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2007年12月から一部事業者が試験的に実施していたBlu-ray Discのレンタルサービス。ここに3月19日から、株式会社TSUTAYAが参入。札幌や東京、横浜、大阪など、全国の主要都市10店舗でBlu-rayレンタルサービスを開始した。ゲオでも4月12日から本格サービスをスタートするなど、ここに来て動きが活発化している。 その中でもやはり、業界最大手のチェーンであるTSUTAYAでのサービス開始はインパクトが大きい。レンタルサービスの充実は、Blu-rayそのものの普及に欠かせない要素の1つ。この時期にサービスを開始する狙いや、今後の展開などを、TSUTAYA 赤坂店にて、同社広報室広報チームの高橋祐太チームリーダーに伺った。
■ 赤坂店ではDVDと同額でレンタル TSUTAYAでBDレンタルを19日から実施する店舗は、札幌琴似店、三軒茶屋店、SHIBUYA TSUTAYA、横浜みなとみらい店など計10店舗で、TSUTAYA 赤坂店もその1つ。実施店舗のリストは既報の通りだ。 赤坂店は3月20日にグランドオープンする再開発エリア「akasaka Sacas」の中にある複合ビル「赤坂Biz」の地下1階にあり、180坪の敷地面積を持つ。3月6日にオープンしたばかりで、レンタル以外にもCD/DVDなどの販売も実施している。19日は店の入り口にBDセルソフト展示コーナーを設け、そこに「ブルーレイソフトレンタル開始」というポスターを掲示。レンタルサービス開始をアピールしている。
BDのレンタル棚は、DVDレンタルコーナーの一角にあり、長いDVD用棚の側面に用意されている。本数はタイトルによって異なり、最も多いのは「オーシャンズ13」の5本。「オーシャンズ11/12」や新作「インベージョン」は各4本、「幸せのレシピ」、「300」などは各3本、「ラスト サムライ」など1本のみのソフトもある。他の9店舗でも同程度の品揃えだという。
気になる価格は店舗によって異なり、赤坂店の場合はDVDと同額。当日は新作400円/準新作350円/一般300円、1泊2日が新作450円/準新作400円/一般300円、7泊8日が新作700円/準新作550円/一般450円。1週間レンタルできないなどのBDのみの制約は無く、新作のBDならば新作扱い、旧作ならば一般扱いである。なお、店舗によってはDVDよりも100円程度高価格な設定になっているお店もあるので注意が必要。赤坂店の価格も「お試し価格」とされている。
高橋氏によれば、「BDには高画質/高音質という付加価値があるため、レンタル価格もDVDより高価にしても良いのでは? という声もありますが、赤坂店ではDVDと同価格でスタートします。お客様の反応を見たり、メーカーとの話し合いを行ないながら、今後の価格設定を考えていきたい」という。 なお、TSUTAYAのBDレンタルでは、オンラインレンタルサービスの「TSUTAYA DISCAS」でも同時に開始するのが特徴。月額制のサービスだが、こちらでもDVDビデオと同じ価格でレンタルできる。品揃えは店舗と同じワーナー・ホーム・ビデオの45作品。在庫枚数は「オーシャンズ13」が100枚、「ベオウルフ/呪われし勇者」(4月11日レンタル開始)が80本と多く、レンタル希望者数はリアルタイムで確認可能。19日午後3時現在は「オーシャンズ13」が33人、「ベオウルフ」が72人などとなっている。
「オンラインでもスタートしたばかりですが、反響は思っていたよりも大きい。こうした動向を見ながら、店頭/オンラインで用意する在庫枚数も変えていきたい。ただ、今の感触では、BDだから特別な何かがあるというわけではなく、希望の多いタイトルの傾向はDVDとほぼ同じというイメージ」(高橋氏)だという。
□TSUTAYA DISCASのホームページ
■ TSUTAYAがBDレンタルを開始するという意義 同社が想定しているBDレンタルの顧客層は、20、30代のビジネスマン。店頭レンタル開始と同時にオンラインでもサービスをスタートさせ、ある程度の在庫も用意したのには、「忙しくて店舗に足を運ぶ時間が無いターゲット層にも、手軽にBDレンタルを利用してもらいたい」という狙いがある。
一方で、スペースが限られている店舗で、BDレンタルにどれだけの反響があるかわからない状況の中、1作品5本など、ある程度の棚をBDに割くのは「勇気のいる決断」(高橋氏)でもある。そこには業界最大手ならではの、レンタルの“規模”への拘りがある。 「2007年12月にスタートしたブルーレイレンタル研究会の試験レンタルは15作品、1作品につき2枚と小規模でした。研究会には我々も参加していますが、“TSUTAYAがBDレンタル開始”となれば、例え試験的なものでも大きな反響が予想されました。でも、試験レンタルの規模では“店舗に行ったら借りられなかった”という事も起こるので、それでは申し訳ない。“やるのであれば、ネットレンタルと連動し、多くのお客様が利用できるような規模で”と考えていた」という。なお、TSUTAYAでは夏までに、全店舗でのサービス実施を目指している。 では、この時期にレンタルサービスを開始した理由は何だろうか。HD DVD事業の終息に伴うフォーマット戦争の終結も「キッカケの1つである」と高橋氏は答える。しかし、それよりも「北京オリンピックやアナログ停波に伴い、薄型テレビが普及し、HD視聴環境が多くの家庭で整いつつあることが大きい。BDレコーダの普及が進んでいるのも大きな要素」だという。
なお、TSUTAYAの店頭ではDVDレンタルの普及のため、低価格なDVDプレーヤーの販売や、プレーヤーレンタルなども実施している。高橋氏は「DVDの時はプレイステーション 2が普及のキッカケになりましたが、TSUTAYAでもゲームを取り扱っている店舗は約450あり、そこではPLAYSTATION 3のBD再生機能もアピールしていきたい」という。なお、TSUTAYA DISCASではレンタルサービス開始を記念し、ソニーのBDレコーダの購入者を対象としたポイントプレゼントキャンペーンも実施している。
□関連記事 ■ ワーナー以外の作品も交渉中 19日からレンタルできるのはワーナーの作品のみだが、気になるのは今後のタイトルラインナップ。高橋氏によれば「メーカーとの交渉は既に進めている」という。なお、17日に発表されたリリースにはウォルト・ディズニー・スタジオ・ホーム・エンターテイメント、角川エンタテインメントの名前が挙げられており、ワーナー以外の作品が並ぶのも近そうだ。
また、高画質/高音質のコンテンツを家庭に届けるという意味では、3月1日から「アクトビラ ビデオ」にてサービスが開始された、デジタルテレビ向けVODサービス「TSUTAYA TV」の存在も気になるところ。BDとの住み分けについて高橋氏は「クオリティの面ではBD、TSUTAYA TVのアクトビラ ビデオ・フル、DVDなどのアップコンバート再生という順序になると思うが、BDはネットワークに馴染みの無い層にも訴求できる。将来の話になると思うが、BDのネットワーク機能などにも興味がある。当面は両者の強みを活かして展開していきたい」と語った。
□TSUTAYAのホームページ
(2008年3月19日) [AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]
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