール。「ユーザーベネフィットを考えると、この使い分けを考えることが責務。東芝のポリシーは、録画にはHDDレコーダが最適という考え。1TBから、2TB、4TBと増やしていきたい」。

 MPEG-4 AVC/H.264で圧縮し、DVD-R/RWなどにハイビジョンで記録する「HD Rec」については、2時間のサッカーを1枚のDVDに収録できることなどをアピールした。

 BDとの規格戦争については、「どう考えてもおかしいこと。'97年にDVDフォーラムができて、規格は次世代も含めて皆で知恵を絞ってやっていこうということだった。しかし、消費者の利便性を論議することなく、技術だけで新しいBDが生まれ、今日の二重規格を招いた。私はBDの責任だと思っている。HD DVDに恥じるところは一切ない。BDには説明責任を果たしてほしい」と訴えた。

 また、「今後は(HD DVDが採用する)HDiとBDのBD-JAVAのインタラクティブ性能に焦点があたる」と予測。「eコマースやソーシャルネットワーキングサービス(SNS)などの新しいビジネスの世界で大きな役割を果たしていくだろう。積極的に訴求していきたい」と語った。

HD DVDの特徴 ネットワーク接続によるEコマース展開などを訴求


■ コンソーシアム設立で「HDi」の世界を拡張

マイクロソフトの堺 執行役常務

 また、マイクロソフト株式会社デジタルエンターテインメントパートナー統轄本部執行役常務の堺和夫氏は、「次世代DVDに見る2つの融合」と題して講演を行なった。「音とか絵がいいだけでない。新しい機能についてご紹介します」と切り出し、ユーザーに次世代を感じもらう要素としてHD DVDのインタラクティブ機能を紹介した。

 「VHSからDVDに移る時は目に見える変化があった。実際に経年変化や場所の問題を解決できるというメリットがあった。自分の見たい番組をパッと録れて、すぐに早送りできる。そういう利点、モチベーションがあったがあった」とし、“DVDの次世代”に必要なものとして、HDiによる多彩な機能をアピールした。


CEとITの融合をアピール

 堺氏は、HD DVDビデオタイトル「300」のネットワーク機能を紹介。メールアドレスを登録してコミュニティに加入し、ほかのユーザーがアップロードした最新のお勧めシーンが確認できるなどの特徴を解説し、「こういう機能は一昔前はPCだけだったのですが、プレーヤーだけでこれらができるようになった」とコメント。また、米国ではHD DVDで携帯の着メロとか壁紙を購入できることも紹介。

 パッケージの中に「ネットにつながる窓口を作る」とし、HDiのデモを実施。HD DVDディスクのメニューに組み込まれたブラウザからネットワークコンテンツをストリーム配信したほか、PinPで表示するなど、柔軟な表示機能を訴えた。また、HD DVDタイトルの購入者にアンケートを用意し、回答者にクーポンや特典などを提供したり、QRコードを表示して携帯電話を使った販売サイトへ誘導するなどの応用事例を紹介。Webサービスとの連携もアピールした。

PinPやネットワークを使ったインタラクティブ機能をアピール

HDi対応機器拡張に向けてコンソーシアムを設立

 堺氏は、こうしたHDi技術によるインタラクティブ機能を、HD DVD以外のAV機器や配信サービスなどに応用するため、「アドバンスト・インタラクティビティ・コンソーソアム」を設立すると発表した。設立メンバーは、米Microsoftと東芝で、ドリームワークス・アニメーション、ユニバーサル・スタジオ、ワーナー・ブラザーズなどが加盟予定。

 今後、HDiを用いたインタラクティブ機能をDVDプレーヤーなどに実装してネットワークダウンロードに用いたり、パソコンやテレビ、携帯電話、携帯音楽プレーヤー、ゲーム機での対応を目指していくという。

 ナビゲーションやメニュー、コンテンツダウンロードなど様々なインタラクティブ機能についての討議を進めるほか、対応機器の拡大に伴う機器間の相互運用性などを確実にすべく、同コンソーシアムで話し合いを続けていく。堺氏は、「エンターテインメントはクリエーターが作るもの。クリエーターの要望を取り入れて、次世代のエンターテインメントを作りだしていきたい」と意気込みを語った。


■ ユニバーサルとパラマウントがHD DVDをアピール

パラマウントジャパン 鈴木代表取締役

 パラマウントジャパン株式会社 代表取締役 ホームエンターテイメント部門 日本代表の鈴木順一郎氏は、8月20日のParamount本社によるHD DVD独占供給表明を受け、日本でもBlu-rayの出荷を停止したことを報告。今後、HD DVDのみを訴求していく方針を説明した。

 鈴木氏は、HD DVDの優位性として、「長期的な複製コストの安さ」、東芝の積極的なレコーダ、プレーヤー価格戦略による「安価なハードウェア」、ツインフォーマット/コンボフォーマットなどの「次世代を試しやすいフォーマット」、「HDiによる次世代特典」と説明。「パラマウントでも魅力的なソフトをHD DVDの起爆剤として投入したい」と語った。

 また、日本のリリース作品として、12月19日に発売する「スター・トレック 宇宙大作戦」を紹介。日本初のコンボフォーマットで、HD DVD/DVDの双方で再生できることをアピールしたほか、スター・トレックのデモ映像を上映。映像/音声のリマスターや特典などを紹介した。さらに、また、トランスフォーマーやスターダストなどを順次投入していくことを明らかにした。


米国ではトランスフォーマーなどを発売 スター・トレックを年末の目玉に

 ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン 湊谷氏

 ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン取締役オペレーションズ本部長の湊谷一樹氏は、ポータブルプレーヤーの普及や、団塊世代の余暇の過ごし方として、映像ソフトの需要が増えている事例を紹介。

 「さまざまな映像ソフトへの要求が高まる中で、期待にこたえられる商品を提供していくことが我々の使命」とし、ボーナストラックやアドバンスト機能などのHD DVDならではの特色を生かしたソフトを用意し、年末にはスモーキングエースなど、21タイトルのHD DVDを投入していく。今後は新作だけでなく、大型のカタログタイトルの投入も予定しているという。


21タイトルを年末商戦に投入 豊富なカタログタイトルをアピール

□CEATEC JAPAN 2007のホームページ
http://www.ceatec.com/2007/ja/visitor/

( 2007年10月5日 )

[AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]


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