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VR映像やプロ向け音響などの「国際劇場産業展」と「テーマパークEXPO」開幕
2016年12月6日 21:57
劇場やホール、舞台向け設備やサービスなどが展示される「国際劇場産業展」(THEATEX/シアテックス)と「テーマパークEXPO」(PARX/パークス)が12月6日より開幕した。会期は8日までで、入場料金は2,000円だが、事前登録で無料となる。会場は東京ビッグサイトの西ホール。
国際劇場産業展は、以前は別のイベント内での展示だったが、単独の展示会としての開催は今回が初となる。主催は日本劇場技術者連盟/TSO International。舞台などを演出するための音響や照明、ディスプレイなどの設備を手がけるメーカーや、イベント運営に必要なサービスを手がける企業などが出展している。
テーマパークEXPOは、テーマパークや遊園地などのアミューズメント施設、レジャー施設などの運営のための設備やサービスに関する展示が行なわれている。合わせて、イルミネーションや特殊照明の機材やサービスなどの「イルミネーションパビリオン」も同時開催されている。
VRエンタメが充実。ガラスに貼る透明スクリーンも
テレビ朝日メディアプレックスは、短期間のイベントなどでVRコンテンツを楽しめるアトラクションのレンタルプランを案内。国内での機材レンタルや設置、当日サポートなどを含めて1コンテンツライセンスにつき90万円からという料金で提供するという。その一例として、HTC Viveを使った対戦型の「自動車サッカー」や、クロマキー合成により、体験者だけでなく周りの人も楽しめる「VRスキージャンプ」のデモが会場で楽しめる。
コンテンツの「自動車サッカー」は、自動車を操作して巨大なボールを転がし、ゴールを決めるという、実生活ではできないことをVRで楽しめるのが特徴。「VRスキージャンプ」は、映像に合わせてスキージャンプを行ない、雪山の背景とクロマキー合成した写真を作成。それをSNSにアップロードするといった活用ができる。同社はこれまで、テレビ朝日を含む多くのイベントでVRアトラクションを提供してきたため、その経験を活かし、イベントに応じた人気コンテンツを提供できることを強みとしている。
また、VRゴーグルによる体験だけなく、イベントそのものを360度動画でライブ配信する業務も展開。リコー「THETA」を使って、映像配信と、視聴アプリも含めて提供でき、プロ向けのカメラを使うシステムに比べて、安価な料金で利用できるという。
VR/ARを使ったアトラクションに注力するハウステンボスは、VRゴーグルとウォーキングマシンを使って、園内を歩いて散策する体験ができるデモを用意。'17年5月7日まで開催するイルミネーションを使った「光の王国」も紹介している。
JXエネルギーは、プロジェクタの映像を、空間に浮かび上がったように表現できる透明なフィルム「KALEIDO SCREEN」を手がけている。このフィルムは、ハードコート層と、光を拡散するPETフィルム、粘着加工層、セパレートフィルムで構成。東京タワーの展望台でのイベントや、八景島シーパラダイスなどの施設にも採用事例がある。
フロントプロジェクション/リアプロジェクションのそれぞれに対応したフィルムを用意し、ショーウィンドウのように奥のものが見える状態で、投写映像も楽しめるという見せ方を紹介している。
さらに、試作段階として、1枚のガラスに前後から投写して別の映像が見られるというデモも行なっている。これはガラスの部分に偏光板を用いたもので、投写しない状態では透明な板だが、2台のプロジェクタで前後から別の映像を投写しても、映像がほとんど混ざらずに別のコンテンツとして観られるため、体験した人からの反響も大きいという。
ホールやライブ会場などで使われる最新デジタルミキサー音響システム
