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パイオニアマーケティング株式会社は、英メリディアンオーディオのDVD/CD/チューナ一体型システム「F80」(PAVM-F80)を10月中旬に発売する。価格は388,500円。発売当初は月産100台の限定生産でスタートし、東名阪の百貨店などで販売。その後、目黒のパイオニアショールームや直販サイトで販売。高級車やデザイン家電分野への販路拡大も見込んでいる。 カラーリングはフェラーリレッド(-R)、フェラーリイエロー(-Y)、フェラーリホワイト(-W)、ブラック(-K)、シルバー(-H)を用意。発売開始当初はレッド、イエロー、シルバーの3色を中心に展開するという。
メリディアンは、英国ケンブリッジ州にあるオーディオメーカー。スピーカー、プレーヤー、アンプなど、オーディオ機器をトータルで手掛けており、DSPを得意分野とする。アンプとDSPを内蔵したアクティブスピーカーなどで知られるハイエンドオーディオメーカー。 なお、従来メリディアンの輸入販売は株式会社エレクトリが担当していたが、6月で取り扱いは終了。今回「F80」のみだが、国内発売元としてパイオニアマーケティング、販売をパイオニア株式会社が担当して国内流通させることになった。製造は全てメリディアンが英国で行ない、サポートではメリディアンとパイオニアが協力する。保証は3年間。
■ F80
スロットインタイプのDVD/CDドライブと、AM/FMチューナ、アンプを内蔵。2.1chスピーカーも搭載した一体型のオーディオシステム。半円形のデザインが特徴で、外形寸法は408×185×230mm(幅×奥行き×高さ)。重量は6.5kg。フェラーリのオフィシャルプロダクトとして認定されており、カラーだけでなく、筐体にF1で培われたアルミマグネシウム・コンポジット素材を使うなど、内部にもフェラーリの技術を導入しているという。
スピーカーは2.1chで、前面に2個のユニット、背面に向けて1個のウーファを内蔵している。オーディオ回路に、ハイエンドモデルで培ったというDSP技術を投入。一体型筐体のスピーカーながら、広がりのある再生音を追求。広がりは0~6の7段階で設定できる。また、設置場所をフロア/コーナー/棚/テーブル/フリーから選択することで、場所に合わせた再生音が出力できる。小音量時はサイコアコースティックス技術を用いて、バランスの良い再生音に近づけるという。
内蔵アンプは総合80Wとハイパワーで、ボリューム調整は付属のリモコンのほか、本体向かって右側面のツマミからも行なえる。スロットインタイプの光学ドライブはDVD/CDの再生に対応し、CD-R/RWに記録したMP3/WMAの再生も可能。DVDビデオやDVD±R/RWも再生できる。高感度や低ノイズを追求したというチューナは日本仕様で、国内のAM/FMラジオが受信可能。
映像出力端子はアルミマグネシウム・コンポジット素材とS映像を各1系統用意。音声出力は光デジタルとイヤフォン端子を各1系統。音声入力は、光デジタルと、光デジタル/アナログステレオの兼用端子を各1系統用意する。アンテナ入力はAM/FM用に各1系統備えている。
別売でiPod Dockアダプタ「i80」(アイエイティ)を11月下旬に発売予定。価格は未定。専用ケーブルでF80と接続すると、選曲やプレイリスト選択など、iPodの操作がF80付属のリモコンから行なえるようになる。さらに、音声はiPodからデジタル伝送され、F80内蔵のDACでアナログへ変換/出力。「iPodを高音質ライブラリーとして楽しんでいただける」という。
なお、F80からのiPod映像出力には非対応。Dockアダプタには専用ケーブル以外にUSBケーブルも接続でき、PCとの接続も可能。Dockの天面にある切り替えボタンを押すと、F80との専用ケーブル接続/PCとのUSB接続が切り替わる。第4世代iPod nanoを含むiPodシリーズや、iPhone 3Gなどに対応する。
F80本体にはオーディオ機能以外に、時計機能を内蔵。有機ELのディスプレイを使って見やすい時刻表示が行なえるという。ラジオを使ったアラーム機能も利用可能。
■ 小型筐体とは思えないハイエンドな再生音 発表会は英国大使館内のイベントスペースで行なわれた。試聴デモでは、広い会場での再生にも関わらず、80Wの大出力を活かして部屋の隅々まで音圧の高い再生音が広がった。一般的な部屋での利用をイメージした音量に下げて、ニアフィールドリスニングをすると、筐体よりもかなり外側にスピーカーがあるような錯覚を覚える。音像定位も明瞭だ。 独創的な外観からは想像できないほど再生音はニュートラルで、良質な2ウェイブックシェルフスピーカーを聴いているような、見通しが良く、低/高音の繋がりの良い自然な音場が出現。低域の絶対量は本格的なスピーカ-よりは落ちるが、アコースティックベースの響きがしっかりと音楽を下支えしており、ハイ上がりという印象は感じられない。 DSP処理などで無理に低域を出そうとしてボンボン、ドンドンという中低音が張り出す低価格な一体型システムとは次元の違う再生音だ。アコースティックギターの弦が細やかに描写され、DACの分解能の高さを伺わせる。オーディオ機器らしからぬ外観だが、音はハイエンドオーディオの趣をしっかりと感じさせる。
■ 新規販路の開拓も
メリディアンのチェアマン兼チーフテクニカルオフィサーであるボブ スチュアート氏は、楽器を参考にしたオーディオ機器作りを行なっていることや、DSP技術の開発に積極的に取り組んでいることなど、メリディアンのこれまでの歩みを紹介。 フェラーリとの関係については、「あるスピーカーの最終仕上げを『フェラーリのような塗装にして欲しい』と、ユーザーから依頼があったことがキッカケ」と説明。「フェラーリの幹部の多くが、メリディアンのオーディオ機器を使っていてくれたことも(良好な関係が築けた)要因の1つ。残念ながらその逆は無いのだけれど……」と、ジョークを交えて両社の協力関係をアピールした。
F80に関しては「メリディアンの名はオーディオファンには知られているが、F80ではより多くの、一般の人にも良い音を届けたいというコンセプトで開発した」という。その結果、リビングや旅先、学校の音楽の授業など、様々な場所に導入された事例を紹介。フェラーリの中で使うことは想定されていないが、「フェラーリオーナーの1人で、愛車を改造してF80が設置できるようにしたユーザーもいた」(スチュアート氏)という。
パイオニアマーケティングの山崎一彦社長は「伝統を尊重しながら、固定概念に囚われない、イギリスを代表する製品であり、メーカーでもある」とF80とメリディアンを紹介。F80の国内発売においては、芸術や科学技術、産業などの分野で日英の交流やコラボレーションを促進する企画「UK-JAPAN 2008」もキッカケになっていることなどを説明した。
パイオニアマーケティングの石見周三取締役営業本部長は、国内での販売戦略について、前述のように百貨店や直販サイトなどを経て、将来的にはフェラーリのオーナーや、デザイン製の高いインテリア/家具などを取り扱うショップなど、新規販路の開拓に注力する方針を説明。メリディアンのそのほかの製品の取り扱いについては「パイオニアが展開しているジャンル/価格帯と重なる製品も多く、現在のところ明確な予定は無い」としながらも、今後検討していく姿勢を明らかにした。
□パイオニアのホームページ
(2008年9月22日) [AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]
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