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IMAGICAがBlu-ray製作環境を公開
-制作からBD化まで一括対応。新海アニメも担当


東京、五反田にあるIMAGICA
7月24日開催


 株式会社IMAGICAは24日、映像製作のための新しいサービスや、自社開発の技術などを紹介する関係者向けのプライベートショーを開催。映画製作から上映用のフィルムプリント/デジタルシネマ、DVDやBlu-rayなどへのパッケージソフト化、アーカイブ化などをトータルでサポートする同社の事業内容が説明された。

 日本における映画フィルムの現像の草分け的存在でもあるIMAGICAは、現在ではコンテンツの「企画・開発」段階におけるプリビズから、ハイビジョンや特撮、現像作業などを含む「撮影」段階、オプチカルやVFXの追加、D.I.(デジタル・インターミディエイト)、カラーコレクション、字幕製作などの「仕上げ作業」までをフォロー。

映像ビジネスにおいて、IMAGICAがカバーしているサービスの一覧

 さらに、「予告や特報制作」用のテレシネ作業、レコーディング、「劇場公開」用のフィルムへのプリント作業やデジタルシネマでの供給、DVDやBD制作などの「パッケージ化」、インターネット配信用のコンテンツ作成、アーカイブ化まで、映像ビジネスに関するほぼ全ての工程でサービスを提供。「One Stop Solution」をテーマに掲げてビジネス展開を行なっている。

 今回のプライベートショーでは、国内ではまだ導入が少ないという「プリビズ」や、独自のノウハウを盛り込んだ「D.I.」サービス、需要が高まりつつあるBlu-ray Discビデオ向けのオーサリングサービスなどが紹介された。


■ Blu-ray製作で活きる独自技術

 BDビデオ製作においては、監督などのクリエイターの要望を聞きながらメニューデザインやコンテンツ内容などを決め、本編のクオリティも追い込んで行く。IMAGICAではポップアップメニューを例にとっても、単なるポップアップだけでなく、ボタンがジャンプしたり、回転するなどのベース・アニメーションを作成。クリエイターからの要望にできるだけ応える準備を整えているという。

 ゲームなどのインタラクティブ機能を実現する「BD-J」にも対応。特典コンテンツにおける、高度な要求にも対応する。また、ネットワーク経由で映像をダウンロードしたり、ネットワーク対戦ゲームも実現できるBD-Liveへの対応も進めているとのこと。

 しかし、BD-Liveではコンテンツを配信するためのサーバーを用意しなくてはならず、また、いつまでそのサーバーを維持し続けなければいけないのか? それらの費用を誰が負担するか? などの問題が生じる。製作資金が潤沢にあり、映画会社が自身でオーサリングなどを行なうことも多いハリウッド映画とは異なり、日本のBD製作現場ではその部分がネックとなり、“BD-Liveに対応させたい”というコンテンツホルダ側からの要望は現時点では少ないという。

 その代わりに多いのは、“本編のクオリティをできるだけ向上させたい”というストレートな要望。そこでIMAGICAでは「HD-M.A.P.S」と呼ばれる独自技術を提供している。SD映像時代にも存在した「M.A.P.S」をハイビジョンにも対応させたもので、主にアニメやCGの作品、実写作品のVFXシーンなどで発生しやすい、なだらかな階調 部分が、等高線のような境界線に見えてしまう「マッハバンド」(バンディング)を低減するというもの。

HD-M.A.P.Sの概要

 この現象は、オリジナルのマスター段階で発生している場合のほか、パッケージ化するためにデータを8bit化したり、エンコードした場合にも発生する。HD-M.A.P.Sは、そうした部分にわずかにボカシを入れたり、細かい粒子を入れることで境界線を目立たなくさせる技術である。全体にソフトフォーカスをかけているのではなく、エッジの立った部分を判断し、人物は除外して背景だけに適用させたり、色の判別機能を使って“青空の青い部分のグラデーションのみ滑らかにして、雲はシャープなままにする”といった使い方もできるという。

