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角川グループ、公式アニメ配信など、YouTube上で新規事業発表
−90%の精度で問題動画自動検出。「認定もする」


左から角川デジックス 福田正社長、Google コンテント担当副社長のデービッド ユン氏、角川GHDの角川歴彦社長兼C.E.O.、Google 副社長兼 Google Japan 社長の村上憲郎氏
1月25日発表


 角川GHDホールディングス(角川GHD)は25日、動画共有サービス「YouTube」と協力。2月上旬を目処に、YouTube上に角川GHDの専用チャンネルを開設。アニメのプロモーション映像を配信したり、クリエイター発掘のためのキャンペーンを共同で展開することなどを軸とした、新規事業を発表した。

 同時に、YouTubeがGoogleの協力を得て開発しており、角川GHDも開発に参加している動画識別技術の進捗状況も説明。「角川の作品の場合、感覚的には90%台の精度を実現」(角川デジックス 福田正社長)したことや、そのシステムを基にコンテンツプロバイダが動画掲載の可否や、広告配信と連動させた収益を上げるためのビジネスモデルの構築を進めていることも明らかになった。


■ YouTubeに角川チャンネルが誕生

 角川GHDは2008年春、早ければ2月上旬をめどに、同社の公式ページをYouTube上に開設。「アニメ・チャンネル」、「エンターテイメント・チャンネル」、「ムービー・チャンネル」などのコーナーを設け、グループ会社が手がけるアニメや映画、音楽などのコンテンツを配信するという。配信するコンテンツの詳細は未定だが、「今後、著作権者と話し合いながら、プロモーション映像や本編映像の配信も行なっていきたい」という。

 また、コンテンツの配信だけでなく、角川GHDなどが主催となり、投稿動画を受付、優秀作を選ぶなどのキャンペーン展開も予定。視聴者から動画の投稿を促し、次代のクリエイターを発掘するための場所としても活用していくという。

YouTubeに開設される角川チャンネルのイメージ。「アニメ・チャンネル」、「エンターテイメント・チャンネル」、「ムービー・チャンネル」などが用意されるという


■ 動画認識技術を用いて、掲載コンテンツをコンテンツホルダがコントロール

 アップロードされる動画に対して、著作権を侵害していないかどうかをチェックする技術は、日本映像ソフト協会(JVA)や日本音楽著作権協会(JASRAC)など、24の著作権関係権利者の団体・事業者が、権利者に無断で各種動画が掲載されているYouTubeに是正を求めたのが開発の発端。YouTubeがGoogleの協力を得て開発を進め、ディズニーやタイム・ワーナーなどが参加。日本からは角川GHDが2007年7月から参加している。

 識別技術の詳しい技術内容は明らかにされていないが、コンテンツホルダがリファレンス動画(元動画/作品の映像)を提供。それを元に、投稿された動画を検証し、一致している部分があるか否かを検出するというのが基本動作となる。そのため、識別システムへのリファレンス動画の登録数が増加すればするほど、問題のある動画の投稿を防げる。現在はまだ開発中のため、YouTubeへの導入は行なわれていないが、「現時点でも角川の作品の場合、90%台の精度で(問題のある動画は)アップロードできないだろう」(角川デジックス 福田社長)という。

 このシステムが導入された場合、問題のある動画をアップロードしようとすると、警告文が表示され、公開できないようになる。ただし、問題があるか否かは“リファレンス動画と一致する部分が含まれているか否か”で判断されるため、“違法動画の無いYouTube”を実現するためには角川GHD以外の、多くのコンテンツプロバイダがリファレンス動画を登録する必要がある。そのため角川デジックスの福田社長は「今回開発されたシステムを利用したいというコンテンツプロバイダの方がいれば、ぜひお話をさせていただきたい」とし、日本で同システム利用に関するコンサルタントビジネスを展開する可能性を示唆した。

