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Blu-ray版「AKIRA」を観るだけで心も体も健康に!?
−アニメBD初。24bit/192kHz/5.1chの“衝撃”


トークショーの様子
10月18日開催


イベントが行なわれた表参道ヒルズ

 日本が誇るゲーム、アニメ、音楽、映画などのコンテンツ産業に関わる各種イベントを連携させ、世界にアピールしようという「JAPAN国際コンテンツフェスティバル」(CoFesta/コ・フェスタ)。その特別企画として18日、「ハイパーメディア・コンテンツの衝撃」と題し、2009年2月20日に発売されるBlu-ray Disc版のアニメ「AKIRA」(BCXA-0001/8,190円)の上映イベントが東京・表参道ヒルズにて行なわれた。

 '88年に公開された映画「AKIRA」は、大友克洋の名と共に、日本のアニメを世界に知らしめた衝撃作であり、Blu-ray化も大きなニュースだ。しかし上映イベントが「衝撃」と名付けられたのにはもう1つ、大きな理由がある。それは、アニメのBlu-rayとしては世界で初めて、日本語の5.1ch音声を24bit/192kHz(ドルビーTrueHD)で収録していることだ。

 さらに、この音声データ量を活かし、BDビデオ版「AKIRA」には「ハイパーソニック・エフェクト」が収録されているという。この「ハイパーソニック・エフェクト」、人間の知覚限界を超える超高周波を浴びることで、基幹脳が活性化し、心や体が健康になるというものらしい。“Blu-rayを観るだけで健康になる”とはどういうことか? 上映に合わせて行なわれたトークイベントを取材した。

ヒルズは内部も外観もCoFesta一色になっている


■ ハイパーソニック・エフェクトを聴く

※ジャケットとは異なります
(c)1988マッシュルーム/アキラ製作委員会

 トークショーのレポートに入る前に、上映されたBDビデオ版「AKIRA」のクオリティをチェックしたい。発売は来年の2月のため、現在ソニーPCLにてエンコード作業が行なわれている最中だが、その映像を今回のイベント用に特別にBD-Rにして再生/上映している。そのため、画質に関してはさらに追い込みが行なわれる予定で、あくまで“イベント時点での最新画質”となる。

 再生にはソニーのBDレコーダ「BDZ-X90」を使用。デコーダ/AVプリとして同社AVアンプの「TA-DA5300ES」を使用と、民生機がメイン。その後は大橋力研究室による超高周波再生システムとなり、NEXOやMeyer Soundのスピーカーや、パワーアンプなど、業務用機器が並ぶ。注目は各スピーカーに取り付けられたスーパーツイータだ。

 ソースは1080pだが、アップコンバート処理を行ない4K化。投写にはビクターの4K/2Kプロジェクタを2台使用。同じ映像を重ね合わせて投写することで輝度を稼いでいる。

再生にはソニーのBDレコーダ「BDZ-X90」を、デコーダ/AVプリとしてAVアンプ「TA-DA5300ES」を使用 スピーカーは業務用モニターを使っている 投写はビクターの4K/2Kプロジェクタを2台使用

スピーカーに装着されたスパーツイータ

 上映が開始されると、ホールのスペースは448m2と広大だが、その空間に負けない巨大な音場が展開する。しかし、音の密度は非常に高く、冒頭の暴走シーンにおける車、バイクの爆発音が前方から強烈に浴びせられる。普通のシステムでは“分厚い中低音に圧倒される”と形容するところだが、中低音の解像度が非常に高く、含まれる金属質な破裂音がどこまでも高く伸びるため、“分厚い”という音のカタマリはイメージできない。極めて細かな音の粒をバケツで思い切りたたきつけられたような、今までに体験したことのない強烈なサウンドだ。

 ボリュームはかなり高いが、解像度が非常に高いため、まったくうるさく感じない。高ボリュームでも個々の音がしっかりと描写されるため、“心地よい”という感覚の方が強く、この“音離れの良さ”が広大な音場を感じさせる要素の1つではないかと考えられる。その音場に響く山城組のケチャは気味が悪いほどの静かさと地鳴りのようなパワーを同居させており、AKIRAの世界観を表現するサウンドとして、「やはりこれ以外のものはありえない」という思いを強くした。

センタースピーカーの横にもスーパーツイータ

 全体的に落ち着いたトーンの映像だが、ベールをはいだように発色がクリアになっていることがわかる。また、超能力が引き起こす巨大都市や文明の崩壊が最大のカタルシスと言える作品であるため、崩壊するビル群や逃げまどう人々が「ここまでやるか」と言いたくなるほど細かく描き込まれていることにBD版であらためて驚愕する。驚きは全シーンに渡っていると言えるが、特に冒頭、犬が撃たれるシーンの後に続く銃撃&崩壊シーン。アニメーターの沖浦啓之氏が手掛けたアニメファンにはお馴染みのシーンは必見。その後も病室で巨大化するぬいぐるみや、後半の鉄雄の暴走シーンなど、BDの高解像度に圧倒される場面は枚挙にいとまがない。

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【2007年6月22日】Blu-ray版「AKIRA」が2009年2月20日発売
−アニメBD初の24bit/192kHz収録。新規HDテレシネ
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20080926/bandai.htm


■ BD版「AKIRA」を観れば、心も体も健康に!?