 処理はHDCAM/SRなどのマスターから、非圧縮の4:2:2 10bitデータとしてストレージに取り込んだ後で、カット毎に人間がモニターを見ながら設定。同社がBDビデオ制作を担当したバンダイビジュアルの一部アニメ作品に使われている。特に、青空や夕暮れのグラデーションが多く登場する、コミックス・ウェーブ・フィルムの新海誠監督作品「秒速5センチメートル」や「雲のむこう、約束の場所」では多様されており「秒速~」では300~350カットで適用されているとのこと。人間の目でチェックしながら適用していったという。

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■ ワンソースマルチユースを実現するための技術

 映画の製作段階から関わることで、パッケージソフト化で有利に働くこともある。同社が長年培ったフィルム技術から開発したという「D.I.」(デジタル・インターミディエイト)がそれで、編集や合成など、映画制作の中間行程を全てデジタル処理で行なうというもの。

 撮影されたフィルムを、自社開発のフィルムスキャナを用いて、フィルムのダイナミックレンジの広さを活かしたデジタルデータを生成。そのままの映像では、撮影された時間や場所、使われたレンズなどによって色味やコントラストにバラつきがあるが、それらをデジタル処理で統一。従来はVFXとの合成段階でデジタルでの色彩調節を行なっていたため、合成作業の負担が大きかったが、D.I.を使うことで合成作業前に色彩を大まかに調整しておける(プレグレーディング)ため、作業の効率化が図れるという。

左はデジタルカラーグレーディングルームの「北斎」。Galetteが導入されている。同社が担当した映画におけるVFXの紹介なども行なわれた(右)

 また、IMAGICAではオリジナルのカラーマネジメントシステム「Galette」を導入しており、D.I.にも盛り込まれている。これにより、完成データからフィルム、DLP上映、DVD/BDなど、様々な環境に応じた色空間の変換が行なえるほか、デジタルシネマ用パッケージ(DCP)の作成まで同じ色彩を維持できる。

 これまでに「小さき勇者たち ~ガメラ~」(2006年)、「LIMIT OF LOVE 海猿」(2006年)、「日本沈没」(2006年)、「大日本人」(2007年)、「ゲゲゲの鬼太郎」(2007年)、「西遊記」(2007年)、「ミッドナイト・イーグル」(2007年)、「銀色のシーズン」(2007年)、「ザ・マジックアワー」(2007年)で採用。公開が迫る「スカイ・クロラ」でも採用されたほか、今後公開される作品でも急速に増加しているという。

 フィルムも含めたカラーマネジメントシステムを構築するためには、フィルムの現像/ケミカル部門の安定や管理が不可欠となるため、フィルム&デジタルシネマを総合的に扱う同社の強みが発揮できる。また、海外においては映画のアーカイブ化において、デジタルではなくフィルムの長期保存性が見直される動きがあり、三色分解されたフィルムで保存する作品も増えているという。

 そのため、今後はデジタルで撮影/編集された作品をフィルムで保存したり、過去にフィルムで撮影された作品をデジタル化して修復/上映し、それを再びフィルムに戻して保存するといった需要も高まると見ており、デジタルと同様にフィルム技術の進化にも取り組んでいくとしている。

PreVis(プリビズ)というシステム。3DCGで撮影現場を簡易的に表現する技術で、実際の撮影に入るまえに監督のイメージをスタッフと共有したり、使用するカメラのレンズの選定、照明や美術における問題点などを事前に洗い出すこともできる。IMAGICAではカメラの動きと連動してCG空間を見渡したり、自由に空間を歩きまわれるシステムを開発。撮影前の企画・開発段階からのサポートを行なっている 4K2Kでのデジタルシネマ撮影を可能にするDALSA Evolutionなど、撮影機材の展示も行なわれた

□IMAGICAのホームページ
http://www.imagica.com/
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(2008年7月24日)

[AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]


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