角川デジックス 福田社長 ハルヒダンスで動画識別技術の概要を説明 リファレンス動画と一致した投稿動画にはアラートが表示され、公開できなくなる

角川GHDが許可した動画には、動画右横にある認定マークが表示されるようになる

 また、リファレンス動画と一致する部分があったとしても、著作権者が公開を許可する可能性もある。「1話を全て掲載するというのは問題があるが、製作者の中には、作品の一部を使った投稿動画でも、面白いと言ってくれる人もいる」(角川GHD IR・広報室 柿澤史行課長)。そのため、角川GHDでは、リファレンスと一致する動画を違法動画として一方的に削除していくのではなく、「YouTubeを有益なWeb2.0型CGMと位置付け、著作権に配慮しながら連携していきたい」という。

 角川デジックス 福田社長は「システムが検出した動画に対し、コンテンツホルダがそれをコントロールできるようになったということ。既に掲載されている動画に関しては、削除するという選択肢だけでなく、投稿者とコミュニケーションをとりながら1つ1つ解決していきたい。また、動画を閲覧した人に向け、趣向に合った広告や情報の提供を行なうこともできるようになる。公式に認めて掲載されたものにお金が支払われ、それを生み出した人の労力に対して対価が支払われることが大事であり、携帯電話向けコンテンツなどと同様に、広告収入を権利者に分配する仕組みも導入したい」と説明。今後は各作品の著作権者と話し合いながら、ネット上における公開のガイドラインを定めていく考えを示した。

 なお、角川GHDの場合、許可した動画の配信ページには、角川書店の認定マークが表示されるようになるという。また、福田社長は、「ニコニコ動画」を含む、他の動画共有サービスについても「YouTubeと同様の管理システムなどが用意されれば、拒む理由はない」と語り、現時点ではそうした整備が不十分であるとの認識を示し、「違法動画を掲載したまま逃げ続けるようであれば法的手段もとる」とした。


■ YouTubeに広告表示の新機能

 こうした動きと関連し、YouTubeでは広告配信の新しいシステムの構築が進められている。具体的には、例えば角川GHDが提供、もしくは許可した動画の場合、角川GHDが提供する広告が動画の横にバナーとして表示されたり、映像の下部に半透明の広告「InVideo Ad」を一定時間/間隔で表示。クリックすると投稿動画の再生が一時停止され、広告動画が再生。その再生が終わると半透明広告の表示が消えるなどの機能が実現できるという。

広告展開のイメージ。角川のアニメ「らき☆すた」のプロモーション動画配信ページの右横に、同じく角川が提供するゴルフの広告が表示されている こちらは動画に重ねて表示される広告イメージ クリックすると広告動画が表示され、再生が終わると、再び「らき☆すた」のプロモーション動画がレジューム再生される

 Google コンテント担当副社長のデービッド ユン氏は「こうしたツールは開発中だが、日本のコンテンツホルダの要望を満たしていきたい」と説明。さらに、エンターテイメントコンテンツだけでなく、英国王室の専用チャンネルが誕生したり、ニュースや教育向けコンテンツも用意するなど、YouTubeの多様性を紹介。Apple TVや、CESで米国向けに発表された新型「VIERA」でYouTubeを再生できるようになった事などを紹介しながら、「角川GHDは素晴らしいパートナーで、協力に感謝している」と締めくくった。

 角川GHDの角川歴彦社長兼C.E.O.は、今回の動画認識技術について「サーバー空間が無法地帯でないことを証明するもの」と評価。「角川はこれまで、黒沢映画から“涼宮ハルヒの憂鬱”、“時をかける少女”など、コンテンツの創造に愚直に取り組んで来た。そして、YouTubeはそんな日本初のコンテンツが世界に広がることに大きな貢献もしている。今後は“クールジャパン”を演出する若いクリエイターの育成に活用すると同時に、角川GHDが国際的なコンテンツプロバイダになるべく、Googleとの連携でホップ・ステップ・ジャンプを実現したい」と語った。

Google コンテント担当副社長のデービッド ユン氏 角川GHDの角川歴彦社長兼C.E.O.

□角川GHDのホームページ
http://www.kadokawa.co.jp/
□角川デジックスのホームページ
http://www.k-digix.co.jp/top/
□関連記事
【2007年7月26日】YouTubeの動画識別技術の開発に角川が参加
−「“らき☆すた”や“ハルヒ”が多数アップされているため」
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20070726/kadokawa.htm

(2008年1月25日)

[AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]


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