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ZMPの音楽ロボット「miuro」で新音楽配信サービス開発へ
-PCレスのレコメンド機能を大学と共同研究。SDK公開


左からZMPの谷口社長と、首都大学東京の高間准教授

12月17日発表


 株式会社ゼットエムピーは、2007年に発売したロボット型オーディオプレーヤー「miuro」(ミューロ)において、首都大学東京との協力で新たに楽曲レコメンドサービスの展開を目指すと発表。国内におけるSDK(Software Development Kit)の提供と、miuroを用いた受託開発を12月17日より受注開始する。SDKの価格は300~600万円で、センサーの数や開発環境の仕様などで異なる。

miuro

 miuroは、スピーカーを内蔵し、オプションにより自律移動も可能なロボット型オーディオプレーヤー。移動は車輪で行ない、内部にはジャイロや加速度センサー、車輪の回転数を検知するロータリーエンコーダなどを内蔵。本体が回転しないように、姿勢を制御するロボット向けの制御技術を採用している。

 付属のリモコンで操縦が可能。再生する音楽に合わせたダンスや、イルミネーションの点灯といった機能も備える。iPodを本体内部に収納可能で、Dockコネクタ接続時にはリモコン経由でiPodの楽曲操作なども行なえる。

 無線LAN機能も内蔵。ネットラジオが利用できるほか、ネットワーク経由でPC上のWindows Media Player(Windows Media Connectを利用)やiTunes(AirTunesを利用)と連携し、パソコン上の音楽ファイル再生が行なえる。対応楽曲フォーマットはWAV、MP3、WMA、AAC、AIFF。音質面では、ケンウッドの“音質マイスター”が開発に協力している。


miuroの概要 SDKで開発された機能をデモ。手に持ったビーコンをmiuroが追いかけるというもので、ビーコンユニットはキーホルダー程度まで小型化できるという SDKの内容



■ 自走機能を活かしたレコメンドサービス

 新サービスの展開に向け、首都大学東京のシステムデザイン学部 高間康史准教授と共同研究を開始。パソコンを使わずに様々なメタデータを収集し、楽曲に付与。ストリーミング型の音楽配信サービスとの連携でさまざまな時間や場所、個人に合わせた選曲/再生がmiuroで行なえるようになることを目指している。

本体の触り方で再生中の曲のレーティングを変える機能も

 インターフェイスとしては、再生している曲が好きな場合はmiuroをなでる、嫌いな場合はたたくことでレーティングを上下できるといった、パソコンを使わない簡単な操作をイメージ。また、自走式という特徴を活かし、夜間のベッドルームでよく聴く曲や、リビングで家族と一緒に聴く曲といった、時間/場所を考慮した楽曲へのタグ付けも行なえるという。

 今後は、音楽配信サービスとの連携を想定し、ユーザーと共に移動しながら好みに合った楽曲を自動で選曲/再生する「ミュージックコンシェルジュ」の実現をmiuroで目指し、通信会社やコンテンツホルダーとの協業を計画している。

 また、ユーザーの属性や位置情報に合わせたCMといったターゲット広告についても意欲的で、検索サービスやECサイトなどと協力して取り組む。そのほか、将来的には据置きのコンポや携帯電話など他の機器と、音楽再生履歴などのデータベースを共有するといった連携も検討している。

 17日より受注を開始したSDKにより、PC/Linuxからmiuroをコントロールすることが可能。通信会社などが、音楽配信を含む新サービスを開発できる。ZMPでは、幅広いアプリケーションに対応する音楽プラットフォームとしてのmiuroの世界展開を2009年~2010年の間に目指す。


ユーザーを追って移動することで、音楽を再生した状況をタグとして蓄積 ジェスチャーによる操作も検討する 2009年までをアプリケーションの研究開発期間とし、2009~2010年には世界展開も計画



■ コンテンツ流通の活性化など目指す

ZMPの谷口恒社長

 miuroは2006年に発表され、「市場を見る目的」として2007年に発売された初回ロット500台が同年内に完売。代表取締役社長の谷口恒氏は、「miuroで新しい音楽の楽しみ方を提案した。音質やデザインの評価も高い」と自信を見せる。SDKについては、既に、海外の通信会社に納入した実績もあるという。

 今後の目標としては、ユーザーのそばに常にいることでライフログの蓄積や好みの音楽のレコメンドを通じ、コンテンツ流通の活性化や利便性の向上を図る。これらを実現するためにウェブインテリジェンスについて研究している首都大学東京の高間康史准教授との共同研究を始めたという。


首都大学東京の高間康史准教授

 高間准教授がこれまで進めてきた研究の一つに、マスコットロボット「nuvo」によるテレビ番組のレコメンド技術がある。これは、お勧めの番組が見つかった場合に、すぐにそのタイトルをユーザーに知らせるのではなく、好きな番組を見ていない“退屈な時間”を見計らって教えるというもので、ライフスタイルに合わせた機能の提案となっている。

 音楽レコメンド機能の動向について高間氏は、幅広い年齢層が対象となる同機能は利用者も多いことや、定額音楽配信が普及すると、曲の増加に伴いレコメンドが必要となること、音楽からユーザー嗜好データを獲得できること、多くの人にとって、好きな楽曲リストをウェブなどに公開/共有することへの抵抗が少なくなったという実感などを挙げた。

 ZMPと共同研究することについて、高間氏はmiuroのインターフェイス面に触れ「自律移動やタッチインターフェイスにより、ユーザー嗜好などを収集できる能力や、エンターテインメント性の高さによりコミュニケーションしたくなる存在感に魅力がある」とした。


□ゼットエムピーのホームページ
http://www.zmp.co.jp/
□ニュースリリース(PDF)
http://www.zmp.co.jp/data/miuro_Pressrelease_20081217.pdf
□miuroのホームページ
http://miuro.com/
□関連記事
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http://av.watch.impress.co.jp/docs/20060831/zmp.htm
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( 2008年12月17日 )

[AV Watch編集部/nakaba-a@impress.co.jp]


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