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富士通テン株式会社は19日、車のシートや天井などに18個のスピーカーを設置し、反射音を除去すると同時に、広い空間の音の響きを再生するという「次世代音響空間コントロールシステム」を開発したと発表した。 トヨタ自動車株式会社から2月に発売した「クラウン」新モデルのうち、購入時に選択するメーカーオプションとして用意される「トヨタプレミアムサウンドシステム」に採用されている。単体でのシステム提供や、他の車種への採用などについては予定していない。 車室内で広いリスニングルームの音響特徴を再現する車載用サウンドシステム。19chアンプ/18chスピーカーで構成されており、天井やシートに吸収されて短くなる残響音を、独自開発のデジタル信号処理技術で補完している。 通常音を出力するスピーカーと、空間音の響きを再現するためのスピーカーの2種類を車室内に装備。車のフロント部には、通常音出力用に、6.5cm径ミッドレンジ×2ch、5cm径センタースピーカーを備えるほか、運転席/助手席のドアにはそれぞれに16cm径のミッドウーファを内蔵する。後部座席のドアには、左右それぞれに16cm径のフルレンジユニットを内蔵し、後部には、20cm径ウーファを備える。 空間音の再現用として、フロントに5cm径ミッドレンジ×2ch、後部に5cm径サテライト×2chを装備。そのほか、4基のシート用スピーカーと、天井用スピーカーを2基内蔵する。 メインスピーカーは、車との間に特殊な緩衝材を使用し、スピーカーが車に直接触れないフローティング構造を採用。聴取者に届く直接音をクリアにするため、ホーム用のタイムドメインスピーカーのノウハウを応用し、スピーカーの振動が車に伝わり発生する不要な響きを抑制。中低音を再生するドライバユニットには、グランドアンカーを装着し、原音を忠実に再現する。 広域空間の再現には、窓からの反射音と逆位相の音をDSPで生成。シートに搭載したスピーカーから出力し、不要な反射音を除去することで、車室内の狭さを感じにくくなるという。そのほか、シートや車の前/後部、天井設置のスピーカーからも同様に、広い部屋の壁からの反射音に相当する空間音をDSPで算出して付加することで、リスニングルームの自然な響きを再現している。 シートと天井に設置したスピーカーは、上/後方からの音響効果としても利用される。シート用スピーカーは衝突時の安全性、取り付け性を考慮して新たに開発したほか、天井用スピーカーは8.5mm厚と薄型のものを新たに開発し、採用している。 □富士通テンのホームページ ( 2008年2月19日 ) [AV Watch編集部/ike@impress.co.jp]
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