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パイオニア、プラズマパネルの自社生産を終了へ
-今後は「松下から調達」。秋には液晶テレビ投入


須藤民彦社長

3月7日発表


 パイオニア株式会社は7日、プラズマディスプレイパネルの自社生産から撤退する方針を発表。次期新製品に搭載するパネルを持って生産を終了し、外部調達に切り替える。一方、2008年秋からシャープからの供給を受け、液晶テレビ事業に参入する。


■ PDP自社生産を終了。今秋には液晶テレビも

パネル生産撤退も、「ホームAVの中核」というディスプレイ事業の位置づけは変わらず

 パネル生産終了について、同社では「設備投資型のビジネスモデルから、付加価値提案型のビジネスモデルに転換する」と説明。モジュールの調達については同社の技術を盛り込むことも含めて検討中で、「松下電器さんと生産について話を進めている(須藤社長)」としており、詳細が決まり次第発表する。

 なお、外部調達のパネルを用いたプラズマテレビの発売時期については、「まだ、わからない」という。パネル生産撤退により、ディスプレイ事業全体の体制もスリム化。開発人員などをカーエレクトロニクスや、ブルーレイディスクほかのAV事業などに振り向ける。詳細については未定だが、「雇用確保を最大限に考慮する」としている。

 プラズマパネル生産撤退を受け、ホームエレクトロニクス事業で、2010年3月期の黒字化を目指す方針。今後はディスプレイと連携したAV機器やBD関連製品による売り上げ拡大による収益改善を図り、AV機器のネットワーク化やワイヤレス化を推進。ソースとディスプレイをワイヤレス接続する「次世代壁掛けテレビ」の実現を目指す。

 BDについては、自社開発を「全世界で普及が見込めるプレーヤーに絞り込んでいく」としている。一方で、共同開発やアウトソーシングを進めることで、レコーダなどのラインナップ拡充も予定。デバイスの外販も拡大していくという。

 また、シャープとの提携の進捗については、シャープが進めている超薄型テレビ用音響システムの開発に参画。また、シャープからの供給を受けた液晶テレビを2008年秋に欧州より投入。さらに、KUROシリーズの高画質/音質の思想を受け継ぐという液晶テレビも両社共同で開発を進めていくという。なお、シャープとの協業の成果については、「CEATEC 2008などで披露できるだろう(須藤社長)」とした。

 テレビ以外でも、DVDプレーヤー/レコーダなどの光ディスク関連製品で相互供給などを進め、BDプレーヤー/レコーダについてもピックアップやドライブの開発を共同で実施。開発効率の向上、数量拡大によるコスト低減を狙う。また、カーエレクトロニクスでも、AQUOSケータイとパイオニアのカーナビを組み合わせた新価値提案を予定している。

スリム化により、売り上げ規模に見合ったディスプレイ事業に ディスプレイ事業スリム化や製品連携やBDの強化により、2010年度のホームエレクトロニクス黒字化を目指す 「液晶KURO」やBD関連共同開発など、シャープとの連携を強化

カーエレクトロニクスの成長戦略

 また、「事業拡大が最も重要な分野」と位置付けているカーエレクトロニクスでは、カーナビを車内の総合情報端末として携帯電話やインターネットとの連携を強化。「“総合テレマティックサービス”を目指す」という。

 さらに、AV機能を充実させるなど、高機能化を進め、人気を集めるポータブルナビに対抗する。国内のディーラー向け市場への注力も図るほか、BRICs地域における積極展開や高付加価値化を推進。また、プラットフォームの共通化による効率化などで、事業拡大と収益性維持を図り、「中期的に営業利益6~7%の水準維持を目標とする」としている。

 スピーカー事業にも注力。東北パイオニア完全子会社化の成果を出すことなどで、中期的に事業規模を約1.5倍に拡大させ、「リーディングメーカーを目指す」という。

 なお、これに伴い、'08年3月期通期の連結業績予想も修正。1月に発表した税引前利益260億円からプラズマ生産設備について190億円の減損を見込むことから、70億円に変更。当期純利益も60億円から150億円の損失と赤字化している。


■ パネルの調達先は松下に

 都内で行なった会見で須藤民彦社長は、「ディスプレイはホームAVの中核製品として継続する。これは変わらない。適正な事業規模を追求するという戦略を継続する」とプラズマを含むディスプレイ事業の継続を明言。「しかしながら、PDPは今後想定される販売数量で、コスト競争力を維持することは困難。パネルの自社生産を困難と判断し、外部からの調達に切り替える。付加価値提案型ビジネスモデルに転換する」と説明した。

 生産撤退については、「非常に悲しい。しかし、事業を考えるとせざるをえない」とコメント。今後のパネルの共同開発については、「パイオニアの希望する画質などを要望すれば、当然技術も出していく可能性がある。これを共同開発と呼ぶのか、生産委託と呼ぶのかは表現の問題」と含みを持たせた。パネルの調達先については、「現時点で生産については話しているのは、松下電器さん。1社からの調達になると考えている」という。

 2009年度のプラズマ、液晶の出荷台数の目標については、「まだ決まっていないが、両方含めて、今期の48万台が一つの目安になる」という。KUROを中心としたマーケティング政策を継続。50インチ以上はPDP、それより小さいもの液晶というのが基本的な考えとなる。

 「液晶テレビでパネルの外部調達を中心とする企業は皆赤字だが、液晶/プラズマの外部調達でどうやって利益を稼いでいくのか?」との質問については、「社長になったときから、“大きな会社と直接戦えない”といってきた。事業規模にあった価値を作らなければいけない。それをパネルではなくバックエンドのところで作りだす必要がある。そのポテンシャルはあると思っている」と回答した。

 また、「DVDレコーダやプラズマなど、世界初の製品を手掛けながら、市場が立ち上がると収益性を落としてしまう。その理由は何か?」との質問には、「何が何でも一番になるという気構え、チャレンジできる資金も含め、そうした意識が薄弱だった。なんでもチャレンジすればいいというものではないが、少なくとも1、2位の座を譲らないような事業をやらないと市場で生き残るのは難しい。一般論としてそう思います」とコメントした。

□パイオニアのホームページ
http://pioneer.jp/
□ニュースリリース (PDF)
http://pioneer.jp/press/pdf/ir/080307_display.pdf
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-「何も決定していない。3月7日に発表予定」
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20080304/pioneer.htm
【2007年9月20日】シャープがパイオニアの筆頭株主に。資本業務提携
-パイオニアが液晶テレビ参入へ。BDの共同開発も
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20070920/sp.htm

( 2008年3月7日 )

[AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]


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