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MPEG-4録画の地アナチューナ内蔵メモリレコーダを試す
-コンパクトなHDDレコーダとして利用できるか?


2007年12月17日発売

直販価格:19,999円


 HDDプレーヤー自作キットと言えば、内蔵したHDD内の動画ファイルを再生し、テレビなどに出力できる製品だ。PC内の動画ファイルを手軽にテレビで視聴できるので、友人同士の集まりなどに持っていくとその便利さが存分に発揮できる。

 そんなHDDプレーヤー自作キットに録画機能を追加したのが「DN-MRC200」シリーズだ。株式会社エバーグリーンが、直販サイト「上海問屋」で発売する製品で、コンポジット入力からの録画にのみ対応する「DN-MRC200」と、地上アナログチューナを内蔵する「DN-MRC200T」がある。

 過去にもメモリーカードに外部入力からの映像を録画するレコーダ機器は多く存在していたが、DN-MRC200シリーズの一番の特徴は2.5インチHDDを内蔵し、内蔵HDDに録画できる点だ。さらにDN-MRC200Tではアナログチューナも備えるので、ちょっとしたHDDレコーダ的な使い方もできそうだ。

 そこで、今回はチューナを内蔵したDN-MRC200Tの使い勝手を試してみた。



■ コンパクトな本体。HDD取り付けも簡単

 筐体は、外形寸法は118×87×30mm(幅×奥行き×高さ)とコンパクトサイズで、本体の表面は光沢加工されている。プラスチック外装であることが一目で分かるため、やや安物っぽさを感じる。本体前面にはメモリーカードスロットを搭載。コンパクトフラッシュ用とSDメモリーカード/メモリースティック用が用意されている。

本体表面は光沢加工されている 前面にはメモリーカードスロットを装備。上部がコンパクトフラッシュ用で下がSDカード/メモリースティック用 背面端子類。AV入出力のほか、アンテナ端子も搭載

 付属品は専用の入出力ケーブルとアンテナ変換コネクタ。そのほかマニュアルやリモコン、USBケーブルなど。USB以外の各種ケーブルなどはいずれも専用のものとなるので、紛失しないように注意が必要だ。特に付属リモコンがなくなると、本体には操作ボタン類を何も備えていないため、一切操作ができなくなる。

同梱品。HDDは別売 付属リモコン。ボタン数も多く、サイズも大きめ F型変換コネクタが付属

 本体にHDDは付属せず、別途用意したIDE接続の2.5インチHDDを自分で取り付ける必要がある。

 HDDの取り付けは、まず上蓋をはずし、中身を取り出してから指定の箇所に2.5インチHDDを挿入するだけ。取り付けそのものはそれほど難しくないが、接続されたHDDはかなりガッチリはまるため、着脱する時にはそれなりに力を入れないと外れない。着脱時には本体を破壊しないよう、注意したい。

HDDを収納するには本体上下のカバーをはずして3枚に下ろし、中央部を取り出す HDD収納部は中央部の底面に用意。着脱時の注意事項が書かれている HDDを取り付けた状態



■ 快適なMPEG-4再生。ファイル名などの日本語表示が非対応

起動画面

 起動すると、ホームメニューが表示され、テレビ視聴/録画設定、動画、静止画、音楽再生の各メニュー、設定メニュー、ファイル管理が選択できる。メニューのOSD表示は日本語なので、通常の使い勝手などに問題はない。

 まずは音楽ファイルの再生機能を試した。対応しているMP3/WMAファイルについては、いずれも特に問題なく再生できた。ただしID3タグやファイル名の日本語表示に対応していないため、文字化けして表示される点には注意が必要だ。

 続いて、動画再生を試した。MPEG-4のSimple Profileに対応しており、認識する拡張子は.ASF/.MP4/.3GP/.M4Vなど。実際に試した感触では、MPEG-4コーデックをベースとしたファイルであればかなり幅広い形式のファイルの再生が行なえるようだ。ただし、DivXなど、AVI形式のファイル再生には対応していない。

静止画表示メニュー。表示/再生可能な静止画/動画ファイルは選択するとサムネイル表示する 音楽再生画面。日本語表示には非対応 動画再生画面。下部に再生情報が表示される

 PSP向けやiPod向けのMPEG-4ファイルは、特に問題なく再生が可能だった。さらに任天堂の「プレイやん」向けに作成したASFファイルや、携帯電話向けに作成した3GP形式ファイルも問題なく再生できたのには驚いた。

 ただし、MPEG-1/2/WMVなどについてはいずれも非対応で、拡張子.MPGや.WMVファイルの認識すらできなかった。もともとの仕様ではあるものの、対応ファイルがもう少し多ければ、プレーヤーとしての使い勝手が向上しただろう。

