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マランツ、HD-AMP1とマッチする6万円の小型CDプレーヤー。高音質ヘッドフォンアンプ搭載

 マランツは、「HD-AMP1」とマッチするコンパクトなサイズとデザインを採用し、高音質ヘッドフォンアンプも搭載したCDプレーヤー「HD-CD1」を9月上旬に発売する。価格は6万円。カラーはシルバーゴールド。

CDプレーヤー「HD-CD1」

 発売記念キャンペーンとして、10月31日までの期間中にHD-CD1、HD-AMP1のどちらかを購入すると、AudioQuestのケーブルをプレゼントするキャンペーンも実施する。3種類から選択でき、ラインナップはピンケーブルの「Golden Gate」1.5m(単品販売では7,333円)、同軸デジタルケーブルの「Digital Coax Cinnamon」(同9,900円)、USBケーブル「USB Cinnamon2」1.5m(同8,600円)。

AMP1(下)とCD1(上)を重ねたところ

「MUSIC LINK」シリーズの新モデル

 2014年登場の「HD-DAC1」(108,000円)や、2015年の「HD-AMP1」(14万円)と同じ「MUSIC LINK」シリーズの新モデル。同シリーズは「上質なデザイン」と「本物のハイファイサウンド」を開発テーマとしている。

CDプレーヤー「HD-CD1」
左から「HD-DAC1」、「HD-AMP1」、「HD-CD1」。DAC1は一回り小さい

 「HD-AMP1」はUSB DAC、スピーカードライブ用アンプ、ヘッドフォンアンプを内蔵しているが、「HD-CD1」を追加する事でCDプレーヤーの再生環境も構築できる。筐体のサイズ自体はAMP1と同じだが、端子類の違いで外形寸法は若干異なる。CD1は304×312×109mm(幅×奥行き×高さ)で、AMP1は304×352×107mm(同)。CD1の重量は5.7kg。

 CDドライブ部分はCD-R/RWや、MP3/WMA/AACを収録したデータCDの再生にも対応。SACDには対応しない。「企画の段階でSACDを搭載するか否かは焦点になったが、リーズナブルに購入できる価格面のメリットを考慮してCDプレーヤーにした」という。

 最大の特徴は、DAC以降のアナログステージに、独自の高速アンプモジュール「HDAM」と「HDAM-SA2」を使ったフルディスクリートアナログ回路を採用した事。上位モデル「SA8005」と同様のフルディスクリート構成となる。このHDAMで電流帰還型フィルタアンプ兼送り出しアンプを構成。さらに、サウンドマネージャーと音質担当エンジニアが試作と試聴を繰り返し、細部まで徹底的にチューニングしたという。

アナログ回路の基板
クロック回路に超低位相雑音クリスタルを搭載

 DACには、シーラス・ロジックの「CS4398」を採用。これを高精度に動作させるために、クロック回路に超低位相雑音クリスタルを搭載。-150dB以上の低雑音レベルを誇るもので、同シリーズはSA-11S3やSA-14S1にも採用されている。これによりジッタを抑制し、明瞭な定位と見通しの良い空間表現を実現したという。

 出力はアナログRCA、同軸デジタル、光デジタルを各1系統装備。信号ラインのカップリングコンデンサにはルビコンの薄膜高分子積層コンデンサを、電源ラインのデカップリングコンデンサにはエルナーのシルミックを採用。ローノイズ、低歪なデジタル出力を可能にしたという。アナログと同軸デジタル出力端子は、真鍮削り出しの金メッキ仕上げで、経年変化や信号の劣化を防止している。

背面端子部
クロック回路には超低位相雑音クリスタル
薄膜高分子積層コンデンサ

 左右チャンネル間のクロストークやレベル差を抑えるために、左右チャンネルのアナログ出力回路をシンメトリーにレイアウト。等長、平行配置を徹底した。アナログ出力回路には、上級機と同様にオーディオグレードのフィルムコンデンサを使用。アナログ回路電源用のブロックコンデンサには、ニチコンと共同開発したマランツ専用のカスタム品を使っている。

 ヘッドフォンアンプにもこだわっており、ハイスルーレートオペアンプとHDAM-SA2型のディスクリート高速電流バッファアンプを組み合わせて構成。情報量が豊かで鮮度の高いサウンドを実現したという。新たに3段階のゲイン切替機能も装備。接続するヘッドフォンに合わせて設定できる。ヘッドフォン出力は28mV/32Ω(可変最大)。ヘッドフォン出力は標準×1系統。