芸能山城組の組頭・山城祥二であり、脳科学者としての顔も持つ大橋力氏

 トークショーには、「AKIRA」の音楽を手掛ける芸能山城組の組頭(主催)である山城祥二として活動する一方、国際科学振興財団主席研究員/文明科学研究所所長であり、脳科学者としての顔も持つ大橋力氏が登壇。さらに、東京大学大学院情報理工学系研究科の廣瀬通孝教授、AV評論家の麻倉怜士氏も出席した。

 麻倉氏はまず、BD版「AKIRA」の音質について「レンジがとにかく広く、感想を一言で言うと“うるさくない”。こんなにうるさく感じないアクションシーンが連続する映画を観たのは初めて。普通のDVD/BDでアクション映画を観ると迫力はあるけど疲れてしまうものが多いが、今回のAKIRAは血潮がたぎるような、良い意味で興奮する、丁寧なサラウンドだった」と感想を語る。

 大橋氏によれば、それこそが「ハイパーソニック・エフェクト」の効果だという。我々がよく耳にするCDでは、人間の可聴域上限の20kHz以上の音はカットされている。しかし、耳には聞こえない20kHzを大きく越え、100kHz以上に及ぶ複雑に変化する超高周波を含む音にさらされると、人間の脳の中にあって、美しさや感動を司る“基幹脳”が活性化。自律神経系や免疫力、内分泌系の活動が改善されるなど、良い影響があることを、大橋氏を中心とする研究プロジェクトが発見。世界的な注目を集めているとのこと。

 問題となるのはレンジだ。ポジトロン断層法(PET)とよばれる計測で基幹脳の活性を見ると、“亜騒音の中で普段生活している状態”や、“非可聴高周波(つまり聞こえない音)”のみを聴かせた状態と比べ、“可聴音のみの音(CDなど)を聴かせた状態”では、脳幹の血流は減少してしまう。しかし、可聴音と非可聴高周波を合わせた超ワイドレンジな音を聴くと、脳血流は一転して増大するという結果が出ている。

超高周波を含むガムランを聴いた時の基幹脳の活性計測結果。可聴音と非可聴音を合わせた時のみ、活性化している 脳幹が活性化することで生まれる影響 20kHz以上をカットしないLPでは、α波が増強されるという

 基幹脳が活性化されると、脳波の中のα波が増大。心理反応にも変化が起き、音をより美しく、快適に感じるようになるという。ほかにも、ストレスホルモンの減少、免疫活性の改善などの良い効果が出るという。逆に、脳血流が減少すると、こうした機能が音楽を聴いていない状態よりも低下する。つまり、非可聴高周波をカットしたCDや圧縮音楽ファイルを聴いていると、良い効果が出ないばかりか、体に悪い影響が出る可能性もあるというのだ。

 「耳に聞こえないのに影響がある」というのも不思議な話だが、大橋氏によればハイパーソニック・サウンドは“体”で聴いているのだという。例えば、スーパーツイータを備えたワイドレンジなスピーカーで音楽を再生。可聴音も超高周波も体全体で浴びるようにした状態ではハイパーソニック・エフェクト効果が発現。しかし、同じ音をヘッドフォンで耳だけで聴くと発現しない。逆に、ヘッドフォンで可聴音を聴き、スピーカーで超高周波を体に浴びせると現象が発現したという。

 こうした実験の結果、可聴音を耳で聞くと同時に、超高周波を体表面で浴びる必要があると大橋氏は言う。ポータブルプレーヤーでヘッドフォン/イヤフォンで、超高周波をプラスした音を聴くだけでは効果が無く、逆に現代病を誘発する可能性を解消できないと危険性を指摘している。

ハイパーソニック・サウンドの効果 耳で聴くだけではハイパーソニック・サウンドの効果が出てこない 可聴音のみを耳だけで効くリスニングスタイルには、現代病を誘発する可能性があるという

 基幹脳の活性低下は身体、精神、行動の各面で様々な病気や異常、障害を生む、根源的な原因になると大橋氏は考えている。具体的な影響としては、自律神経や内分泌系、免疫系の失調。心の面ではモノアミン神経系の失調、行動/生体制御系の失調などにより、がんや高血圧、心筋梗塞、アレルギー、うつ、統合失調症、自殺、暴力、ひきもこりなどなど、現代病誘発の可能性があるという。

 大橋氏はこれらの病気に対し、外部から治療するよりも、ハイパー・ソニック・エフェクトにより基幹脳を活性化することで、根源的に解消できるという考え方を提唱。その実践として芸能山城組としての音楽活動を行なっているというわけだ。

