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12月21日に「オペラ座の怪人」と「皇帝ペンギン」をBlu-ray Discビデオ、HD DVDビデオでリリースする株式会社ギャガ・コミュニケーションズは、発売に先駆けた11月15日、ドルビージャパン株式会社と共同で、マスコミ向けの試写会を開催。場所はドルビージャパンの試写室にて行なわれた。
両作品のBD/HD DVDビデオは、北米では既にリリースされているが、ワーナーから発売されている。日本版はギャガから発売され、フォーマットがVC-1からMPEG-4 AVC/H.264(以下AVC)に変更。音声もリニアPCM 5.1chやドルビーTrueHD 5.1chが追加(オペラ座は北米版にもTrueHD収録)されるなど仕様が変更されているのがポイントだ。
今回の試写会では「オペラ座の怪人」のBDビデオ版を使用。再生環境はPLAYSTATION 3をプレーヤーとして使用しており、ドルビーTrueHDの英語トラックを再生。PS3でリニアPCMの5.1chに変換。スピーカーはリピンスキーのモニタースピーカーで、ドライブはブライストンの「9B-SST」を2台使用している。プロジェクタはビクターの「DLA-HD1」だ。
「オペラ座の怪人」では冒頭、古ぼけて埃が積もったオペラ座が、華々しい過去の時代へ蘇るタイムスリップ・シーンからスタートする。荒廃したオペラ座の映像はモノクロで、ザラザラとしたノイズを意図的に重ねているのだが、DVDでは重ねられたノイズに引っ張られて、背後の映像の解像度が下がってしまう。しかし、BDビデオ版ではノイズの隙間にあるディティールもキッチリ収録されており、“スタートから別次元の映像”と言って良い。北米版のVC-1では20Mbps台で推移していると言うが、日本版のAVCは35Mbps前後をキープしているようだ。
この映画ではステージ上や観客席など、引きのアングルで多くの人間が映し出されるシーンが多く、ここでも個々の俳優の顔が描写されているなど、BD/HD DVDビデオの解像度の高さが満喫できる。女優が身に付ける豪華絢爛な衣装や宝飾品もディティールが非常に細かい部分まで観察でき、舞台の華やかさがより一層楽しめる。
怪人が根城としているオペラ座の地下では、暗い岩肌が無数の蝋燭で照らされているが、あまり光が当たっていない部分の岩肌もしっかりと描写されている。怪人が纏っている黒いマントやスーツの素材感、黒の中の階調なども、DVD版と比べると大幅に向上している。
音質の向上幅も大きい。DVD版をイメージしたドルビーデジタル 5.1ch(448kbps)の音声と、BD/HD DVD版に収められたリニアPCM/ドルビーTrueHD 5.1chを比較すると、音が出ているステージの外の空間まで音が広がり、消えていく部分まで知覚でき、部屋が広くなったように錯覚する。ソプラノの声の伸びが美しい。また、背景セットなどの大道具が移動する時の「ゴゴゴ」、「ギギギ」といった細かな低音が、オペラ音楽の低音と重なっても埋もれず、分離され、聞き分けられる。まさに「舞台裏まで意識させる音」と言えるだろう。
また、会場ではドルビージャパン マーケティング部販売促進担当の長内紀己雄シニア・マネージャーが、可逆圧縮フォーマットであるドルビーTrueHDが、完全にソースの音を復元できるかのデモも実施。リニアPCM音声を逆位相にして再生し、そこに正相のままの
ドルビーデジタル 5.1ch(448kbps)と、ドルビーTrueHD 5.1chを重ねて再生するテストを行なった。
ノイズキャンセルイヤフォンと同じような原理で、ドルビーTrueHDを重ねると、音が完全に打ち消しあい、無音となる。一方、ドルビーデジタルでは「シャラシャラ」、「ザワザワ」といった、大勢の人がヒソヒソ話をしているような高域の細かい音が再生される。これが圧縮時に切り落とされた音であり、音場感を狭め、高域の伸びが抑制される原因でもある。
■ BD/HD DVDタイトルを拡充するギャガ ギャガではBD/HD DVD市場への参入、第1弾タイトルとして「バベル」を11月2日に発売しており、「オペラ座の怪人」と「皇帝ペンギン」は第2弾と位置付けられている。第3弾は2008年1月1日発売の「プレステージ」だ。 同社営業本部、コンテンツ事業部宣伝グループの大場崇史氏によれば「原則として、今後発売する新作映画のソフトは、DVD化に合わせ、BD/HD DVDビデオ版もリリースしていく」という。新作だけでなく旧作のBD/HD DVDビデオ化も予定しており、2008年にかけて同社のBD/HD DVDタイトルラインナップの拡充が期待される。 また、今回の「オペラ座の怪人」、「皇帝ペンギン」のように、北米で既にBD/HD DVD化されているタイトルも、日本版向けにエンコードやオーサリングを実施することを基本姿勢としており、クオリティの面でも期待が持てそうだ。
なお、ドルビーとのコラボレーション企画として、既に発売されている「バベル」や、今回の「オペラ座の怪人」、「皇帝ペンギン」には、BD/HD DVDビデオ版には初回生産分のみFM高精細印刷を使ったトレーディングカードが付属する。SPEの「スパイダーマン トリロジーBOX」や、バンダイビジュアルのアニメ作品に付属していたものと同様の、高密度な印刷が行なわたもので、映画の印象的なシーンを使ったカードが各作品に同梱される。
□ギャガのホームページ
(2007年11月15日) [AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]
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