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パイオニア株式会社は、2008年3月期第2四半期連結決算を発表。売上高は前年比6.3%増の2,005憶2,000万円、営業利益は79.6%減の9億3,900万円。当期純損失は23億9,500万円となった。
カーオーディオ製品やパソコン用DVDドライブの売上増、円安の効果などにより、売上高は増加したが、カーエレクトロニクス事業以外の利益減少やプラズマディスプレイの損益悪化などにより、営業利益は減少した。 上半期の売上高は前年同期比0.7%増の3,831億6,100万円、営業利益は同80.7%減の22億6,200万円、純利益は同7.9%増の99億3,600万円となった。 ■ プラズマパネルの新工場は「フリーズ」 ホームエレクトロニクス事業は、売上高が前年同期比4.6%増の894億4,900万円。営業損益は41億500万円の損失で、昨年同期の36億8,100万円から赤字幅が拡大した。
パソコン用のDVDドライブが増収したことにより、売上高が増加。また、DVDレコーダについては、販売地域を絞り、技術関連費用の削減などを行ない、損益を改善した。その一方で、OEM及び業務用プラズマディスプレイの減収や、プラズマテレビを中心とした新たなマーケティング施策などに関する費用が増加したことが損益拡大の原因としている。 プラズマテレビの売上は、国内で前年同期比26.4%減の106億1,200万円。そのほか北米地域でも売上は減少したが、欧州での増加などにより、海外では同10.9%増収の788億3,700万円となった。ホームエレクトロニクス事業に占めるプラズマテレビの構成比は前期比6%減の約41%。 建設を凍結していたプラズマディスプレイパネルの新工場については、建設を見送る方針が決定した。須藤民彦社長は「夏から投入した『KURO』を含むプラズマテレビ新製品は、画質、音質、デザインともに高評価で、製品としてはいいものに仕上がったと自負している。だが、マーケティングの考え方が地域ごとに異なっており、地域別の戦略がうまくいかなかったことなどもあり、販売状況は当初の出荷計画を下回る見込みとなってしまったため、建設を見送る方針となった」と説明している。 生産計画については、来期から静岡県袋井市工場の第3ラインを停止。残る甲府、鹿児島、静岡の各工場でフルHDパネルの生産に注力。今後は、事業規模に見合った生産体制の構築を行なっていくとしており、新工場の建設計画については「フリーズした状態」(須藤社長)とした。
カーエレクトロニクス事業は、カーナビ、オーディオともに売上が増加し、売上高は前年比10.9%増の927億3,000万円となった。営業利益は前年比7.9%増の60億2,600万円。カーナビは国内市場で減少したものの、北米でOEMが増加。カーオーディオは、市販市場向け売上が中南米やロシアで増加したほか、OEMは国内や海外で増加している。 特許関連では光ディスクにおける一部の特許権期間が満了し、売上高は前年同期比で38.4%減の3億800万円。営業利益は同57.8%減の7,900万円。その他の部門では、業務用AVシステムや、パッシブ型の有機ELディスプレイなどの売上が減少したことにより、売上高は前年同期比5.0%減の180億3,300万円となった。営業利益は損益悪化などにより、前年同期比92%減の1億9,100万円としている。 ■ 通期業績予想を下方修正。PDP出荷予測は56万台に 通期の業績予想については、5月発表時から下方修正。売上高は150億円減額の8,200億円、営業利益は50億減額の100億円。純利益は65億減額の60億円を見込む。 ホームエレクトロニクス事業は売上高で160億円減額の3,640億円、営業損失は65億減額の145億円。通期のプラズマディスプレイ出荷台数予測も72万台から56万台と、いずれも下方修正した。売上高/営業損失の減額分については「全てプラズマディスプレイの下方修正によるもの」(須藤社長)と説明している。
また、今期の好調を受け、カーエレクトロニクスは売上高3,820億円、営業利益230億円で、5月発表から上方修正した。 9月に発表したシャープとの業務提携については、Blu-ray Discをはじめ、液晶、有機ELなど各事業において、相互に技術を提供し、共同開発を推進していく方針を再度説明。現在は各事業担当者同士の検討段階としながらも「協業の成果については、おそらくBlu-ray Disc関連製品が一番早く発表できるだろう」(須藤社長)とした。 具体的な製品などについては未定だが、「現在、パイオニアではプレーヤーのみ、シャープではレコーダのみを展開している。この2社が技術を共有することで、どのような製品が登場するかは楽しみにしてほしい」(須藤社長)とした。 また、液晶テレビについては「コアのビジネスはあくまでも“プラズマ”であり、シャープと共有する液晶技術は補完的に利用する」とした。 PDP事業撤退の可能性を含めた今後の戦略については、現在見直し中の段階としながらも、「PDP事業からの撤退は全く考えていない。確かにPDP事業は現在非常に切迫しており、おそらくPDP事業だけの黒字化は当分は難しい。価格を下げて台数を増やすようなことはしたくないので、今回通期の販売台数予測を減少した。短期的には、そのほかの周辺機器、オーディオやホームシアターなどと合わせて、市場価値を高めていく」(須藤社長)とした。 また、「何を軸にするかが戦略のキーになると思うが、パイオニアの製品は“パイオニアらしさ”が命と考えている。今後も色作り、音作りをキーに、これまでの考え方の発展形で、戦略を“FINE TUNE”していく」(須藤社長)と説明した。 □パイオニアのホームページ ( 2007年10月31日 ) [AV Watch編集部/ike@impress.co.jp]
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