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パナソニック株式会社は28日、2008年度上期(4月1日~9月30日)の連結決算を発表した。
売上高は前年同期比4%減の4兆3,437億円、営業利益は4%増の2,282億円、税引前利益は8%増の2,033億円、当期純利益は22%増の1,285億円となった。 「厳しい経営環境のなか、営業利益は7年連続の増益、当期純利益は過去最高となった。営業利益、当期純利益も公表値を達成した」と大坪文雄社長は、上期の決算を総括した。 売上高では公表値を下回ったが、利益面ではすべて公表値を上回る実績を達成したほか、海外売上高は実質成長率で8%増となり、全社業績を牽引したという。 地域別では、国内の売上高が4%減の2兆1,106億円、海外が4%減の2兆2,331億円。日本ビクターの前年4~7月分と、為替の影響を除いた実質ベースでは、国内が1%減、海外が8%増となったという。 実質ベースでの米州の売上高は前年同期比6%増の5,846億円、欧州が9%増の5,754億円、中国が14%増の5,323億円、アジアが6%増の5,408億円となった。 BRICsおよびベトナムの売上高は、前年同期比で25%増と大幅に伸張しているという。 「景気の減速感はあるが、伸びる地域や、伸びる商品を見極めて展開している。市場に目を凝らして、顧客が求める商品を見極め、最適な商品を、最適な価格で提供していく」(大坪社長)とした。 セグメント別では、デジタルAVCネットワークの売上高は、前年同期比2%増の2兆1,029億円、営業利益が7%減の1,028億円。 同セグメントの主要ドメイン会社では、AVCネットワークス社の売上高が前年同期比15%増の1兆830億円、営業利益は24%減の359億円。携帯電話事業を担当するパナソニックモバイルコミュニケーションズの売上高は2%増の2,092億円、営業利益は213億円と黒字幅が大きく増加した。 「国内携帯電話市場は飽和に近い状態があり、今後、大幅な販売の伸びはないだろう。だが、昨年度の実績である728万台の出荷は上回ることはできる。まずは、日本でナンバーワンのシェアを取るという目標に向けて着々と進行している。次期中期経営計画となるポストGP3計画のなかでは、携帯電話事業で海外に打って出るべきと考えている。ワンセグ機能という点でも技術を発揮でき、さらに当社のAV関連ドメインが一緒になれば魅力的な製品を投入できる」(大坪社長)とした。
■ 薄型テレビ売上は55%増。国内BDレコーダは40%増
薄型テレビの販売金額は、全世界で31%増の5,172億円。そのうち、日本国内は14%増の1,173億円、米州は6%増の1,079億円、欧州は45%増の1,888億円、アジア/中国は68%増の1,038億円となった。 販売台数は、プラズマテレビが前年同期比58%増の271万台、液晶テレビが52%増の217万台。薄型テレビ全体で55%増の488万台となった。 「オリンピック商戦の順調な推移、北米におけるマーケティング体制の変更、46型プラズマテレビの投入などによる大型化喚起が影響している。当初掲げた計画はおおむね達成している」(大坪社長)として、年間1,100万台の出荷計画の達成に意欲を見せた。 DVDレコーダの販売金額は、全世界で14%増の643億円。そのうち、BDレコーダが急速に立ち上がった日本国内は40%増の391億円、米州は36%増の67億円、欧州は28%減の138億円、アジア/中国は10%増の47億円となった。 また、デジカメは、販売金額は、全世界で2%増の1,277億円。そのうち、日本国内は1%減の216億円、米州は17%増の291億円、欧州は4%減の545億円、アジア/中国は1%増の225億円となった。 「デジカメは、米州では高倍率のTZシリーズが好調。日本では、前年割れとなっているが、G1シリーズによる新たなコンセプトの製品投入によって、巻き返しを図りたい」(上野山実取締役)などとした。
アプライアンスの売上高は3%増の6,855億円、営業利益が26%増の469億円。デバイスの売上高は6%減の6,702億円、営業利益が1%減の490億円。電工・パナホームは売上高が1%減の9,287億円、営業利益が13%減の358億円。その他事業の売上高は10%増の5,986億円、営業利益は18%減の288億円となった。
グループ事業領域別では、デジタルAVCネットワークソリューションが売上高が2%増の2兆1,029億円、営業利益が7%減の1,028億円、営業利益率は4.9%。環境・生活快適実現ソリューションは売上高が1%増の1兆6,142億円、営業利益は6%増の827億円、営業利益率は5.1%。デバイス・産業ソリューションは売上高が1%増の1兆2,688億円、営業利益が8%減の778億円、営業利益率が6.1%。 なお、通期の見通しについては、「第3四半期の状況を見て判断したい」(上野山実取締役)とした。
大坪社長は、「環境としては厳しいのは確かだが、わずか数日で為替や株価の状況が変わるなど、先行きが見えない。まずは、年末商戦でどんなことが起こるか、第3四半期の決算を踏まえて、冷静に市場を捉えたい」とした。 一方、10月1日付けでパナソニック株式会社へと社名変更し、約1か月を経過したことに触れ、「社名変更によって、グループとしての一体感が出てきた。製販連携が進み、衆知を集める経営が実践できるようになっている。これまでは、ドメインの責任者同士が、呼びかけなくては連携ができなかったが、ドメインやBUを越えて、自発的に連携が実践されるようになってきた。ドメインをまたがる商品の開発が加速されることになる」などとした。
□パナソニックのホームページ ( 2008年10月28日 ) [Reported by 大河原克行]
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