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ソニー、2007年度第2四半期決算を発表
-エレクトロニクス好調で、売上は過去最高


執行役EVP兼CFOの大根田信行氏

10月25日発表


 ソニーは25日、2007年度第2四半期決算を発表した。売上高は前年同期比12.3%増の2兆830億円。営業利益は905億円、税引き前利益は879億円。当期純利益は737億円。売上高と純利益は第2四半期として、過去最高となっている。

 エレクトロニクス事業は、売上高が前年同期比約20.7%増の1兆6,631億円と好調で、液晶テレビ「BRAVIA」や、パソコン「バイオ」、デジタルカメラ「サイバーショット」が増収に寄与。エレクトロニクスの営業利益は前年比1,231.6%増で第2四半期として過去最高の1,069億円となった。

 好調な第2四半期決算を受けて、2007年度通期の業績予想も上方修正。売上高は当初予測比2,000億円増の8兆9,800億円、営業利益は同100億円増の4,500億円、純利益も100億円増の3,300億円とした。

2007年度第2四半期決算概要 通期業績予想も上方修正


■ エレキ過去最高益も、BRAVIAは「ラインナップに間違いがあった」

エレクトロニクス事業の概要

 同社の大根田伸行 EVP兼CFOは、「第2四半期としては売上高、純利益ともに過去最高」と報告。その要因となったエレクトロニクス事業は、売上高が前年比20.7%増の1兆6,631億円、営業利益は、前年比1,231.6%増で1,069億円で、「昨年はPC用リチウムイオンバッテリの自主交換プログラムに係る費用として512億円の引き当てを行なっていたが、その分を差し引いたとしても80%の増加」と説明した。

 増収に寄与した分野は、液晶テレビ「BRAVIA」と、海外での販売が好調だったPC「VAIO」、デジタルカメラ「サイバーショット」。一方、液晶リアプロジェクションテレビが減益要因となっている。利益額の順番では、デジタルカメラ、ビデオカメラ、システムLSI、PC、放送業務用機器。

 なお、液晶テレビ事業は、売上は伸びたものの価格下落の影響を受け、赤字となった。テレビ事業の売上高は3,070億円と、前年同期比で20%増加したが、営業損失は同110億円拡大の210億円と拡大している。

 大根田CFOは、損失拡大の要因を「上半期の製品競争力が弱かったため、価格下落の影響を受けた」と説明。「今秋の新モデルは、大型/フルHDを投入して販売の拡大を図る。S-LCDの第8世代工場も本格的に稼働開始しており、下半期の売り上げ増と収益改善を見込んでいる」という。

 上半期の商品力の問題については、「特に欧州ではHD放送が本格化していないため、フルHDの本格的な展開を秋以降と想定していた。しかし、競合他社が先行してフルHDを導入した。結果、商品力の低下を招き価格で勝負するしかなくなってしまった。ラインナップに間違いがあった」と分析した。

 ただし、通年で1,000万台という販売目標に変更はないという。今冬モデルでは、フルHD対応を徹底し、「早く新モデルを投入した地域では、うまくいっている。下方修正の予定はない」。

 なお、減益要因となった、液晶リアプロジェクションテレビについては、「マーケットが縮小している。北米では、1年前には大型で4割以上のシェアがあったが、PDPの攻勢で10数パーセント程度になっている。市場が小さくなり、価格が下落しているという、かなり厳しい状況」とし、2007年度の販売見込みも、当初予定の70万台から40万台まで下方修正。「このレベルで、利益が出るか出ないか見極めたい」としている。

 また、「VIZIO」など、特に北米市場で顕著な低価格テレビメーカーとの競争が激化しているが、「数的にはシェアを取っているが、金額はまだ低い。無視するわけではないが、真っ向から戦う戦略は取らない。われわれは大型のフルHDで戦いたい」とし、S-LCDの第8世代パネルなどを生かした、大型テレビの価格競争力や付加価値で勝負していく方針。


■ PS3の販売は伸び悩み。PS2/PSPが好調

ゲーム事業の概要

 ゲーム事業は、PS3の販売増により、前年比42.9%増の売上高2,434億円を記録したが、営業損失は前年比で532億円拡大。967億円の損失となった。PS3ビジネスで製造コストを下回る価格設定としたことや、PS3関連在庫の評価増により損失が拡大した。

 第2四半期のハードウェアの売上は、PS3が131万台、PS2が前年比13万台減の328万台、PSPが同56万台増の258万台。PS3の発売以来の累計売上台数は559万台。PS3については、通期で1,100万台という販売目標を掲げているが、「第2四半期の実績では、目標を下回っている。台数的には若干下に行くかもしれない」との見解を示した。ただし、「通期で1,000万台を割る状況ではない」という。

 一方、PS2とPSPについては好調で、特にPS2は「予想を上回る販売状況」。また、PSPも「薄型/軽量の新PSPを投入し、9月の国内販売は過去最高」とのことで、PS2、PSPともに通期販売目標を上方修正。PS2は当初予定の1,000万台から1,200万台に、PSPも100万台増の1,000万台に上方修正している。

 ゲーム事業の黒字化については、「今期は無理。2008年度にはPS3の収益がかなり改善してくると見ているので、来期は黒字転換できると考えている」とした。

 ソニー・エリクソンの携帯電話事業は、ウォークマン携帯やサイバーショット携帯などのヒットにより、売上高が前年比7%増の31億800万ユーロ、純利益は10%減の2億6,700万ユーロとなった。持分法によるソニーの投資利益は211億円。

 映画事業は、売上高が前年比6.4%増の1,896億円、営業利益は27億円で黒字化した。特にテレビ向け映画作品の売上増加が増益に寄与したという。売上に最も貢献した作品は「Superbad」。金融事業は、収入が前年比約6.3%減の1,575億円、営業利益が同5.8%減の231億円。

 その他の事業部門の売上高は、前年比16.8%増の952億円、営業利益は65.9%増の108億円。特にソニーミュージックエンタテインメントにおいて、アルバム売上が前年比増加したことが貢献。売上貢献作品はORANGE RANGEの「ORANGE」と「RANGE」、YUKIの「five-star」、アンジェラ・アキの「TODAY」など。

 ソニーBMGの売上高は前年比10%減の8億5,100万ドル。純損失は800万ドルとなった。同四半期におけるヒット作品は、ブルース・スプリングスティーンの「マジック」、Foo Fightersの「Echoes, Silence, Patience & Grace」など。

□ソニーのホームページ
http://www.sony.co.jp/
□ニュースリリース
http://www.sony.co.jp/SonyInfo/IR/financial/fr/index.html
□関連記事
【7月26日】ソニー、2007年第1四半期決算を発表。PS3は71万台
-過去最高益も「フルHD対応の遅れでBRAVIA後退」
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20070726/sony.htm

( 2007年10月25日 )

[AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]


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