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アナログ・デバイセズ、DSPなどのオーディオ戦略を説明
-薄型TV向けアンプの音質追求や、省電力化の取り組みも


7月25日開催


 アナログ・デバイセズ株式会社は25日、同社のオーディオ向けDSPやアナログアンプ製品などに関するプレス向け説明会を開催。AVアンプや車載オーディオなどコンシューマ製品への採用実績を紹介しながら、今後の取り組みなどを明らかにした。

 同社の分野別売上は、ワールドワイドでは産業機器が約半数で、テレビ/オーディオ/ゲームなどコンシューマ製品の占める割合が2割だが、2007年度はコンシューマ製品が前年比23%の成長を示している。なお、日本の売上では6割がコンシューマ製品。そのなかで、デジタル化/ネットワーク化などでの新たな市場拡大を図るオーディオ製品にフォーカスする形で説明が行なわれた。



■ DSP「SHARC」と「Blackfin」の採用例と今後の計画

DSP製品について説明したポール・ウィラー氏

 DSP製品については、汎用DSPプロダクツディビジョン ジャパン リージョナルディレクターのポール・ウィラー氏が説明。オーディオでターゲットとしている4つの分野「プロフェッショナル」、「ポータブル」、「オートモーティブ」、「ホームオーディオ」での採用例などを紹介した。

 高性能の浮動小数点処理を特徴とするプロセッサ「SHARC」は、いずれの分野においてもハイエンド製品で採用。ダイナミックレンジの広さなどから、プロ向け製品として採用されてきたSHARCは、「“スタジオの音をホームオーディオへ”という思想で、品質を求める日本のユーザーに適している」という。具体的には車載オーディオにおけるハイエンド向けアンプ製品や、ワイヤレスのサラウンドヘッドフォン、ギターアンプなどに搭載されている。

 一方、オーディオ信号処理以外にもシステムコントロールや映像信号処理なども1チップで行なえ、低消費電力などのコストメリットも大きな特徴のBlackfinは、ポータブルオーディオや、車載オーディオのヘッドユニットなどに搭載されている。

 最近の採用例としては、ヤマハのエントリーAVアンプ「DSP-AX463」において、BlackfinがオーディオDSP以外にGUI生成や、システムコントロールなどの機能を1チップで行なっている。また、アウディの「A5」においては、SHARCのDSPを搭載するほか、Blackfinがデジタルラジオや、ジュークボックス機能など4つの機能を実現している。


SHARCの特徴 Blackfinの特徴 Blackfinを搭載したヤマハの「DSP-AX463」


Audi A5に搭載されているSHARC/Blackfin製品 iPodスピーカーやDVDレコーダなどに同社DSPが採用されている

 今後の戦略として、SHARCについてはハイパフォーマンス化を続けることを目標としながらも、最近のトレンドである省電力製品についても開発を行なうという。また、Blackfinでは、従来のシリコンプロセスと、同等機能で省電力化したLP(Low Power)プロセスのラインナップも用意するとしている。

 Blackfinの映像処理では、DVDレコーダにおいて、録画映像のなかから特徴的なシーンをハイライト再生する機能を実現している。現時点では1080pには対応していないが、高画質化のための高速処理についても必要性はあると見ており、今後の商品開発で検討するという。


デノンブランドのDJ用CDプレーヤー「DN-S3500」にBlackfinが、4chデジタルミキサー「DN-X1500S」にSHARCが採用されている コルグのDSDレコーダ「MR-1」にもBlackfinが搭載


□製品情報(DSP)
http://www.analog.com/embedded-processing-dsp/processors/jp/index.html



■ 薄型テレビ向けクラスDアンプなど

アナログ製品の説明を行なった望月氏

 クラスDアンプなど、アナログ製品については、デジタルコンスーマ&コンピューティング・セグメントグループの望月和雄氏が説明を行なった。

 薄型テレビがオーディオ機能面で抱える問題として、容積の制限により周波数帯域が狭いこと、発熱の高いICが使用できない点、映像処理の遅延に合わせたリップシンクの必要性などを指摘。それらを対処した同社製品を紹介した。

 効率面では、15×2ch出力を87%の高効率で提供(8Ω時)する「ADAU1592」と、14W×2chで効率が90%(8Ω時)というクラスDアンプ「ADAU1513」を用意。また、入力ソースや信号処理の違いによる遅延に対して柔軟なリップシンク機能をもつというオーディオプロセッサ「ADAV4601/4622」をラインナップしている。

 そのほかの特徴的な製品として、音量の平均値を引き上げてクリッピングや歪みを防ぐALC(Automatic Level Control)機能を初めて搭載したクラスDアンプ「SSM2317」を紹介。ポータブルプレーヤーなどのスピーカーを保護することが可能となる。また、クレードル付きスピーカー製品に、SigmaDSPとADC/DACを統合した「ADAU1701」が採用されている。


NCヘッドフォンや、ポータブルオーディオなどに採用されている ALC搭載クラスDアンプの概要 「ADAU1701」を採用するiPodスピーカーの例

 今後の取り組みとしては、上記に挙げたテレビ向け製品の問題は「まだ解決されていない」(望月氏)としており、テレビのさらなる薄型化への対応が検討されているという。信号処理の複雑化が進む中で、プロセッサの高性能化に加え、音声補正など多面的なアプローチで対応するとしている。

 また、マイク用アンプにおけるSN向上を目的とした開発も進められている。カムコーダや携帯電話向けマイクの指向性を高めるために、複数のマイクを搭載して信号処理で一部の音のみを取り出すことが必要となるが、これを実現するため、高いSNで低消費電力を実現する製品を開発しているという。


□製品情報(オーディオ/ビデオ製品)
http://www.analog.com/jp/audiovideo-products/products/index.html


□アナログ・デバイセズのホームページ
http://www.analog.com/jp/

( 2008年7月25日 )

[AV Watch編集部/nakaba-a@impress.co.jp]


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