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日本作品を世界へ広げるNetflix。「火花」視聴者の半数は海外
2016年6月27日 19:50
映像配信サービスのNetflixは27日、東京・六本木のニコファーレにてジャパンスペシャルイベントを開催。リード・ヘイスティングスCEOやオリジナル作品「火花」、「Marvel ルーク・ケイジ」、「オレンジ・イズ・ニューブラック」、「ゲットダウン」の出演者らがNetflixの魅力をアピールした。
Netflixは、1月のCESでグローバル展開を発表し、現在190カ国でサービス開始されている。その中でも力を入れているのが、オリジナルコンテンツの製作だ。各国の映画スタジオ、テレビ局などからコンテンツを購入し、配信もしているが、「グローバルなテレビネットワーク」を目指すNetflixが、世界中の“いつでもどこでも”コンテンツを見られるようにするためには、グローバルで常に映像を配信できる権利の取得が必要となる。Netflixがオリジナルコンテンツ製作に力を入れるのもこのためで、2016年のコンテンツ投資額は60億ドルを予定している。
Netflixのリード・ヘイスティングスCEOは、日本について「素晴らしい、最高に高速なネットワークがある。また、強いテレビコンテンツと、それらを楽しむ多くの人がいる“テレビの国”」と言及し、Netflixのサービスに最適な環境であることを強調。DVDレンタルからスタートしたNetflixの歴史を振り返りながら、世界中のどこでもインターネットテレビを実現するという目標に向かって事業を進めていくことを訴えた。
また、Netflixの特徴を、「パーソナルかつレコメンデーションされたコンテンツを、どこでもいつでも見られ、スマートフォンやテレビ、ラップトップなど、どんなスクリーンでも、いつでもどこでも番組を楽しめる」と説明。加えて、SDからHD、4Kへのアップグレードも、放送より柔軟に拡張できることや、マルチ言語対応や字幕の自由な切り替えなどの自由度に触れ、インターネットテレビこそがユーザーに幅広い選択肢を与えることができる、と強調。「NHK、Hulu、Amazonも、テレビ朝日も皆インターネットに来ている。インターネットTVこそが今日の新たな体験」とし、Netflixの加入者が8,100万人に広がったことをアピールした。
テッド・サランドスCOOは、カンボジアや韓国でも新作を制作しているほか、ブラッド・ピット製作による「ウォーマシーン」やバズ・ラーマン製作の「ゲットダウン」などのオリジナル作品を制作しているという。
Netflix Japanのグレッグ・ピーターズ社長は、日本のコンテンツを世界に広げるプラットフォームとしてのNetflixについて強調。最初の日本製作コンテンツのテラスハウスやアンダーウェアも、日本だけでなく、台湾、香港、フィリピンなどアジア、欧州でも視聴者が増え、米国でテラスハウスの記事が書かれるなど広がりを見せたという。
しかし、ピーターズ氏は「これは序章」と語る。アニメに関して言えば、すでに世界中にファンがおり、独自制作の「シドニアの騎士」は80%が海外からの視聴になったという。特にNetflixのレコメンド機能による視聴が多く、「アニメを見たことがない人にも届いている」という
アニメだけでなく、実写も力を入れており、その代表例が「火花」。又吉直樹原作の芥川賞作品を実写化。6月3日から190カ国で10話一斉配信しており、今夏には4K/HDRでも配信予定。火花も海外にも広がっており、50%は海外からの視聴となっている。台湾や香港などアジアだけでなく、ブラジルやメキシコ、カナダ、ドイツ、アメリカなどに広がっているが、多くの人はレコメンデーション機能経由で視聴しているため、作品やジャンルも知らずに見ている場合もあるという。例えば、「火花の映像美が、フランスのアートフィルム好きにも届いているのかもしれない」とする。
ピーターズ氏は、「レコメンデーションを軸に、世界で新たな視聴者を増やしていくことがNetflixの役割。日本のコンテンツ業界の段階的な変革に関わって、最高品質の作品を世界に届けることに興奮している」と語り、林遣都や波岡一喜などの火花 出演者を紹介した。