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東芝、2008年度の通期業績は2,800億の赤字へ
-減収減益。液晶2工場の停止/縮小など体質改革案も


2008年度第3四半期決算を発表

1月29日発表


会見に臨む西田社長(右)と村岡専務(左)

 株式会社東芝は、2008年度第1~第3四半期(4月1日~12月31日)連結決算を発表した。

 売上高は前年同期比11%減の4兆9,841億円、営業損失は同3,069億円のマイナスとなる1,823億円の赤字、税引前損失は2,060億円の赤字、当期純損失は同2,858億円のマイナスとなる1,596億円の赤字となった。

 東芝の代表執行役専務の村岡富美雄氏は、「世界を巻き込んだ金融危機で、景気が後退局面に入った影響を受け、半導体、液晶等の急激な価格低下、需要減少が発生し、半導体事業、液晶事業などの電子デバイス部門の業績が急激に悪化したの原因」と説明。また、「デジタルプロダクツ部門や、社会インフラ部門も景気の影響を受け、業績が悪化した」とも見ている。

 セグメント別に見ると、デジタルプロダクツ部門の売上高は1兆9,540億円、価格下落や為替、携帯電話市場の低迷等の影響により、営業利益は14億円と黒字はキープしたものの、前年度の66億円から減収となった。

 損益面では、HD DVD事業終息による損失縮小の影響があったものの、PC事業、そのほかの事業が減収により悪化し、部門全体の損益は大幅な減益となったという。

 電子デバイス部門の売上高は1兆809億円、営業損失は1,978億円。NAND型フラッシュメモリの価格下落、システムLSI、ディスクリート、液晶の需要減により大幅な減収で、結果的に電子デバイス部門の不調が、全体の多額の営業損失を生じた結果となった。

 社会インフラ部門の売上高は1兆5,873億円、営業利益は353億円で増収となった。これは電力・産業システムが好調で、医用システムは減収したものの、高水準を維持して前年同期並みを確保したのが要因だという。

2008年度第1~3四半期(4月1日~12月31日)連結決算の概要 各セグメントの業績

 通期業績見通しに関して、2008年9月19日に公表した業績予想からの大幅な下方修正を行なった。世界的な景気後退で、特に電子デバイス部門の大幅な赤字の影響を受けたため。

 売上高は6兆7,000億円で前回予想の7兆7,000億円から1兆円減収で修正。営業利益は4,300億円減で営業損失2,800億円、税引前利益は5,000億円減で損失3,300億円、当期純利益は3,500億円減の損失2,800億円に修正した。


■ 「体質改革プログラム」の実施へ

 2008年度の急速な経営環境の悪化に伴い、同社では売上規模が2008年度レベルでも利益確保が可能な収益体質へ転換することや、市況回復時に素早く対応できる事業体制の構築を謳った「体質改革プログラム」を実行すると、同社代表取締役社長である西田厚聰氏から説明があった。これにより、2009年度は黒字化を目指すという。

体質改善プログラムの内容

 提唱するプログラムの項目は大きく分けて下記の3つ。

  1. 課題事業における事業構造改革
  2. 体質強化に向けた全社施策
  3. 成長事業への集中と選択の加速
 最初の“課題事業における構造改革”では、半導体事業と液晶事業の構造改革を行ない、またデジタルプロダクツや家電等の分野に関しても同時に検討するという。

 半導体事業は2009年度の固定費を2008年度と比べて15%以上削減するとしている。設備投資額の削減(2008年度見込み額の2,300億円から60%減の1,000億円未満に削減)や、製造拠点の再編、研究開発費の運用効率改善、人的施策(有期限雇用の削減や人員の注力分野への再配置)を実施することで、削減に努めていくと説明する。

 またディスクリートやシステムLSI、NAND型フラッシュメモリ等、事業毎の特徴に合わせた抜本的な改革を実施していくとも説明。

 ディスクリート事業では、パワーデバイス/オプトデバイスを中心とする販売力強化と、国内拠点の再編を含む後工程製造体制をとっていく。システムLSI事業では、デジタルテレビやワイヤレス、イメージセンサ用などのLSIに注力。また開発リードタイムの半減を行ない、効率を向上。さらに、北九州工場から大分工場へのアナログIC移管など前工程拠点の再編や、海外展開を推進していく後工程製造にも注力するという。

 同社ではこのような体質改善に加え、「業界再編を視野に入れ、分社化も含めた抜本的な構造改革を検討」していくと説明する。

 NAND型フラッシュメモリ事業では2009年後半以降の需要回復時に向け準備を行ないつつ、SSD事業の拡大や、新棟建設計画の延期を決定。また、サンディスクとの製造合弁会社から生産設備の一部を買収するという。「生産能力の20%程度の買収になるのではないか」と西田社長は説明する。

 液晶事業ではアモルファス製品の大幅な縮小と低温ポリシリコン製品への資源集中による採算化や、有機ELの開発強化、生産能力増強投資の見合わせを行なっていくとしている。また、魚津工場や深谷工場の不採算製造ラインの停止や縮小、人的施策も加え、固定費を対2008年度比25%以上の削減を目指すという。

半導体事業の構造改革 液晶事業の構造改革

 2番目の“体質強化に向けた全社施策”では、研究開発費や設備投資、人的施策などの固定費の削減や、原価低減によるコスト競争力の強化などを盛り込んだ利益造出に向けた基盤の強化を実施していくという。3番目の“成長事業への集中と選択の加速”では原子力事業に代表される社会インフラ事業の強化や、新型二次電池(SCiB)事業、小型燃料電池(DMFC)事業などの育成/強化を図っていくとしている。

体質強化に向けた全社施策 研究開発費の抑制 設備投資の抑制

人的施策。ワークシェアリングなどを実施するという 利益造出に向けた基盤の強化 社会インフラ事業の強化

 最後に西田社長は「市況の回復を待つのではなく、この逆境に打ち克つべく、将来を見据えて判断し決断したことである収益改善のための諸施策を完全実行していく」と語った。


□東芝のホームページ
http://www.toshiba.co.jp/index_j3.htm
□決算情報
http://www.toshiba.co.jp/about/ir/jp/library/er/er2008q3.htm
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( 2009年1月29日 )

[AV Watch編集部/ohrui@impress.co.jp]


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