ヘッドフォンアンプの基板
横から見たところ

 電源はトランスからブロックコンデンサを経由しブリッジ回路へと供給する。CD1では、ハイスピードなショットキーバリアダイオードを採用。トランスからダイオードまでハイスピードで安定した電源供給を可能にしている。

 メインシャーシにボトムプレートを追加したダブルレイヤードシャーシを採用。重心を下げ、外部からの振動による音質への影響を抑制。インシュレータはアルミダイキャスト製となる。

 SN比は110dB、ダイナミックレンジは100dB、高調波歪率は0.002%(1kHz)。消費電力は14W。リモコンやシールドを施した同軸デジタルケーブルを同梱する。

インシュレータはアルミダイキャスト製
同軸デジタルケーブルを同梱

「MUSIC LINK」シリーズとしての提案も

 MUSIC LINKシリーズとDALIやB&Wのスピーカーと組み合わせたシステム提案も行なう。リファレンスシステムとしては、HD-CD1+HD-AMP1とB&W「CM1S2 MR」(128,000円)で、合計328,000円。「CM1S2 B」と組み合わせる場合は340,000円となる。

 リーズナブルなスタンダードシステムとしては、DALIの「Zensor1」(43,800円)との組み合わせをスタンダード・システムとして提案。HD-CD1+HD-AMP1と組み合わせると、合計243,800円となる。

AMP1、CM1S2 MRと組み合わせたリファレンスシステム
DALIの「Zensor1」と組み合わせたスタンダードシステム

「フルサイズのCDプレーヤーと同じ回路を投入」

 価格帯としてはエントリーの製品だが、「MUSIC LINKシリーズを購入した人に対して、質感から雰囲気まで、プレミアムを感じていただけるようなモデルとして開発した。コンパクトな製品は何かを犠牲にしていると思われがちだが、フルサイズの製品にクオリティで劣る部分はないというつもりで生まれたモデル」だという。

 また、高品位なヘッドフォンアンプを搭載した事で、デスクトップでヘッドフォンと組み合わせた利用や、AMP1と連携してブックシェルフスピーカーを机の上に設置し、ニアフィールドリスニングを楽しむといった使い方も想定。同時に、リビングでフロア型スピーカーと組み合わせても、満足のいく音質で再生できる実力を備えたモデルだという。なお、AMP1とCD1のどちらにもヘッドフォンアンプが搭載されているが、グレードではAMP1の方がやや上になるという。

ヘッドフォンと組み合わせて使用するイメージ
机にブックシェルフスピーカーを設置。ニアフィールドでも

 マランツのサウンドマネージャー・尾形好宣氏はCD1について、「このサイズと価格でもまったく手は抜いていない。フルサイズのCDプレーヤーと回路的にはまったく同じものを入れており、部品も同等グレードを選択した。出力端子を真鍮削り出しの金メッキ仕上げにするなど、この価格帯ではフルサイズのコンポを超える部分もある」と説明。

 また、「テクノロジー的にはCD6006と似通った部分はあるが、CD1の方が後から出るモデルになるため、新採用の低歪、薄膜高分子積層コンデンサなど、新しいパーツも搭載している。また、AMP1との組み合わせを主に想定しているので、アナログ出力に負けないほど、デジタル出力にも力を入れている。AMP1以外にも、市場に増えてきたコンパクトなデジタルアンプと組み合わせやすいプレーヤーになっている」とアピールした。

マランツのサウンドマネージャー・尾形好宣氏

音を聴いてみる

 マランツの試聴室において、AMP1、B&W「CM6 S2」と組み合わせて音を聴いてみた。

 CD1からアナログ出力し、AMP1でドライブして聴く。CD1内蔵のDAC、シーラス・ロジック「CS4398」を使ったサウンドだ。

 シーラスのDACらしく、非常にニュートラルで色付けが少なく、サッパリとしたサウンド。非常にハイスピードで、切れ込むような鋭さがあり、情報量も多い。HDAM搭載フルディスクリートのアナログ出力が寄与している部分も大きいと感じる。コンパクトでマランツとしては低価格なプレーヤーだが、音作りとしてはハイファイで、誇張や強調は一切感じない。

 次に、CD1からの出力をデジタルに変更。AMP1のDAC「ESS SABRE 32 ES9010K2M」を使った音を聴く。

 空間がより広くなり、なおかつヴォーカルなどの前に出る音の音圧はややアップ。空間の情報量が増え、スケール感がアップする。音の余韻が消えていく描写も、デジタル出力の方が印象深い。個人的にはデジタル接続の方が音楽の美味しい部分がより深く楽しめるイメージで気に入った。