|
社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC)は21日、韓国音楽著作権協会(KOMCA)と締結したパートナーシップに関する共同声明調印式を都内で開催。日本に存在する、韓国の歴史的音楽作品などについて情報収集や調査を行なう点などで合意したと発表した。 両団体は、2007年12月10日にソウルにて両団体が管理する音楽著作物に関する相互管理契約を締結。相手団体の著作物の利用について、自国において相手団体に代わって許諾と使用料の徴収・分配を行なうことが決定した。契約始期は2008年1月1日。 KOMCAは、日本におけるJASRACと同様に、音楽の著作権料について信託管理を請け負う国内唯一の団体。2006年の著作権料徴収額は、KOMCAが677億6,500万ウォン(約82億円/2007年12月4日レート)で、JASRACが約1,111億円。 今回の共同声明では上記契約を踏まえ、交流の促進を図るために、大きく3点において協力することで合意した。 第1は両団体間の交流の推進で、著作権保護のために意見交換を緊密にし、人的交流を推進するというもの。第2は文化交流のための協力と支援で、日本国内に現存する韓国音楽作品の文化的資料や関連情報を調査するもので、全面的にKOMCAに協力、支援するという内容。第3は、日韓文化交流の促進に寄与するため、連携して共催事業を行なうというもの。 ■ 戦争などで失われた韓国音楽に関する資料を日本で調査
KOMCAからは池明吉(チ・ミョンギル)会長はじめ8名が来日し、上記内容について、JASRACの船村徹会長と署名を交わした。 登壇した船村会長は「新しいパートナーシップにより、音楽文化を前進させることができる」と喜びを表明。また、KOMCAのチ・ミョンギル会長は「日本と韓国には愛をテーマにした歌が多い。これは、自由に行き来をできなかった時代があったためだと思う。しかし、音楽は人の心から心に伝わる媒介として存在してきた。今回、長い歳月を経てパートナーシップが締結されたが、これは音楽を愛する人とアーティストの忍耐の結果」と称賛した。
声明の内容についてはJASRACの加藤衛理事長が説明。「韓国の音楽文化に関する資料は、戦前のものについては焼失などによりほとんど残っておらず、日本にある可能性が高い。関係団体の資料や、個人として収集しているケースについて調査を行ない、既に戦前からあるレコード会社には協力を得ており、情報が寄せられることを期待する」と述べた。 また、今回の締結でセレモニーを開催したことについて「おそらく世界で初めてではないか」とし、「歴史、政治の問題を含め、交流が活発になる契機になると確信している。日韓の政局の流れがこれを後押ししてくれるだろう」と期待を寄せた。
なお、協力による経済効果については「韓国の曲が日本で売れる度合いと、日本で韓国の曲が売れる度合いは異なり、現在は日本が輸入超過。今後、交流が盛んになることで格差が縮まるだろう」とした。 KOMCAのキム・イルス事務総長は、「韓国では、かつてほとんどの音楽制作が日本の会社で行なわれており、歌手が日本でアルバムを作り、韓国で売るというケースがあったため、韓国には資料が少ない」と説明。また、「日本の演歌に相当する“トロット”について、韓国でも『演歌が(歴史的に)先』と考えている人が多い。しかし、一部の学者は“起源はトロットにある”と主張している」という一例を紹介。「どちらであれ、音楽の原型を知りたいと切実に望んでおり、探るには日本の資料が必要」との考えを示した。
□JASRACのホームページ ( 2008年1月21日 ) [AV Watch編集部/nakaba-a@impress.co.jp]
Copyright (c)2008 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved. |
|