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シャープ株式会社は、世界初のBlu-ray Discレコーダを内蔵した液晶テレビ、AQUOS DXシリーズを11月20日に発売する。52、46、42、37、32、26型の6サイズを用意。各モデルにカラーバリエーションを用意し、合計16機種となる。価格はいずれもオープンプライス。店頭予想価格は下表の通り。
最大の特徴はBDレコーダを液晶テレビに内蔵したこと。レコーダとの配線が不要になるほか、操作メニューなどを統合できるため、使いやすさが向上。HDDは内蔵していないが、「HDDに録画してディスクに書き出す」といったシステムを理解していなくても利用できる“わかりやすさ”をアピールポイントとして訴求。「VHSと同じようなわかりやすさ、使いやすさを重視した」という。 そのため、録画機能はディスクへの直接録画のみとなる。対応メディアはBD-R/R DLとBD-RE/RE DLで、DVDへの録画には非対応。MPEG-4 AVC/H.264へのトランスコード機能も備えており、最長5倍の長時間録画が可能。2層50GBのメディアに、HD映像を21時間録画できるという。 トランスコード機能は、同社単体BDレコーダの機能と同等。TS録画を行なう「標準モード」に加え、AVCを採用した2/3/5倍録画が可能。2/3倍モード時には、サラウンド音声データやデータ放送の情報もそのまま記録可能。5倍モード時はサラウンド音声のみ保存される。
ドライブは本体向かって右側の背面に装備。スロットインタイプで、右側面からメディアを挿入するイメージになる。BD/DVDビデオの再生機能は備えているが、DVDへの録画には非対応。BDメディアにSD解像度で録画することもできない。
複雑な操作を必要とする編集機能は備えておらず、録画時のCMカットなども行なえない。BD-REに録画したコンテンツを、タイトル単位で削除する機能のみ備えている。また、i.LINK端子は備えていないため、他のレコーダ内のコンテンツをBDで書き出すことはできない。なお、こうした録画機能は全モデル共通仕様。 予約録画はEPGから行ない、ブランクメディアを挿入していなくても予約録画指定が可能な「一発予約」が可能。メディアが入っている場合には録画可能残り時間の目安を表示。予約した番組情報の下に、現在挿入されているメディアの残り容量で録画が可能か否かを、アイコンでわかりやすく表示する。 毎週録画も指定可能だが、おまかせ録画機能は非搭載。さらに、ブランクメディアを挿入して約3秒で録画が開始できる「瞬速録画」機能を搭載。突然の来客時などに、メディアを挿入するだけで、すぐに続きが録画できる。番組終了時点で録画が自動停止する「一発録画」にも対応する。 「瞬速録画」は、内蔵されたバッファ用メモリ(容量非公開)に常時、番組の録画用データを保持することで実現している。そのため、レコーダ機能が起動した状態になってなければ利用できない。具体的には設定画面で「クイック起動」をONにしている状態でのみ利用でき、同機能をOFFにしていると録画開始までに20~30秒必要になるとのこと。なお、クイック起動設定時は消費電力が増える。
なお、録画済コンテンツの選択や、ディスクの読み込み時には、受信しているテレビ番組の表示は継続して画面の横に表示される。コンテンツの整列にアニメーションも使われておりシャープではこれらの新GUIを「モーションガイド」と名付けている。
再生時には、記録されたコンテンツがテレビ画面右側のバーに縦方向に並んで表示される。録画済番組は番組名やサムネイル動画で確認でき、そのままテレビのリモコンで再生が可能。BDビデオソフトの場合では、挿入するだけで自動的に再生が開始。入力切り替えなどを行なう必要が無く「一発再生」と名付けられている。
なお、HDMI出力は非搭載で、BDビデオのHDサラウンド音声をそのまま出力することはできないが、光デジタル音声出力は備えており、ダウンコンバート出力は可能。画質面では「AQUOS純モード」を備え、24pの映画ソフトなどをパネルの特性に合わせた高画質で表示できるという。HDMI入力は2系統用意し、1080p入力をサポート。 52、46、42、37型はフルHD解像度のパネルを採用。独自開発のLSIを用い、120Hzの倍速駆動を実現している。37~52型の液晶は10bit駆動で、滑らかな階調表示を可能にしたという。32型と26型は1,366×768ドットのパネル。コントラスト比などは下表の通り。 チューナは地上/BS/110度CSデジタルを2基搭載したデジタルWチューナ仕様。アナログチューナも備えている。Ethernet端子も備えているが、デジタル放送の双方向機能に利用するのみで、「わかりやすいという製品コンセプトから、アクトビラなどのネットワーク機能は非対応とした」という。
スピーカーユニットには、6.2cm径ユニットと、2cm径ツイータを採用。本体両サイドにバスレフポートを設ける「サイドポート・バスレフ」形式を採用している。アンプは独自の1ビットデジタルアンプ。52/46V型には2.1chのスピーカーを内蔵している。
■「AQUOSテレビと言えばBDレコーダが付いていると言われるように」
片山幹雄氏社長兼COOは、BDレコーダを液晶テレビに内蔵した理由について「ハイビジョンレコーダへの買い替えが進まないこと」を挙げる。2008年3月末の時点で、地デジの受信可能世帯数は93%、ハイビジョン対応薄型テレビの世帯普及率は43.9%に達している。しかし、録画機に関して言えば、アナログビデオテープレコーダ(約1,640万世帯)とDVDレコーダ(約1,690万世帯)を合わせた約69%の世帯が、まだハイビジョンで録画/再生できない世帯だという。 片山社長はレコーダのハイビジョン化が進まない背景には、「操作が簡単で、録画したものが取り出せるカセットテープの親しみやすさが、お客様のニーズにマッチしているからではないか」と分析。「HDDに録画したものをダビングするなど、わずらわしい操作を無くし、“誰でも使える”ことを重視した」と語り、VHSテープをそのままBDメディアに置き換えたような、シンプルな機能/操作性のDXシリーズの特徴を説明した。
さらに、BD用半導体レーザーや光ピックアップなどを自社で手掛け、垂直統合型ビジネスモデルの結果としてBDレコーダ内蔵テレビが実現できたことや、低価格化への取り組みも紹介。「レコーダとテレビを組み合わせると、本来1+1=2の価格になるはずだが、1+1=1に近づけるよう、コストダウン努力を行なった」という。今後の展開としては、年内に米国で、来年には欧州とアジアでも販売される予定。
片山社長は市場環境については厳し見通しを示しながらも、「同質化競争が進む中で、シャープの強みは高画質。高画質を簡単に楽しむことを訴求していきたい」と、DXシリーズの差異化機能を強調。さらに、「CEATECにこの商品を出さなかったが、戦略的に暖めてきて、開発にも相当な期間かかったモデルであり、年末商戦にようやく間に合ったという状況。26V型~52V型までをカバーするラインナップで、我々としてはAQUOSのメインと位置付けている。BDレコーダが搭載されていないAQUOSもあるが、『AQUOSと言えばBDが付いている』くらいの位置付けで年末商戦をがんばっていきたい」と意気込みを語る。
なお、今後BDレコーダ内蔵AQUOSにHDDが搭載される可能性については、BDメディアの容量の大きさや、低価格化などを理由とし、「はっきり言ってまったく考えていない」と答えた。
□シャープのホームページ
(2008年10月15日) [AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]
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