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株式会社ナナオは、液晶テレビ「FORIS」シリーズに新カテゴリ「FORIS.HD」を追加。その第1弾モデルとして、1,920×1,200ドットのパネルを搭載し、デジタルチューナも内蔵した27V型ワイド「DT27ZD1」と、24V型ワイド「DT24ZD1」の2機種を11月30日に発売する。価格はどちらもオープンプライス。直販価格は27型が189,000円、24型が168,000円。フォリスブルーとホワイトの2色を用意する。
販売は直販サイトや直営店を中心に行なうが、全国85店舗のパートナーショップでも販売するという。また、直販サイト/直営店では11月1日より予約を受け付ける。
同社は、液晶テレビにフロアスタンドとDVDプレーヤーも一体化させた「FORIS.TV」を展開しているが、「FORIS.HD」はDVDプレーヤーを内蔵せず、テレビ台やデスク上への設置を想定したモデル。PCとの接続も想定しているため「テレビとパソコンの融合進化を実現する映像ターミナル」という意味を込めて、「FORIS.HD」と名付けられた。「FORIS.TV」は併売される。
どちらも解像度1,920×1,200ドット、VA方式の液晶パネルを採用。1,920×1,080ドットの映像をドット・バイ・ドットで表示するモードも備えている。また、1080/24pの入力、表示もサポート。ただし、「FORIS.TV」上位モデルで対応した倍速駆動には対応していない。 輝度は27型が380cd/m2、24型が360cd/m2。視野角は両モデルとも上下左右178度。ノイズフィルタやコントラスト拡張機能、明るさ/黒レベルの自動調整機能などを装備。独自チップを使った高画質化回路も備え、「ソースに忠実で、目に優しい画作りの“ナチュラルコンフォート”を実現する」という。
搭載しているチューナは地上/BS/110度CSデジタルチューナで、アナログチューナは内蔵していない。データ放送、EPG表示に対応。アクトビラにも対応しているが、「ベーシック」のみで、「ビデオ」には非対応。子画面表示にも対応している。
B-CASカードスロットは、画面向かって右側面に用意。同側面にHDMI入力/ヘッドフォン出力も備えている。これを含め、入力端子はHDMI×3、DVI-I(HDCP対応)×1、D4×1、S映像/コンポジット×1、アナログ音声(ステレオミニ)×1を用意。出力はS映像/コンポジット×1、光デジタル音声×1、アナログステレオ音声×1、ヘッドフォン×1。Ethernet端子やモジュラージャックも備えている。
前面に、斜め下向きにスピーカーを搭載。50mm径のフルレンジユニットを採用したステレオスピーカーで、バスレフ型。再生音をデスクに反射させることで、画面から音が出ているような“音の持ち上げ”と、“低音の増強”効果があるという。また、前面にはディフューザーが取り付けられており、高音を拡散させ、指向性を広げている。
デザイン面の特徴は、スタンド部が四角柱型になっていること。フォリスブルー/ホワイトモデルのどちらにも、四角柱型の側面に赤い塗装をほどこしており、デザインのアクセントになっている。また、この部分は各種ケーブル接続部を隠し、スッキリ見せる役割も担っている。
上に10度、下に5度のチルト機能を装備。スイーベル機能も備えている。消費電力と年間消費電力量は、27型が150W、153kWh/年。24型が120W、115kWh/年。スタンドを含む外形寸法と重量は、27型が634×280×529mm(幅×奥行き×高さ)、14.5kg。24型が565×280×483mm(同)、13kg。他社製ハイブリッドレコーダの基本操作にも対応したマルチリモコンも付属する。
■ 2008年にまったく新しいリモコンを
前田一哉常務取締役は、医療用モニタ事業への取り組みや、2003年にスタートさせた「FORIS」シリーズの歩みなどを紹介。「FORISはラテン語で“扉”を意味しており、次世代映像の扉を開き、新たな分野に挑戦するという意味が込められている。新モデルはテレビとPC映像の融合進化を推進するもの。価格やサイズの面で手が出しにくいフルHD大型テレビとは異なり、高画質コンテンツをより気軽に楽しめる製品として訴求していきたい」と、新機種の魅力をアピールした。
また、製品のデザインディレクターを務める川崎和男氏も登壇。「FORIS.HD」のデザインでこだわったポイントとして「ピラミッドにも使われている、ピタゴラスの定理を取り入れた」というスタンド部を紹介。「液晶部も含め、四角形スタンドの1点のみで支えるデザインを考えており、製品ではそれを現実的なものに落とし込むところに苦労した」という。
映像技術開発部の橋本雅之部長は「川崎先生とデザインの打ち合わせを長期間行ない、スケッチブック3冊くらいにビッシリ描き込まれた、デザインノートも見せていただいた。その時のインプレッションは今でも忘れられない。“開発者としてこのデザインを崩すことなく、どこまで作れるか”に熱意を注いだ」という。 さらに川崎氏は「報道の方は過激な発言を期待されているかもしれないが、ネットですぐに広まるので今回は控えたい」としながらも、昨今の薄型テレビ市場への見解を披露。「私がFORISの後に“.TV”を付けて発表したが、その後にAppleが“TV”をつけて“Apple TV”を出してきた。名前の後にこうした言葉を付けたものが今後続々と現れるだろうと当時予想していた」とFORIS.TV発表当初を振り返る。
その上で、「現在の薄型TV市場では、例えばAQUOSやBRAVIAでは、“AQUOSのフルHD”や“BRAVIAのフルHD”と、ブランド名に付け加えて説明しなければならない。これはまったく将来が見えていない証拠だ」と語り、今回の「FORIS.HD」のように、製品コンセプトに合わせて、トータルのブランド名が柔軟に変えられる「FORIS」ブランドの先見性を強調。
また、「昨日は発表会場(東京ミッドタウン)の隣にあるホテルに泊まったが、そこにあるメーカーのテレビが入っていた。それを見ていると“こんなテレビを作るなんて悲しすぎる”、“画面がまぶしすぎる”という2重の意味で涙が出た」と語り、ナナオが手掛ける“目に優しい画作り”をテーマとした、「ナチュラルコンフォート」を賞賛。「調理師免許はあるのに、目(映像)や耳(再生音)の分野には免許制が無い。最近は突発性難聴が多いが、視覚的にもあんなにまぶしい、発光体を直に見るようなものはダメだ」と語った。
デザイン面では、同氏が大学時代から綿密な計算を基にデザインを行なっていることを紹介。モニターのデザインを4次元、5次元といった概念から生み出す手法を紹介するとともに、「マッドサイエンティストと思われるかもしれないが、実は最近ではタイムマシンの設計もしている。FORISもタイムマシンと言える」と結論付けた。 さらに、デスク上への反射音を利用したスピーカーについては、ボーズの技術を参考にしているという。「ボーズ博士に小さいスピーカーで低音を出す秘訣を伺った際、パイプオルガンで3.5Hzや1.8Hzの倍音をとっていくと、ダイナミックレンジに変化があるよと教えられ、それにヒントを得ている」と説明。映像やデザインだけでなく、音質面の作りこみにも積極的に参加したという。 最後に川崎氏は、今後予定している製品として、FORIS.HDとの組み合わせを想定した「まったく新しいリモコン」を開発していると紹介。「Wiiはリモコンによる直感的操作が特徴だが、ああいったものは既に考えており、先を越されてしまった。今回はコスト的に普通のリモコンだが、2008年の4月か、遅くても8月頃には、ああいった革新的なリモコンを披露したい」と語った。
□ナナオのホームページ
(2007年11月1日) [AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]
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