◇ 最新ニュース ◇
【11月30日】
【11月29日】
【11月28日】
【Watch記事検索】
篠田プラズマ、1mm厚/300型ディスプレイ「PTA」を説明
-アルバックなどと協力し、2009年の実用化を目指す


10月に公開した86型のPTA

1月28日発表


 超大画面フィルム型ディスプレイ「プラズマチューブアレイ(PTA)」の開発を進めている篠田プラズマ株式会社(SPC)は28日、事業基盤強化のためのアライアンス発表とともに、同社の事業戦略説明を行ない、2009年度に150型PTAディスプレイの発売を目指す方針を明らかにした。


■ 1mmのガラスチューブを並べ300型を実現する「PTA」

篠田博会長

 PTAとは、プラズマに近い発光原理を持ち、RGBの各蛍光体をそれぞれ塗布した長さ1m、約1mm厚のガラスチューブを並べ、2つの電極フィルムでガラスチューブを挟みこむ構造をもつディスプレイ。PTAでは約1mmの超薄型を実現できるほか、従来のPDPの約1/10という軽量化を実現。さらに、曲面や円筒形など、フレキシブルな形状のディスプレイの製造も可能となる。

 発光原理が既存のプラズマディスプレイに近いため、「プラズマチューブの設計時に考慮し、既存のプラズマの駆動回路が使えるような設計としている」という。

 篠田プラズマでは、「そこにいるかのような、そこに行ったかのように体感できる新しいディスプレイを実現する」を開発テーマに、150~300型の超大型PTAディスプレイの実現を目指している。

 ガラスチューブのサイズは、長さ1m、厚さ1mmに固定しており、製造時にはまず1m×1mのサブモジュールが作られる。このサブモジュールをつなぎ合わせて、大型化を実現し、例えば145型の場合3枚×2枚のサブモジュールを利用し、解像度は1,000×700ドットとなる。6×3枚をつなぎあわせることで270型/2,000×1,000ドットを実現する。


チューブ状のRGB発光素子を並べて、低消費電力で大画面を実現 ガラス細管によるプラズマチューブを電極を形成した樹脂フィルムではさみこむ PDPとの違い。PDPとのリブと誘電体層をチューブで置き換えることで、シンプルな構造を実現。駆動回路などはPDPとほぼ共用できる

100m超の大画面実現時の特徴比較

 PDPとの比較においては、「PDPは、ガラス基板の上に、リブや蛍光体、誘電体層を作り出す。一方、PTAでは、誘電体層と蛍光体を1つのガラス管の中に作り、それをRGBで並べる。非常にプロセスが簡単で、PDPのように大型で高価な設備やクリーンルームが不要なため、工場も小さくて済む。発光効率が高いため、消費電力も少ない(篠田博会長)」とする。

 弱点としては、現時点では高解像度化が難しい点などがあげられる。プラズマチューブが1mmと画素のサイズがあらかじめ決まっているため、短期的には高解像度化は予定していない。これは、PTAの当初の用途としては、150型以上のいわゆる「デジタルサイネージ」(デジタル広告)を中心に考えているためという。

 「まずは150インチからやりたい。市場の入口でしっかりした技術に育てて、まずは(プラズマチューブを)1mmに固定して商品化する。高解像度のものを作っても出力する映像がないという問題もあるので、まずは150インチでハイビジョンクラスに取り組む。それを市場に出すのが第一歩。市場に出た後は、高解像度化もやっていきたいし、我々はそのアイデアを持っている」とした。


ガラスチューブを電極フィルムで挟んでPTAを実現 発光効率の高さから、消費電力も他方式より大幅に低減できる PDPや液晶のように1枚のパネルではなく、チューブを敷き詰める構造のため、製造設備の小型化などが実現可能

 デジタルサイネージ市場向けに、PTAの大画面や薄さ、低消費電力、フレキシブル性などをアピールしていく。「重量も既存の10分の1以下で、曲面や折り曲げた電子広告などが実現できる。様々なデジタルサイネージが実現ができる。また、LEDとかリアプロジェクションと比較しても消費電力が少なく、通常の100V電源で使用可能」とし、公共機関やイベント会場用のディスプレイなどの展開を計画している。

150型を入口にPTA市場拡大を目指す フレキシブル性がPTAの大きな魅力 イベントなどのデジタルサイネージ応用例
フレキシブル性を生かした交通広告の置き換えなどを訴える 実物大を実現するPTA

 篠田プラズマでは、最終製品の製造までは行なわず、モジュールの開発、製造をビジネスの中核に据えている。現在はモジュールの量産体制を構築するとともに、モジュールを機器メーカーやシステムインテグレータに提供する体制を整えているという。モジュールのブランド名は「シプラ」。

 同社では、2008年度上期に量産立ち上げし、下期にモジュール製品の出荷を開始。その後、機器メーカーの開発期間を約半年と想定し、「来年度の後半には市場に製品が出回るのではないかと期待している(篠田会長)」。

 値段については、「モジュールを提供する立場なので、販売価格が幾らとは言いにくいが、150インチクラスではLEDよりは安い値段で出したい。しかし、数千万円ぐらいになるのではないか」とした。


■ PTA実現に向けたアライアンスを構築

藤森工業はPTA向けの電極フィルム開発に取り組む

 PTAの実現に向けて、株式会社アルバック、藤森工業株式会社、大電株式会社とのアライアンスも発表。各社が篠田プラズマに出資を行なうほか、デバイスや製造装置などの開発協力を行ない、量産化への整備を進めていく。

 具体的には、アルバックが製造装置を共同開発。藤森工業は電極フィルムを、蛍光体については大電が開発する。篠田会長は、「今回のアライアンスにより、モジュールについては強い関係ができた。今後は、ICの開発や映像関連の技術が課題となるが、現在、電機メーカーやシステムインテグレータさんと商談中です。超大画面の新市場を作るために、今回の協力をいかして、PTAを大きな産業に育てていきたい」と意気込みを語った。


製造面で3社とのアライアンスを構築 今後は電機メーカーやSIとの協力強化に取り組む

□篠田プラズマのホームページ
http://www.shi-pla.com/
□関連記事
【2007年10月3日】「CEATEC JAPAN 2007」セミナーレポート
薄さ1mm「篠田プラズマ」初公開。西氏ら未来予測
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20071003/ceatec14.htm

( 2008年1月28日 )

[AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]


00
00  AV Watchホームページ  00
00

Copyright (c)2008 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.