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ヤフー株式会社は、シャープ株式会社と協力し、シャープの液晶テレビ「AQUOS」向けのインターネットサービス「Yahoo! JAPAN for AQUOS」を5月29日より開始する。対応するAQUOS 31モデルで無料で使用でき、会員登録などは不要。ただし、AQUOSをインターネット接続する必要がある。
AQUOSでは、リモコンの「AQUOS.jp」ボタンを押すと、オーナーズラウンジと名付けられたネットサービスのポータルサイトにアクセスでき、その画面からアクトビラなどにアクセスするようになっている。「Yahoo! JAPAN for AQUOS」もこの画面に追加されるもので、利用するにあたってファームウェアのアップデートなどは不要。
検索機能は備えていないが、専用に用意された生活/エンターテイメント情報などを、テレビのリモコンを使って手軽に表示できるのが特徴。対応しているのは5月14日現在で以下の31モデル。今後投入されるAQUOSではほぼ全てサポートする予定で、フルHDではないモデルでも対応する予定はあるという。
Webブラウザベースのアクトビラと異なり、専用アプリで表示を行なうサービスで、AQUOS.jpのポータルからのみアクセス可能。そのため、他社のデジタルテレビやPCなどからアクセスすることはできない。サービス開始時には動画配信には非対応だが、今後の対応が検討されている。 Yahoo! JAPANはPC向けに100を超えるサービスを実施しているが、その中からデジタルテレビで便利に使えるものを厳選したという。スタート時には「地図」、「テレビでえほん」、「Yahoo! トラベル 旅上撰」、「テレビdeクッキング」、「シカクいアタマをマルくする。」、「スライドショー」、「ニュース」、「天気」、「検索ランキング」、「映画情報」、「Yahoo! オークション 人気キーワードランキング」、「Yahoo! ショッピング 売れ筋商品ランキング」の12サービスを用意している。 最大の特徴は、フルHD解像度のテレビでの使用を想定した画面デザインを採用したこと。PCとは異なり、縦スクロールを極力避け、ワイド画面と高精細表示を活かしたコンテンツを提供。例えば、国内初というフルHD解像度対応の地図情報をネット経由で表示。縮尺の変更や表示場所の移動などはリモコンで行なえ、衛星写真表示への切り替えも可能。表示範囲で評価の高い飲食店を20位までアイコン表示する機能なども備えている。
「テレビでえほん」は、BGMと音声で絵本が楽しめるもの。テレビは家族がリビングで使うことが多いため、親子で楽しめるコンテンツとして採用された。「Yahoo! トラベル 旅上撰」は、「AQUOSのフルHDモデルを購入するユーザー層が興味を持つような、上質な宿の情報を美しい写真を交えて提供する」という。 「スライドショー」は、米国の静止画共有サービス「Flickr」から、テーマに沿った静止画100枚が表示されるもので、テーマは順次変更される。ユーザーが自分で撮影した写真を表示したり、好きな写真を検索/表示するような機能は備えていない。 「検索ランキング」はPC向け検索サービスの検索ワードランキングを表示し、それにまつわるコラムを日替わりで提供。テレビから検索することはできない。「Yahoo! オークション 人気キーワードランキング」も同様で、Yahoo! オークションのトレンドは把握できるが、入札などのサービスには対応していない。
なお、こうしたデータはPC向けに提供されているものと同じだが、フルHD液晶テレビ向けにアイコン表示位置やフォントサイズなどを見やすいものに再デザインしている。また、可能な限りキー操作の行程を減らす工夫もされている。 また、テレビは受身であっても情報が次々と送られてくるものだが、インターネットは能動的に情報を取得する行為がメインとなる。テレビ向けのネットサービスにあたり“受身でネットを楽しむ”姿勢を取り入れるため、ダイジェスト再生モードを装備。Yahoo! JAPAN for AQUOSのトップページを一定時間放置しておくと、12サービスのダイジェストが次々と表示され、リモコンを操作しなくてもトレンド/生活情報を見ることができる。各コーナーやメニュー画面にはBGMも用意する。
■ 動画配信も検討
サービス開始時には、アクトビラのような動画配信には対応していない。ヤフーの取締役最高執行責任者である喜多埜裕明氏は、「今後も様々なサービスを拡充予定で、動画配信もその候補の1つであり、検討しているが、現在のところまだ確定はしていない」という。 収益モデルとしては広告収入や有料サービスを予定しているが、スタート時点では広告などは入っていない。「まずは多くの人にサービスを使ってもらわないと意味が無い。検討は始めているが、どのくらいのスピードで展開するかは今後の感触次第」だという。 また、Yahoo! JAPANではID登録を行なうことで、個人用にカスタマイズしたページを表示する「MY Yahoo」や、決済機能の「Yahoo!ウォレット」などが使用できるが、サービス開始時には利用者を特定するログイン機能などは用意されず、天気予報の現在地登録なども行なえない。IDログインによる個人を特定した各種サービスの実施は年内に開始する予定で、動画配信や利用者の嗜好に沿った情報の提供など、 “Yahoo! JAPANならでは”の機能を使ったサービスはそれ以降に提供されることになる見込み。 なお、ヤフーはソニーの液晶テレビ「BRAVIA」シリーズが対応しているアプリキャスト向けにも、各種情報を提供している。シャープ以外のメーカーとの連携について喜多埜氏は「ソニー、シャープ以外の拡大も考えているが、まずこの取り組みを成功させないと、どんどん展開する意味が無くなる。今回のサービスが大成功となるよう、注力していきたい」という。 また、シャープの取締役で、研究開発本部副本部長の千葉徹氏は、同社も出資しているアクトビラとの関係について「真のユビキタスを実現する、新しいサービスが生まれるためには、新しいアイデアを次々と投入し合うような“競争”が必要。アクトビラはシャープと“協調”して実施するサービス。“競争”と“協調”の両方とも必要なものと考えている」とした。
喜多埜氏は今回の試みについて、「PC向けのYahoo! JAPANは、利用者数が月4,980万人、1日16億のページビューを持つ。1人あたりの利用時間は月3時間16分、ネット全体の利用時間は月に17時間27分。視聴率で言えば88%を誇っている。だが、テレビの平均視聴時間は月に127時間、1日4時間15分と、まさに桁が違う」と語り、テレビ向けサービスの重要性と、それを提供することでPC/携帯電話だけでなく、生活の様々なシーンでYahoo! JAPANを利用してもらう「Yahoo! Everywhere構想」に欠かせないサービスであると強調。
目標とする利用者人数については、「わからない部分が多すぎる」としながらも、「様々なビジネスでは100万という数字がボーダーになっており、まずはそれを目指したい」と語った。
□ヤフーのホームページ
(2008年5月14日) [AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]
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