 メモリーカードスロットからのファイル再生は、メニュー上で、リモコンの「STORAGE」ボタンを押すことで、内蔵HDD、CF、SD/メモリースティックを順次切り替えて、選択する。画面内に表示されるアイコンはHDDとCF、SD、メモリースティックでそれぞれ異なるので、現在参照しているメディアが一目で分かるのはうれしい配慮だ。

アイコンは選択したメディアごとにそれぞれ用意



■チャンネル検索に不備。録画予約は手動の時刻設定

 DN-MRC200Tの一番の特徴となるのが、アナログチューナを内蔵すること。チャンネルの設定は、ホームの設定メニュー内にある、「テレビ方式」をNTSC(JAPAN)に設定し、「チャンネル検索」で自動スキャンを行なうだけ……だった筈なのだが、これがイマイチうまくいかない。

テレビ方式は「NTSC(JAPAN)」を選択 チャンネル設定はチャンネル検索で自動スキャンを実施するだけのはずが…… 手動設定を変更してもうまく動作しなかった

 東京キー局の一般的な割り当て番号からは、遠く離れた謎の番号を割り当てられてしまうのだ。例えば神奈川の自宅のケーブルテレビ回線を使用した場合、以下のようなチャンネル番号が割り振られた。チャンネル検索を行なうには、「CableTV」、「AirTV」の2種類から選択するが、これはどちらを選んでも結果に変化はなかった。

局名 他の機器 DN-MRC200T
フジテレビ 08 ch10
テレビ朝日 10 ch12
TVK 11 ch13
テレビ東京 12 ch23
NHK 01 ch95
NHK教育 03 ch97

 何度かスキャンを試みたが、結局日本テレビとTBSは割り当てることができなかった。千代田区の編集部でも同様に割り当てられたため、自宅のケーブルテレビが原因というわけではなさそうだ。メニューの「チャンネル設定」では手動設定が行なえるはずだが、うまくチャンネルの割り当てを変更することはできなかった。

 これについては、例えばNHK教育を視聴したいときは、リモコン上から「97」を選択するなど、チャンネル番号と本来のチャンネルの相関関係を記憶しておくことで対処できるが、この辺りの基本的な挙動については、もう少しきちんと動作してほしかったところだ。

 TV視聴を開始するには、ホームメニューの「レコーダー」を選択することになるため、事前に録画設定を行なう必要がある。録画設定は最大解像度640×480ドットの「TV」や「I-Pod」のほか、320×240ドットの「PSP」などを用意。携帯電話の設定も複数用意されているが、ソニーエリクソン、NOKIA、モトローラなど、海外製端末しか項目には含まれていないため、日本で使う場合は、TV/IPOD/PSPが主な設定になるだろう。

 それとは別に、テレビ視聴中にメニューボタンを押すことで、録画オプションが表示される。ここでは録画するソースや、保存メディアの変更のほか、4種類の画質設定を用意。例えば、TV設定の場合、超微細で約3Mbps、微細で約2Mbps、通常で約1Mbps、経済で約0.9Mbpsと、ビットレートの調整が行なえる。そのほか、外部入力端子に信号を受信したときに自動で録画を開始する「自動録画」設定、指定時間分だけ録画を行なう「クリップ」、後述の予約録画設定などの項目を用意する。

TV視聴を開始する前に、録画設定の項目を選択する必要がある PSPやiPodなどの機器が選択できる

【主な記録モードとビットレート】
録画モード 解像度/fps ビットレート
超微細 微細 通常 経済
TV 640×480ドット/30fps 3.128Mbps 2.128Mbps 1.128Mbps 0.896Mbps
PSP 320×240ドット/30fps 2.128Mbps 1.128Mbps 0.896Mbps 0.512Mbps
368×208ドット/30fps
I-POD 640×480ドット/30fps 2.628Mbps 2.128Mbps 1.628Mbps 1.128Mbps
320×240ドット/30fps 2.128Mbps 1.128Mbps 0.896Mbps 0.512Mbps

 録画ファイルは、「機器名+4桁数字.MP4」のファイル名で、機器ごとに自動作成されたフォルダ内に自動で分類、保存される。iPod用設定の場合、「IPOD」フォルダ内に「IPOD0001.MP4」。テレビ用では「TV」フォルダに「TV0001.MP4」といった具合だ。

 録画後のファイルはそのまま再生できるのはもちろん、本体に挿入したメモリーカードやHDDとの間でそれぞれにコピーしたり、本体をそのままPCに接続してファイルをコピーすることもできる。

 録画したファイルは、再生機器側の制限などで再生できない場合を除けば、特に変換せずに、PSPなどの対応機器で直接再生が行なえる。

動画サンプル
モード 解像度 ビットレート サンプル
TV 640×480ドット 微細(2.128Mbps)
eversm_1.mp4 (8.17MB)
I-POD 640×480ドット 微細(2.128Mbps)
eversm_2.mp4 (7.91MB)
PSP 320×240ドット 微細(1.128Mbps)
eversm_3.mp4 (6.24MB)
編集部注:再生環境はビデオカードや、ドライバ、OS、再生ソフトによって異なるため、掲載した動画の再生の保証はいたしかねます。また、編集部では再生環境についての個別のご質問にはお答えいたしかねますのでご了承下さい

