プレイバック2025

新4KモニターとソニーGレンズで快適&ワクワクを実感 by橋爪 徹

DELLの4K Thunderboltハブ モニター「U2725QE」

短すぎる秋が過ぎ去り、真冬らしい寒さがこたえるようになってきた。2025年もいよいよあと数日。年末の気持ちなんて、まったくない今日のこの頃。朝晩の寒さだけが季節のうつろいを教えてくれる。

筆者は、今年も様々な製品や人との出会いを読者の方々にご紹介してきた。素敵で魅力的な製品を1人でも多くの方に “オススメする”ことが自らの性に合っているとつくづく思う。

そんな自分が今年レビュー以外で印象に残ったアイテムは、PC用4KモニターとソニーのGレンズだ。

4月に買い換えた液晶モニターはDELLの4K Thunderboltハブ モニター「U2725QE」。もともと同社のU2421Eを使っていた筆者は、USB-Cハブ機能を搭載したモニターであることが必須条件と言い切れるほど、その便利さに惚れ込んでいた。

USB-Cケーブル1本だけで、「映像」「高速USBハブ」「PCの電源供給」これらがすべて事足りるのだから、想像以上にストレスフリーだ。U2421Eでは90WだったUSB-PD機能がU2725QEでは140Wにパワーアップ。おかげでPCにACアダプターの接続は必要ない。PC側のUSB-Cが100Wまでの対応なので、映像エンコードなどフルパワーで動かしたいときだけ、ACアダプターを繋ぐようにしている。

U2725QEは、自分の使用目的を考えれば、一生モノといえるくらいオーバースペックにした。解像度は4K(3,840×2,160)、リフレッシュレートは最大120Hz、コントラストはVESA DisplayHDR 600に対応、DCI-P3やDisplay P3に99%対応、ΔEは平均1.5未満と、こんな性能、絶対使い尽くせないとお手上げしたくなる。将来、映像や静止画方面の趣味をやりたくなったとき、これならスペックで困ることはないと思っている。自主制作レベルの作業でも活躍してくれそうだ。

色深度は10bit入力に対応する

実際に使ってみると、まず、USB-Cハブとしての実用度が単体ドック並みにすごい。Thunderbolt 4に対応し、クイックアクセスポートを含めて12個を超えるポートを備えているから、パソコン側に何かを挿すことはめったにない。せいぜいSDカードを読むときくらいだ。

普段使いのときは、目の疲れが大きく軽減された。ComfortView Plusによって、従来機種で50%以下に抑えられていたブルーライトを35%以下にまで抑制しているそうだが、目だけでなく、身体の疲労感も軽減された。Windowsの夜間モードと併用すれば、JINSのPCメガネも使わなくてもいけるくらいだ。

色域の広さは、普段のWEBブラウジングや動画鑑賞、写真の閲覧でも自然な色味と臨場感を楽しませてくれる。「色域が広い!」って驚けるほどの観察眼はないが、「写真に写った景色が自然!」と感じられるその多幸感で十分だ。

期待していたHDRは、HDR設定ONのときのまぶしさにビックリ。普段使いではOFFでないと”無理寄りの無理“だ。使いどころは、HDR動画の編集やHDR対応のゲームタイトル、YouTubeのHDRコンテンツくらいか。PCモニターで映画を観ることは筆者的にはなさそう。

そして、4K解像度は普段の事務作業の快適さがアップ。以前の機種はWUXGA (1920 x 1200)とそれでもフルHDよりは高解像度。エクセルの下が長く表示できるのは助かっていた。4Kになると、もっとその快適さは高まる。WEBブラウジングでは広々とした画面にいっぱいに情報が表示されて、逆に横幅はほどほどで十分。余った領域は、フォルダを開けておいたり、デスクトップアイコンを見えるようにしておいたり、音楽プレーヤーのミニプレーヤーを表示したりと活用の幅が広がった。

スペックを考えれば必要十分以上の4Kモニター、壊れない限りずっと使えるであろうポテンシャルに満足している。いずれは、RAWの現像やHDR動画の編集などもやっていきたい。

カメラを嗜む程度に趣味としている筆者。普段、取材で機材を撮ったりするから、仕事でも使っているのだが、プロ並みに極めたいとかは思っていない。

そんな筆者だから、レンズもそれなりだった。動画やモノ撮りなどで使う単焦点の「Sonnar T* E 24mm F1.8 ZA」、風景や動物、ライブなどの撮影には「E 18-135mm F3.5-5.6 OSS」、普段使いの標準ズームに「Vario-Tessar T* E 16-70mm F4 ZA OSS」の3本体制だ。どれも10万円を切る手頃な価格帯。カメラは消耗品、レンズは資産とはよく言われるが、カメラ本体は機能向上で最新機種を買いたくなるけど、レンズなら用途別に使い分けるのが普通。複数のレンズを持つことで、当たり前のことに気付くことができた。ちなみに本体はα6700だ。

