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パナソニック株式会社と三洋電機株式会社は7日、資本・業務提携に関する協議を開始することで基本合意した。今後協議を重ね、12月末をめどに進捗を報告するとしている。 パナソニックによる三洋電機の子会社化を前提に、資本業務提携に向けて協議。両社の経営ノウハウや経営資源を共有し、協業を通じてグローバルな競争力獲得を目指すとしている。協業により、エナジー事業を中心に、エレクトロニクスやエコロジー事業などの強化を図る。 エナジー事業については、両社が二次電池市場の発展に貢献し続けるための補完的技術協力を行なうほか、三洋電機のソーラー事業拡販のため、パナソニックのグローバル販売網を活用するなどの協業を想定。 エレクトロニクスやエコロジー事業領域では、デバイスやデジタル、白物家電などの事業において、パナソニックと三洋電機の双方の商品ラインナップ拡充や販売網の相互活用などに取り組む。また、技術協力による製造コストや開発コストの低減を図る。 共同購買も推進し効率化を図るとともに、パナソニックによるコスト削減の仕組みを三洋電機の事業に組み込み、全事業領域において収益性の向上を図る。また、三洋電機の量産技術などをパナソニックの事業に活用するなど、両社のすぐれたやり方、運営体制を組み合わせていくという。 ■ 三洋子会社化は「厳しい経済環境化でのさらなる成長のため」
合併の効果については、「三洋電機はエナジー、エレクトロニクス、エコロジーなどの事業領域で、すばらしい技術/商品力をお持ちである。両社の協業により、電池や創エネ分野では競争力ある事業/技術を組み合わせて、総合力を発揮できる」とした。
「なぜ、今のタイミングでM&Aに踏み切ったのか」との質問に対して、パナソニック大坪社長は、「私たちはグローバルエクセレンスと呼ばれる会社を目指している。売上、収益だけではなく、世界中の消費者の役に立つ、家庭生活に役に立つ、そして地球環境に大きな貢献をする。そういう意味も含めてグローバルエクセレンスになりたい。しかし、そういう会社になる挑戦権すら、まだわれわれは持っていない。(2009年度売上高10兆円、ROE 10%を目指す中期経営計画)GP3計画はその挑戦権を得るための目標だが、GP3の半分の1年半が経過し、世界の経済状況はご存知のとおり厳しい。これから先、目指した目標の達成は困難になってきた。例えば4つの戦略成長事業では、カーエレクトロニクス1兆円を目指していたが、今回の件で、世界中の自動車メーカーが戦略の見直しを迫られており、われわれの戦略にも影響は出てくる。グローバルエクセレンスを目指すのであれば、グローバルに成長をになうエンジンがもうひとつ必要だ。例えばAVは価格下落の中で、これから世界中で戦いぬいていかなければいけない、白物は不十分なマーケットに今から攻め込むが、これもいずれ成熟が待っている。これからの成長を考えると、三洋の事業の中で大変魅力のあるものがある。また、われわれの技術、経営資源を使えばもっと大きくなるという事業がある。ポストGP3を考えても、苦しいときこそ更なる成長に向けて思い切った手を打つ必要がある。三洋はそのベストパートナーだ」と説明した。 また、消費者への影響について、パナソニック大坪社長は「パナソニックと三洋が1つのグループになることで、すぐれた商品、とくに環境/エネルギーにとっては世界中の消費者に望ましい事業展開が可能になる。メーカーだけでなく、環境問題への対応についても大きなインパクトを与える可能性がある。消費者のニーズを真っ先に実現できる環境が、グループのシナジーで生み出せる」と説明。三洋佐野社長も「両社の強みをあらゆる段階から考え、これからの製品で期待に応えていきたい」とした。 なお、「子会社化」の定義について、パナソニック大坪社長は「今回は子会社化を前提に資本業務提携する。それがどういう形になるかは今から協議し、深めていく。ただ、パナソニックグループの一員として、マジョリティの株は抑えたいと思っている」と言及。雇用やブランドについては、「三洋は2005年ごろの危機を克服してきている。2001年頃のパナソニックも似たような経験をもっている。危機を克服した皆で立てた2010年の中期経営目標達成を見届けたいという佐野さんの思いは、私もよく理解できる。三洋がグループの一員になっても、より自己実現できるような支援をしなければいけない。ブランドについても、90年続いた松下、80年のナショナルを先日統一したばかり。歴史を持つ三洋ブランドに、どういう気持ちを持つかは良くわかっている。雇用、ブランドへの思いは共感しているが、同時に経営は勝ち残って初めて意味がある。その点でも理解しあっている。まずは冷静にチャレンジ1000(三洋の中期経営計画)の進捗を見させていただく」と語った。 三洋電機の佐野社長は、「今回の案件があったにしろ、無かったにしろ、事業が無ければ雇用はありえない。われわれの中に実態が厳しい事業もある。こういった実態においては、三洋の判断で必要な構造改革をやりとげる」とした。電池事業については、「太陽電池は三洋が成長事業として育てている。スピーディに(提携が)まとまれば、われわれの家庭用燃料電池と太陽電池という2つのエネルギー事業でグループ内で相乗効果ができる」とし、パナソニックの販売網を使った三洋の太陽電池商品展開などが有望とした。 自動車向けの二次電池については、「両社でパートナーが違うが(三洋がホンダなど、パナソニックがトヨタ)、利益相反の心配はないか? 」との質問が出たが、「全体の需要からみれば、車メーカー向けの需要は爆発的に伸びる。今までの経緯で多少各メーカーとの取引には濃淡がある。しかしどちらにしても、強いもの同士が手を組めば、自動車メーカーさんについても強いメリットがあり大きな問題はない」(パナソニック大坪社長)とした。 また、重複事業の整理の方針は、「今後の協議で、一番知恵を絞るポイント」(パナソニック大坪社長)という。「ただし、白物やデジタルAVといっても、必ずしも同じマーケットやターゲットを前提としているわけではない。重複とするか、ラインナップの充実と考えるか、詳細を見極めながらシナジーを生み出す」としている。
( 2008年11月7日 ) [AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp/写真:大河原克行]
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