基幹脳の活性低下が様々な問題を引き起こしているという そこに様々な治療を行なうよりも、根本原因をハイパーソニック・サウンドで解決するという考えだ

AV評論家の麻倉怜士氏

 さらに、大橋氏によれば、この図式は、AV機器/ソフトだけに限った話ではなく、自然界でも同じだという。例えば熱帯雨林の環境音と、都市の環境音を比較すると、良く整備された現代都市では、人工的な機械騒音に支配されて、虫の声など、超高周波を含む複雑な天然環境情報が欠如。「知覚範囲内におさまる低密度で単純な情報」のみが溢れ、基幹脳の活性低下を招く危険性を指摘した。

 ちなみに、ピアノや西洋楽器は20kHzまで高域は伸びないものが多く、インドネシアのガムランや日本の琴などは、豊富な超高周波を発生させるという。大橋氏は「これらの楽器や音楽を育てた人達の感覚や文化によるもの」と説明。この言葉に麻倉氏は「バラバラの音を組み合わせて音楽にする、合理的な西洋技術型の音楽が主流になっているが、『20kHz以上は聞こえないからカットしていい』というCDもある意味合理性から生まれたもの。合理性の追求は西洋近代を良くしてきたけれど、その歪みも出てきている。ガムランや琴が超高周波を生み出すというのは、その矛盾を現しているような気がする」と深く頷いた。

都市環境でも活性は低下するという ガムランや琴などが、超高周波を含んでいる


■ 芸能山城組の“味”はCDでは出せなかった

 100kHzにまで届くハイパーソニック・エフェクトを収録するためには、24bit/192kHzなど、最低でも192kHzのサンプリングレートを使う必要がある。Blu-rayのBD-ROM規格では、ドルビーTrueHDにおいて192kHzで最高6chまでの収録に対応。「ドルビーTrueHDであれば、計算するとギリギリでハイパーソニック・エフェクトが収まる。映像も入れないといけないので大変だが、MPEG-4 AVCという良くできた映像フォーマットがあるおかげで収めることができた」と大橋氏は顔をほころばせる。

 それもそのはず、20kHz以上も収録されているLPレコードの時代から20年を経て、ようやく再び超高周波まで記録できるメディアで作品を発表できることになる。大橋氏は「LPの時代からCDになってから、パッケージメディアでは私の音楽の味は出せなかった」と、この20年を感慨深げに振り返る。

BDとそのほかのフォーマットの比較 DVDではカットされた20kHz以上の音がBD版には含まれている

東京大学大学院情報理工学系研究科の廣瀬通孝教授

 また、製作時のエピソードとして、バンダイビジュアルやソニーPCL、ドルビーなど、携わる各社のスタッフが一堂に会して仕様を協議。「バンダイビジュアルが凄く頑張ってくれたのでスムーズに進んだ。『これだけ潜在的なクオリティがある作品だから、妥協無くそれをパッケージソフト化しよう』という高い志で作業を進めてくれた」と、感謝を述べた。

 麻倉氏は“MPEG-2の25Mbpsで2時間録画ができること”を念頭に開発されたBDフォーマットが、HD DVDとの競争の末、MPEG-4 AVCなどを採用した経緯などを紹介。「偶然このフォーマットが生まれたとも言えるが、その偶然を必然にしたのが先生の功績」と、今回のBD版「AKIRA」における大橋氏の功績を評価。「AVアンプのメーカーに行くたび、『今度AKIRAという凄いBDビデオが出るから、24bit/192kHzもしっかり再生できなきゃアカンぞ』と言っている」と語り、会場の笑いを誘った。

高密度の映像がα波に及ぼす影響

 廣瀬教授は、映像が人間に与える影響を解説。SD映像とハイビジョンの高密度映像を比較した場合、ハイビジョンの方が脳波α波が多く出ると言う。内容でも人工性の高い映像よりも、自然性の高い映像の方が効果が高いという研究結果を紹介。さらに、この効果には“観る方の民度”も必要になるという。「『映像なんて映っていればいいや』という人でテストすると、最初は良い結果が出ない。“美味しい”という概念と同じで、それが無い人に最初から美味しいものを食べさせてもわからない。経験や意識が必要になる。ハイビジョン映像が一般化した現代に再調査したら、高精細映像によるα波の活性化は顕著に表れるはずだ」という。

 これを受けて麻倉氏は、デジタル放送の映像の綺麗さと、AACの音質の悪さの“アンバランスさ”を指摘。「デジタル放送よりもアナログBSのBモード(16bit/48kHz)の方が音が良いというのはどういうことなのか。映像がハイクオリティになれば、音質もそれ相応にならないと困る。何より大切なのは映像と音質のバランス」と語り、今後の放送やパッケージメディアの高画質/高音質化に対する期待を込めた。

□バンダイビジュアルのホームページ
http://www.bandaivisual.co.jp/
□タイトル情報
http://product.bandaivisual.co.jp/web_service/shop_product_info.asp?item_no=BCXA-0001

(2008年10月20日)

[AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]


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