ヒビノ/ヒビノインターサウンド/ヒビノライティングは共同でブースを展開。プロオーディオ部門が扱うHARMANの「Soundcraft」デジタルミキサーや、JBLのラインアレイスピーカーや、ヒビノインターサウンドによるShureのマイクなどが展示されている。
8月に発売したオールインワンのSoundcraftデジタルミキサーの小型モデル「Vi2000」は、DSPのほか、豊富な入出力端子、タッチディスプレイなどを備え、スペースに制約のある小規模な会場でも高品質なミキシングが行なえるという。
DiGiCoブランド製品の「S21」は、ARMのクアッドコアRSCプロセッサや、アナログ・デバイセズの第4世代SHARC DSPを小型の筐体に搭載し、2面のタッチディスプレイで操作できるモデル。そのコンパクトさや操作性などを継承しつつ、タッチディスプレイを3面に拡張し、フェーダーの数も増加した新モデルが「S31」。
どちらもDSPなどを搭載した一体型で、コストパフォーマンスの高いデジタルミキサーだが、用途や音質などに違いがあり、伝統のあるSoundcraftブランドのVi2000は、原音への忠実さなどでクラシックなどのホールにも多く使われ、DiGiCo S31はライブハウスなどのスペースでもプロが本格的な音質と操作性で利用できることなどが利点だという。
Shureのマイクは、ダイナミック型の定番モデル「SM58」に、50周年記念のシルバーモデルが登場。また、新開発のデュアルダイヤフラムを搭載したダイナミック型マイク「KSM8」も展示。2枚の振動板により、マイクが近づきすぎたり遠ざかった場合も音を拾えるという。
JBLスピーカーは、全天候型で、360度方向に音が広がる「Control 85M」や、省スペースでも複数台を重ねて設置できるアンプ内蔵のラインアレイスピーカー「Target」シリーズなどを展示している。
全天候型の「Control 85M」は、同軸2ウェイのフルレンジユニットを備え、音を下向きに放射し、本体下部のディフューザーで音を360度方向に拡散。本体の色は、野外などの利用にも合わせたグリーンとなっている。
コンサートホールなどで複数台を重ねて利用するラインアレイスピーカーは、音が会場の様々な席へ均一に届くことを目的に、弓なりに反った形に組むものは多いが、「Target」シリーズは、内蔵のDSPで音の放射パターンをコントロールできるため、反った形にする必要がなく、前面をフラットにできるため設置の自由度が向上。ホールなどが複雑な形状でも干渉を抑えたクリアな音質を実現するという。
ヤマハは、放送やライブなどのデジタルミキサーとして数多く納入しているという「CL5」をはじめとした、業務用オーディオ製品を紹介。CLシリーズの新ファームウェア4.0には、チャンネルEQに新たなアルゴリズムの追加、Shureデジタルワイヤレスレシーバー「ULXD4D」、「ULXD4Q」のコントロールとモニタリングに対応している。
虹彩認証のチケット、ステージ設営、照明なども
耳に負担がかからないという独自の音響技術を採用し、八角形のユニークなスピーカー「WRAPSON(ラプソン)」。1台でステレオ再生が行なえ、スピーカー背面からも自然に音が聴こえるのも特徴。マイクのPAシステムとしても利用でき、ハウリングが少ない点もメリットとしている。スポーツクラブや、カフェなどの店舗、学校など、様々な施設で使われており、屋外/室内プール用の防滴モデルも用意する。
アミューズメント施設やライブなどに欠かせないチケットの入場システムなどを手がけるグッドフェローズは、目の虹彩認証を使った高精度/スムーズな入場方法を紹介。誤認識が1兆分の1という高精度や、顔認証と違ってマスクをした状態でも認証できる点などが特徴。また、チケットを忘れた場合も入場できる。
ステージ向けの設備としては、折りたたみ式のアルミ製観覧席を手がけるパックス工業が、話題の“最強の地下アイドル”仮面女子と協力し、候補生によるライブパフォーマンスを開催。ステージ、観覧席いずれも折りたたみのアルミ製で、観覧席は“(車の)ハイエースに収まる”サイズになるという。