今回、内部にゴミが入ってしまい、F値が10を超えた辺りから影が映ってしまうツァイスの標準ズームを買い換えることにした。一度、落下により修理をしているので、累積10万円以上課金してきたSEL1670Z。色味が肉眼で見るよりも温もりがあって濃厚なのがお気に入りだった。308gと軽いこともポイント。内部が結露しやすく水滴の跡が残ること、ゴミが入りやすいことは難点。

ソニーのE 16-55mm F2.8 G

新しく買ったのは、初めてのGレンズ。標準ズームのE 16-55mm F2.8 Gだ。ズーム全域開放F値2.8という明るさを実現しながら、494gの軽量コンパクトデザイン。「XD(extreme dynamic)リニアモーター」をAPS-Cレンズにに初めて搭載しており、AFのモーターがリッチになっている。フォーカスモードスイッチや好みの機能を割り当てられるボタンが付いていて、使い勝手もよい。

正直、高級レンズを使ったことのない筆者からすれば、軽量コンパクトとは到底思えないデカさと重量感だ。想像以上に重い。ストラップを付けたα6700と組み合わせると1kgを越えてきた。貧弱な筋力の自分には長時間の撮影はキツいなぁと思いながらも、ズームしてもいつでもF2.8を選べる喜びですべてが吹き飛んでしまいそう。

ワクワクで胸をいっぱいにしながら、夕方の山歩き、大さん橋、駅チカの夜景、イルミネーションを撮影してきた。

目に見えて変わったのは、色味の自然さだった。Zeissのいい意味での個性がなくなって、肉眼で見た色に近づいた。ズームしたときのクッキリとした解像感も向上している。反面、実用面では70mmではなく55mになったことで、ズームが全然足りない!と思うことが多々あった。人を撮ったり、少し距離がある物体を寄った絵で印象的に撮りたいときに、55mm(35mm換算で83mm)では物足りなさを感じた。筆者にとっては、大きく重いレンズで、拡大もまったく足りないけれど、圧倒的に明るく各種性能も高い。「これがレンズ沼の入り口をチラ見した感覚?」とよく分からない自意識でソワソワした師走なのだった。

最後に今年のInterBEEで興味深かった出展物を振り返って終わりにしよう。

今年は、音響エリアは全体的にやや落ち着いていて、映像や配信のエリアが大盛り上がりな印象だった。音響機材を見に行く筆者としては、少し寂しい気もしたが、嬉しい出会いもあった。

Lake Peopleのプロ向けモニターコントローラーである。Lake Peopleは、既に国内でもコンシューマ向けブランドのNiimbusとViolectricが展開されているが、業務用機器をラインナップするLake People本体はまだ国内の輸入代理店が存在しない。係員の方は日本語を話す方だったが、今後の国内展開を筆者も期待したいと思った。

Lake Peopleのプロ向けモニターコントローラー

というのも写真の試作機を見つけてしまったから。これはUSB-C入力とRCA入力、モニタースピーカー向けのXLR出力を搭載した小型モニターコントローラーだ。気になったのは、4.4mmのヘッドフォンが接続できること。同社が展開するほかの業務用ヘッドフォンアンプはXLR 4ピンのバランス出力はあったが、4.4mm対応で小型の製品は初と思われる。筆者としては、アナログのTRS入力やXLR入力を搭載して、オーディオインターフェースと組み合わせることのできるヘッドフォンアンプを切望していることをお伝えさせていただいた。

バランス接続で制作時の音をモニターしたいという要望は間違いなくあるし、規格としてほぼ確定した4.4mmペンタコンは、モニターコントローラーにも当たり前に搭載してほしい。ホームスタジオや宅録レベルでも導入できるような手頃な価格だと普及も進みそう。国内メーカーでもどこかで開発されないかしら。

2026年も素敵な製品や素敵な人を皆さんにたくさん紹介できるよう活動していきたい。新しいこと(自発信のコンテンツ)も始めたいと思っているので、ぜひ筆者のSNSなどもチェックいただけると幸いだ。

橋爪 徹

オーディオライター。音響エンジニア。2014年頃から雑誌やWEBで執筆活動を開始。実際の使用シーンをイメージできる臨場感のある記事を得意とする。エンジニアとしては、WEBラジオやネットテレビのほか、公開録音、ボイスサンプル制作なども担当。音楽制作ユニットBeagle Kickでは、総合Pとしてユニークで珍しいハイレゾ音源を発表してきた。 自宅に6.1.2chの防音シアター兼音声録音スタジオ「Studio 0.x」を構え、聴き手と作り手、その両方の立場からオーディオを見つめ世に発信している。ホームスタジオStudio 0.x WEB Site