 番組録画はリモコンの録画ボタンを押すことで、視聴中の番組が録画できるほか、時間指定による予約録画が可能。予約設定は、前述の録画オプションから選択し、時間やチャンネルを設定する。

 複数の番組予約設定や、繰り返し録画設定も可能なので、一昔前のVHSレコーダ的な使い方をするのであれば、案外使える。

 もちろん、EPG/iEPGの番組表による録画予約に慣れてしまった体には、この仕様は厳しい。だが、ドラマなど、毎週定時に放送される番組を予備で録画しておいたり、PSPやiPodの持ち運び用途に使うなら、かなり便利に活用できるだろう。

録画オプションの予約録画を選択 番組予約一覧の画面 タイマー録画は録画開始時間と、録画する時間などを設定する。最大4時間まで設定できる



■ 独特の操作感のファイル管理機能

 本機では、録画ファイルなどのコピー、削除などの管理機能も搭載する。HDD内のファイルをSDカードやCFカードにコピーしたり、SDカードなどに含まれるファイルをHDDにコピーできる。これら操作は、ファイル管理メニュー、もしくは再生メニュー上から行なえる。

 ファイル管理メニューを開くと、2分割された画面が開き、左側に現在選択しているメディアのファイル一覧が表示される。手順としては、リモコン左上に備える「SELECT」ボタンを利用して、左側の一覧から操作したいファイルを選択。選択したファイルの横にはマークが表示されるので、選択したことが分かる。

 選択作業が完了したら、今度は画面右下の操作メニューにカーソルで移動し、コピー/削除などの操作を選択。コピーの場合は引き続き、右ツリー上で、コピー先を選択することで、コピーが開始される。

ファイル操作は、ファイル管理メニューから行なう ファイルを選択すると、ファイル名の横にチェックが入る 操作メニューに移動して、操作を選択して実行する

 ただし、同じ操作でも再生メニューから行なう場合は、ファイル選択後に一度「MENU」ボタンを押さないと、操作メニューに移動できない。同じ操作を行なう場合でも、ファイル管理メニューからの操作と、再生メニューからの操作で、利用するボタンが異なるのは少々やっかいだ。こういう操作に関するボタンは統一してほしかったところだ。

 また、コピー先の右ツリーについてもパソコンのような「b:」、「c:」、「d:」といったアルファベットが表示されるのみで、現在選択しているのがどのメディアなのか判別が難しい。ここは両方とも同じアイコンを採用してほしかったところだ。

ファイルの選択はリモコンの「SELECT」ボタンを利用する 再生メニュー上からも操作が可能だが、操作メニューへの移動のボタンが異なる 右ツリーはアイコン表示ではなく、アルファベット表示となる



■自作HDDプレーヤーキットの新たな可能性

 市場に多くあるHDDプレーヤー自作キットと比べると、内蔵アナログチューナからのテレビ番組をMPEG-4録画できるという機能が追加されており、かなりユニークな製品であることに間違いはない。

 大型の液晶テレビなどに接続すると再生時にあらが目立つが、小型の液晶テレビなどに接続するなら視聴も問題ない。自室で小型の液晶テレビなどと接続して、気になる番組をダイレクト録画したり、MPEG-4専用プレーヤーとして楽しむという用途がオススメだ。

 アナログチューナについては、画質はそれほど悪くなかったものの、チャンネル検索くらいは正常に動作してほしかったところだ。本機にはファームウェアアップデート機能も搭載しているので、今後のアップデートで改善してほしい。

 直販価格は19,999円と、通常のHDDケースやHDDプレーヤーキットと比べるとかなり割高だが、もしもチャンネル検索などの機能が全て正常に動作していたら、むしろ割安にも感じられただろうと思う。個人的には製品の仕様を見たとき、自作できる「DVDナシのHDDレコーダ」を勝手に期待していたのだが、残念ながらそのレベルには達していなかったようで、非常に残念だ。

 今後はアナログチューナの使い勝手を向上した上で、さらにインターネット接続に対応し、iEPGから録画予約できるようになったら、かなり魅力的な製品になりそうだ。アナログ停波までの3年間、アナログ放送を楽しみたい人向けにオススメできる、安価なHDDレコーダへと成長した新モデルの登場を期待したい。

□エバーグリーンのホームページ
http://www.everg.co.jp/
□製品情報
http://www.donya.jp/item/5117.html
□関連記事
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-2.5型HDDも搭載可能。直販19,999円
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20071217/everg.htm

( 2008年2月5日 )

[AV Watch編集部/ike@impress.co.jp]


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